第1015回/百年経っても忘れない - BOYS IN MY HOUSE(deli) - 日常
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第1015回/百年経っても忘れない - BOYS IN MY HOUSE(deli)

日常
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BOYS IN MY HOUSE

BOYS IN MY HOUSE
突然現れた2人の少年に、日付を訊かれて戸惑う咲。
準推薦
■制作者/deli(ダウンロード
■ジャンル/未来少年との同居日常ノベル
■プレイ時間/3時間半

理系の大学院修士課程で毎日忙しく実験に明け暮れる錦山咲(名前変更可)。ある日彼女の部屋に、突然見知らぬ少年2人が現れた。カイトとフレンの2人は、宇宙人との戦争を繰り広げている100年後の地球から、タイムスリップでやってきたらしい。予定と違う時代に来てしまい途方にくれる2人を、咲は再び彼らが帰れる4週間後まで家に住ませてやることに。1日1つの会話が楽しめる、同居型日常ノベル。

ここが○

  • 咲と少年たちの会話が楽しい。
  • 少年たちが徐々に変化する様子がよく描けている。
  • 日常の積み重ねにより、別れのシーンがとても印象深い。

ここが×

  • ストーリーとしては少し起伏に欠ける。
  • アイキャッチで既読スキップが止まってしまう。
  • ちょっと描写が淡白。

■百年経っても忘れない

BOYS IN MY HOUSE
風呂上がりで上半身裸のカイトとフレンと、目のやり場に困る咲。
私は、Twitterで新たにフォローされた場合、その方が何か作品を公開しているかどうか調べ、可能な限りプレイしてみることにしています(レビューするかどうかはまた別問題ですが)。この作品は、最近フォローしてくださった方が公開している作品です。女性向け(主人公の名前を変えられるから、「乙女向け」かな?)なのですが、設定が面白く興味をそそられました。

この作品は、典型的な「同居型」です。主人公は女性で、25歳の理系大学院生。名前は錦山咲(名前は変更可能)。作中の描写を見ていると、将来社畜になりそうな予感満点なのですが、それは余計なお世話というものかも知れません(笑)。元々美琴という友人と同じ家に住んでいたのですが(ルームシェアという奴ですね)、その美琴はアメリカに留学し、今は一戸建ての家に1人で住んでいます。

そんな咲の前に、突然2人の少年が現れました。17歳のカイトと15歳のフレンの2人は、人類が宇宙人と戦争を繰り広げる100年後の未来から時間移動でやって来たそうで、戦争を終わらせるために時間移動をしたのですが、予定が狂って100前に来てしまいました。4週間後に帰れるものの、その間どうするか途方にくれる2人を、咲は空いている美琴の部屋に居候させることに。こうして、年下の2人の少年2人との同居生活が幕を開けるのでした。

この設定がまず興味をひきます。カイトは物静かなクール系、フレンはちょっと子供っぽい性格。性格付けもしっかりしており、2人とも魅力的です。カイトとフレンの2人は、最初は咲を羽交い締めにして脅迫したりもしますが、徐々に生活に馴染んでいき、咲に心を開いていきます。その様子が、ほとんど地の文のない簡潔な会話文でとても上手く表現されていました。逆に言えば、描写が少し淡白に感じるところもあります。咲はほぼ自宅と研究室の往復だけで、2人とそれほど一緒に過ごす訳ではないですし、ワンエピソードでどんどん日付が進んでいくので、そういう印象が強いのかも知れません。ですが、このテンポの良さはこの作品の大きな長所でもあります。

BOYS IN MY HOUSE
休日、3人で海。買い物や食事を楽しんだ後、夕暮れの浜辺で。
この作品は、大変独特なプレイ感覚を持っています。作中で4週間の時間が流れるのですが、1日に起こるのは上に書いたように1つのエピソードだけ。そのエピソードで選択肢を選び、2人とのやり取りを楽しみます。それの繰り返しです。そして、物語という点で見ると、さほど大きな起伏はありません。もちろん少し事件も起こりますが、あくまでメインは2人との日常会話のように思えました。ですので、起承転結山あり谷ありの物語を期待すると、少し拍子抜けするかも知れません。

そして、プレイしながら「そう言えば、こういう感覚の作品を昔プレイしたな」と気付きました。それは、セガサターンで出ていた「ルームメイト 井上涼子」です(確かデータムポリスターだったか)。この作品も、自宅内での会話だけで進む「コミュニケーションゲーム」という感じの作品でしたが、それに近い雰囲気を感じました。ストーリーよりも、同居している女の子とのやりとりに重点を置いた作品でしたが、同様にこの作品も、あえてストーリーよりもコミュニケーションをとったように見えます。

その観点から見れば、この作品はカイトとフレンが少しずつ心を開く様子、4週間という間で成長していく様子、そしてその日常が当たり前になっていく様子が、とても見事に描かれていました。その積み重ねがあるからこそ、ラストの別れのシーンが非常に胸に響くものとなっています。言ってみれば「単に出会ってから別れるまで」を描いたに過ぎないのですが、過程を丁寧に書いているため、ラストが何倍も効果的でした。

こういう作品を読むと、「感動できるイベントというのは、そのイベントのみの力ではなく、一見地味に見える日常描写の、説得力のある積み重ねによって決まる」というのが改めて実感できます。そういう意味では、ストーリー的にはさほど起伏がなくても、よく構成を考えて作ってある作品だなと思わされました。地道な積み重ねを、巧みに計算して積み重ねているなと感心します。

ルートは3つで、カイトエンド、フレンエンド、2人エンド。選択肢のほとんどはルートに影響しませんが、時々音が違う選択肢があり、その選択肢によりルートが分かれます(見ればすぐ分かるはず)。どのルートもさほど展開に大きな変化はありません。そもそも驚くようなストーリーではありませんから、それは致し方のないところ。ただ、既読スキップの際、日付のアイキャッチで結構な長時間必ず止まるため、これは少し不便に感じました。

ツールはLive Makerです。3つのエンドはどれも結局別れて終わりで(最初は未来に帰らず、現代に残るエンドがあるものかと)、ちょっと寂しさを覚えたのですが、その分ラストの別れのシーンはちょっと感動してしまいました。恋愛方面にはさほど振っていないですので、あくまで交流物語として楽しむのがいいでしょう。全部読んで3時間半から4時間です。そして、カイト&フレンが再登場する続編もあるようです。これはプレイしない訳にはいきませんね。あまり話題になっているところを見ませんが、よくできた日常系物語です。のんびりが生み出す感動を感じてみたいにはお勧めですよ。
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