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第1回/そうだ、神戸へ行こう - ハーバーランドでつかまえて(JAM工房)

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ハーバーランドでつかまえて

ハーバーランドでつかまえて推薦
■制作者/JAM工房(ダウンロード
■容量/1.27MB

超がつくほど関西と関西弁が嫌いな東京人、沢村亮人が神戸本社に転勤に。早速神戸本社の同僚たちとトラブルを起こした亮人は、海でたたずむ少女と出逢う……。作者の故郷、神戸への愛情あふれる純愛アドベンチャーゲーム。

ここが○

  • 短いながら、神戸への郷愁あふれる暖かいシナリオ。
  • 音楽はフリー素材だが、使いどころが絶妙。
  • 主人公とヒロインとの掛け合いが楽しい。

ここが×

  • キャラの立ち絵がへなちょこ。
  • 既読スキップができない。
  • 攻略が少しばかり難しい。

■そうだ、神戸へ行こう

フリーノベル&アドベンチャーでは、既に「古典的名作」(大げさかな?)の地位を確立しているこの「ハーバーランド」ですが、やはりご紹介しない訳には行かないでしょう。2000年11月公開。そして長さは短いのに、これほど充足感の得られる作品はなかなかありません。

この作品の何が優れているか。まあ色々あるでしょうけど、やはりテーマの盛り込み方とその料理の方法がうまかった、という事でしょうね。バランスに優れた、と言いますか。シナリオも、よくよく見れば至極単純なんですが、前半の亮人とトモのやり取り、同僚たちとの会話、徐々に神戸と言う土地に対して心を開く亮人、トモとの日常、そして……という具合に、全体の作りが絶妙。この絶妙なバランスが、この作品に不動の評価を与えているんじゃないかと思います。

プレイすれば分かるのですが、舞台が神戸であるという事にはちゃんと意味があります。テーマと密接に絡んでいるのですが、そのテーマは押し付けがましくなく、むしろ神戸という街の魅力をアピールする事の方が主眼にも見えます。その、テーマが地域振興ノベルという形でさりげなく主張しているところに、この作品の良さがあるように思います。

キャラクターも、何かにつけて変な口癖を連発したりする商用作品のものと違い、実に誠実に作られており、先輩社員の歩美や上司の富田と言った脇キャラも、十分魅力的。その原因に、やはり「関西弁」があるんじゃないかと。登場キャラは、主人公を除いて全員関西弁でしゃべるんですが、そのせいかプレイヤーの心にキャラクターたちが何の垣根もなく、すっと入ってくる気がしました。

「プレイしたら関西弁が好きになるかも」という作者の言葉は、案外的を射ているのかもしれませんね。シナリオのアイディアが優れているというのはもちろんですが、個性的な各キャラの立ち位置がしっかりしており、キャラクターが上手くシナリオを支えています。

また、フリー素材を用いた音楽が絶品。音楽が素晴らしいだけでなく、その使い方が非常に上手いです。ここと言うシーンでぴったりイメージ通りの曲が来る。曲は全てMIDIですが、良い意味で「ゲームらしい」曲が多く、古さは感じません。作者さんのセンスの良さを伺わせます。神戸で実際に撮影した写真を加工して作られた背景も、加工のし具合がとてもよく、適度にデフォルメがきいてて非常に宜しい。

難点は、やはり絵でしょうか。ただ、個人的には嫌いな絵ではありません。作者さんは絵が描けないそうですが、それでいて自分の表現したい作品のために一生懸命書いた感じが伝わってきます。まあ見た目へなちょこな事は疑う余地がないのですが(苦笑)。あとは、攻略が少々シビアな気もします。このゲームはハッピーエンドにならないと価値がない(とは言い過ぎですが)のですから、もうちょっと簡単でも良かった気がしますね。もっとも、バッドエンドの中にもかなり「凄い体験」ができるものもあり、必見だったりしますが(笑)。

既に10年前の作品ですが、未だに色あせていないあたりは、やはりさすがです。フリーノベルの規範作品として、全ての作品が目標とし、基準とすべき作品でしょう。未プレイの人は必ずやるべきです。プレイ時間は45分程度。万人にお勧めできる名作です。(2018.5.6 レビュー改訂)
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