第1014回/死ぬも生きるもこの刹那 - 死神のお手伝い(どり~むきっず) - 不思議系
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第1014回/死ぬも生きるもこの刹那 - 死神のお手伝い(どり~むきっず)

不思議系
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死神のお手伝い

死神のお手伝い
丈太郎は屋上にいた女生徒みちよを助けようとする。
■制作者/どり~むきっず(ダウンロード
■ジャンル/死神見習いの自立ノベル
■プレイ時間/20分

高校生の志波丈太郎は、ある日屋上に上ったところ、深刻な顔で佇む女子生徒を見つける。ただならぬ雰囲気を察して見守っていたが、その女生徒は靴を脱ぎ、飛び降りようとしていた。慌てて止めようとした丈太郎だが、もみ合っているうちに自分が落ちてしまった。気がついた時には目の前に奇妙な服装の少女、ツバサが。なんと丈太郎は死んでしまったらしい。ツバサは死神見習いらしいのだが……。

ここが○

  • 丈太郎とツバサのやり取りが楽しい。
  • 主人公らしく真っ直ぐな丈太郎。
  • 中盤まできびきびと進み読者を引き込む。

ここが×

  • 意外にヘビーな描写があるので苦手な人は注意。
  • 後半の展開が急。
  • ラストも突然終わってしまう。

■死ぬも生きるもこの刹那

死神のお手伝い
丈太郎の前に現れた死神の少女ツバサは、緊張感のかけらもなし。
前回の「生きるその先に」は「死神もの」でしたが、今回も死神が登場します。死神ものって、結構定期的に登場しますよね。昔、FLASHアニメの名作に「終わらない鎮魂歌を歌おう」という作品がありまして、あれもそういう感じでした。ファンタジックな設定にリアルな設定、更に生と死というテーマを盛り込むことで、劇的な物語を作りやすい、というのが一因かも知れません。

この作品は2008年の公開です。そしてツールが謎。NScripterでも吉里吉里でもありません。フォルダーには「NovelFix」とありますが、聞いたことがないツールですね。もしかしたらオリジナルなのかも知れません。一通りの機能は揃っていてプレイに不自由はありません。

主人公の名前は、志波丈太郎。凄い名前ですが、別にスタンドを使ったりはしません(笑)。ごく普通の高校生です。ある日丈太郎が学校の屋上に行くと、ただならぬ雰囲気をまとった女生徒がじっと立ち尽くしていました。しかもその女生徒は、靴を脱いで屋上から飛び降りようとしている様子。丈太郎は慌てて女生徒を止めようとするのですが、激しく抵抗された末、なんと丈太郎の方が屋上から落ちてしまいました。

気がつくと目の前には大鎌を持った奇妙な服装の少女が。彼女はツバサと名乗り、丈太郎に「キミは死んじゃったんだよ」と言い放ちます。そう言えば「君の息吹を」が似たような感じの出だしでしたね。ただあちらは、気がついたら死んでいたのに対し、こちらは冒頭では生きており、しかも自殺しようとする女生徒を助けようとしての結果ですから、冒頭からなかなか衝撃的な展開です。

死神のお手伝い
死神の仕事に疑問を持つツバサに、丈太郎が彼らしいアドバイス。
イラストはちょっと懐かしい感じの絵柄で、塗りもそれほど凝ってはいませんが、体のパーツのバランスはしっかり整っており、第一印象よりしっかりした絵だなと思いました。そしてツバサの服装や髪型のデザインは個性的で可愛く、また性格付けも死神らしからぬ愛らしさがあります。このため、丈太郎とのやりとりもテンポが良く、描き方によっては重苦しくなりそうなこの物語の緊迫感を、上手く緩めています。

実際、展開そのものは結構重苦しいんですよね。特に丈太郎が助けた女生徒、秋月みちよが受ける仕打ちは結構酷く(彼女のために死んでしまった丈太郎を思えば、みちよも結構酷いと言えば酷いのですが(笑))、苦手な人は少し不快かも知れません。ただそのシーンはごくさらりと流されるだけで、そこまで詳らかに語られる訳ではありませんので、少しだけ我慢してください。

全編に渡って、丈太郎とツバサの会話が見どころです。丈太郎は正義感の強い熱血漢で、彼の熱さがこの物語の抱える深刻さや、いきなり主人公の身を襲った理不尽な運命をかなり軽減してくれており、このキャラクターメイキングは成功していると思います。ツバサにしても、のほほんとして危機感がなかったり、丈太郎の熱さが通じないようなところもあるのですが、自分の仕事に疑問を持ち、それに丈太郎が自分の持論を展開するところなどは、今作の名シーンだと思いました。

ただ中盤まではいい感じで物語が進むのですが、後半からラストにかけてあまりにも急速に物語が収束してしまい、面食らってしまいました。みちよの問題もあまりにあっさり解決してしまいますし。起承転結で言えば、「転」に入った辺りで、突然無理やり最終回を迎えて物語が終わってしまった感じ。週刊漫画雑誌の打ち切り漫画風とでも言いましょうか(笑)。中盤までは、多少無理やりなところは感じるものの、丈太郎とツバサのコンビでとてもいい感じで物語が進んでいただけに、少し残念に感じます。

終わってみれば一応丸く収まったということになるので、読後感は悪くありません。それにしても、過失とはいえみちよを止めるために命を落とす羽目になった丈太郎が、少し不憫なのですが、彼はあまり気にしていないようですし、ラストを見るにこれからもツバサと仲良くやっていくみたいなので、これはこれでハッピーエンドなのかも知れませんね。プレイ時間は20分で、選択肢はありません。こういう作品こそ、選択肢でifの世界を見せて欲しかったような気もしますが、それは贅沢というものでしょう。深刻な物語で疲れたら、シリアスな面もありながら程よく肩の力が抜けた、こういう物語がピッタリかも知れません。
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