第104回/一人前の幸せのために - Bye(トラウムブルグ7番地) - シリアス・感動系
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第104回/一人前の幸せのために - Bye(トラウムブルグ7番地)

シリアス・感動系
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Bye

Bye■制作者/トラウムブルグ7番地(ダウンロード
■容量/259MB

とある雪国の街。主人公の総人、そして妹の麗奈は、故あって古館真由美に引き取られ、彼女の下で3人家族として暮らしている。ある日総人は、橋のたもとにたたずむ少女を見かけた。「飛び降りるつもりか?」 総人はとっさに彼女を助けるが。とんでもないボリュームと美麗なグラフィックスで送る、いわゆる「感動系」ノベルゲーム。

ここが○

  • グラフィックが超綺麗。絵も上手い。
  • 曲は素材だが、選曲と使いどころが実に良い。
  • 泣かせのツボをついた感動系のシナリオ。

ここが×

  • 無駄に冗長。一部のマニアックなネタも、あまり笑えない感じ。
  • シナリオが寄せ集めっぽくて、まとまりがない。各キャラにあれこれ背負わせすぎて、焦点が定まってない。
  • 容量でかすぎ。

■一人前の幸せのために

最近、ノベルゲームの容量は巨大化の一途をたどっている気がしますが、とうとう200MBを超える作品が登場です。さすがに、これだけ大きいとダウンロードもためらいます。そしてこの作品、一度ダウンロードしてプレイを開始したんですが、あまりにも序盤が冗長で、挫折してしまいました。キャラメイキングがちょっと極端なのも、序盤で挫折する一因となったかも知れません。もっとも、プレイしているうちにキャラには慣れてしまったので、変な口癖とか突飛な言動で受ける第一印象からすると、キャラメイキングはしっかりしてると感じましたけど。

この作品の舞台は、とある雪国の街なんですが、とにかく背景画像やキャラ立ち絵が美しい。一般に、キャラ立ち絵には力を入れる作品も多いんですが、背景画像って、ある意味立ち絵以上に重要なんですよね。この作品は、見事な背景画像で、作品の雰囲気作りに大成功しています。ここは手放しで褒めたい点です。音楽は素材で、聴き覚えのある曲も多数出てきますが、選曲が非常に良いですね。ここもお見事だと思います。

さて、内容についてです。この作品は、とにかく長いです。この作品には5本のシナリオが入っており、1本読むと新しいシナリオが選択できるようになります。選択肢は一切入っていないにも関わらず、全部読むには15時間ほどかかります。テキストというか、キャラ同士のやり取りがかなり冗長で、その癖「ここはしっかり描写して欲しい」と感じる点をあっさり流されたりしているので、ちょーっと読み進めるのが苦痛な箇所もありました。ただ、全体の雰囲気は決して悪くないので、総合的にはさくさく読める部類に入る作品だと思いますが。

この作品ですが、分類すればいわゆる「感動系」になります。感動系のシナリオの場合、どこに感動のポイントを持って来るかで作りは色々あると思いますが、「キャラがあらかじめ特殊事情を背負っており、その特殊事情との葛藤で感動させる」というのは、よく使われる手法です。いわゆる「病弱系」なんかはみんなそうです。が、この作品の場合、「全キャラが特殊事情背負い過ぎ」なんですよね(苦笑)。しかも、キャラメイキング自体は悪くないですが、キャラがどれもこれも自分を主張するタイプなんで、凄くバランス悪いんです。いくら実力ある俳優を揃えても、主役ばかりじゃどうにもなりません。やはり魅力的な助演がいてこその物語です。

やれ片手片足を失っただの、やれもうじき目が見えなくなるだの、やれ不治の病を患っているだの、そんな悲劇的な運命を背負ったキャラばかりで、部分部分を見れば結構感動できる場面もあるんですが、特殊事情を背負ったキャラが多すぎる上、そのキャラクターだけに頼ったシナリオになってしまっています。プロットを精緻に組み上げたタイプのシナリオではないので、「キャラクタードラマ」としてならともかく、「物語」としては、ちょっと作りが弱く感じました。雰囲気は良いのに惜しいですね。

全5本のシナリオは、最初が杏、次が麗奈、3番目が瑠璃、4番目が瑞穂、そして最後がトゥルーエンドという事になるんでしょうか。どのシナリオも、どうにも読後感が良くなかったりするんですが(汗)、作品全体の雰囲気は良いので、この手の作品が好きなら、長い時間楽しめるんじゃないかと思います。シナリオによって視点が変わる趣向は、なかなか面白いと思います。

容量が巨大ですが、とっかかりに惹かれたならば、かなり長い時間楽しめる作品になると思います。いつものように好き勝手書いてしまってますが、これだけの完成度の作品を作れる作者さんですから、シナリオをより練り込んだ次回作に、是非とも期待したいと思います。
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