第1011回/猫と団子の奇妙な関係 - triple+R!(Mystic Night) - ファンタジー
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第1011回/猫と団子の奇妙な関係 - triple+R!(Mystic Night)

ファンタジー
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triple+R!

triple+R!
三奈が出会った少女、アスリーは一体何者なのか?
■制作者/Mystic Night(ダウンロード
■ジャンル/猫とお団子の現代ファンタジーノベル
■プレイ時間/40分

ある秋の日。大学生の夜月三奈は、見知らぬ場所に佇み、巨大な影が横切っていくという不思議な夢を見た。翌日、町で金髪の少女アスリーと出会い、彼女の飼い猫を探すことになる。無事に路地でアスリーの飼い猫、ガンマタリーナを見つけた三奈だが、ガンマタリーナを尾行して廃ホテルに入ったところ、閉じ込められた上に化け物に襲われてしまう。テンポの良い現代ファンタジー。

ここが○

  • 三奈、アスリー、ガンマタリーナの絡みが楽しい。
  • しっかりメリハリのある起承転結。
  • 意外と凝ったラストとすっきりしたラスト。

ここが×

  • 少し説明不足を感じる。
  • 主人公にもう少し活躍があっても良かったのでは。
  • 描写が全般に淡白。

■猫と団子の奇妙な関係

triple+R!
町外れの廃ホテルには何やら秘密があるらしい。気になる三奈は?
黄昏を見つめて」の作者さんの作品です。この作者さんは、結構たくさん作品を公開されていますが、なかなかご紹介の機会がありませんでした。これでようやく2作目ですが、この方の作品は、世界観や設定が面白く、独特の魅力のあるものが多く、埋もれるのはもったいないと思っています。ですので、なるべく今後定期的に取り上げてみようと思っています。この作品は、2012年の公開です(リメイク作品だそうです)。

前回ご紹介の「黄昏を見つめて」は中華風ファンタジーでしたが、今回の舞台は現代です。主人公は東京都の外れ(多摩地方?)の猫喉町に住む、大学生の夜月三奈。「大学に入って2年」とありましたから、3年生ということになりましょう。季節は秋。ある日三奈は、見覚えのない場所で、巨大な怪しい影が目の前を横切るという不思議な夢を見ます。しかし目を覚ますとごく平凡な、いつも通りの日常でした。

母親に朝の挨拶をし、外出したところ、金髪の美少女アスリーと出会います。アスリーは行方不明になった飼い猫を探しているそうで、三奈も探すのを手伝うことに。路地でアスリーの飼い猫ガンマタリーナを無事に発見するのですが、ガンマタリーナをつけて行ったところ、三奈は町外れの廃ホテルに閉じ込められてしまいました。この廃ホテルを舞台に繰り広げられる、ライトな現代ファンタジーバトルものです。バトルと言っても、三奈が超常能力に目覚めたりはしませんが。

まず、登場キャラクターが面白いです。主人公の三奈は身長が高く(170cmくらいあるらしい)、力も強くてさばさばした性格。アスリーはゴスロリ衣装に身を包んだ可愛らしい感じの少女ながら、時々毒を吐きます。そしてガンマタリーナは親父っぽいがさつな性格。この3人のちょっとずれたやり取りが終始楽しく、キャラクターが上手く話を引っ張っていってくれていました。なお作中の民宿の名前が「にょにょりん」で、猫喉地方の名物が「にょにょ団子」という名前なのですが、この脱力感がなんとも(笑)。

triple+R!
ガンマタリーナとアスリーの凸凹コンビ。どうやって脱出する?
物語は、前半はよく分からないまま進行しますので、少し展開が唐突に感じるところがなくもありません。しかし全体に非常に起承転結のめりはりがしっかりした展開で、テンポも良好です。短い話なのですが、それでいて程よく伏線も散りばめられています。猫喉町という地名までもが実は伏線だったことが分かった時は、短編ながら凝った構成に感心しました。そのため、ラストの「収まり感」がかなり良好です。短編でこの作りの良さは見事だと思います。

一方、少し説明不足を感じるところもありました。長さを考えるとあまりくどくどと説明するのもいかがなものかと思いますから、説明量としてはこれくらいが適切な気もするのですが、どうもアスリーとガンマタリーナという2人の退魔師の境遇や、ヌーコやら眷属についてを、十分消化しきれず物語が進んでしまった感じです。短編としてとても構成の優れた物語であるとは思いますが、もう少しエピソードを追加して、そこらが伝わるようにしてみても良かったかも知れません。

描写は全体に淡白です。少し説明不足を感じたのは、そこに由来するのかも知れません。ただ、語りすぎて胃にもたれるよりは、これくらいあっさりの方がいいのかなとも思えました。それと、主人公である三奈があまり活躍していないように思えたので、三奈が前面で主人公らしく目立つ場面があっても良かったのでは。まあ、ある意味彼女が物語の鍵を握っていたとも言えるのですが。

後半からラストは、かなり物語が急激に収束します。呆気ないと言えば呆気ない終わり方ではあるのですが(アスリーが強すぎでは(笑))、急ぎすぎというような印象はありませんでした。それは、伏線が順を追って綺麗に回収されて行く、その回収バランスの適度さにあるのではないかと思います。散らかった部屋がてきぱきと片付けられ、片付いたところで「さあ帰ろう」となるような後腐れのなさを感じ、とてもすっきりした読み応えを味わえました。ラストもとても安心できるハッピーエンドです。

ツールはYU-RISですから、大変快適にストレスなくプレイできます。選択肢はなく、一本道。プレイ時間は35分から45分くらいだと思います。荒削りなところもあるのですが、物語の作りがしっかりしており、センスを感じさせてくれます。何より、とても楽しく読み心地が良く、読後感もとても良好でした。ちょっと変わった日常系不思議話を読んでみたい方ならば、きっと楽しくプレイできるはずですので、読んでみてください。
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