第115回/コミカルでノスタルジックな秋の物語 - 秋人(P.o.l.c.) - シリアス・感動系
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第115回/コミカルでノスタルジックな秋の物語 - 秋人(P.o.l.c.)

シリアス・感動系
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秋人

秋人準推薦
■制作者/P.o.l.c.(ダウンロード
■容量/77.1MB

鈴原広訓は浪人生。「秋休み」と称して、叔母が経営する高千穂村の民宿へとやって来た。一年中秋が続くと言われるその村で、広訓はひたき、しおん、ききょうという3人の子供と出会う。毎日の受験勉強、そして子供達との交流の中で、広訓がたどりつく結論とは? 独特な雰囲気の現代ファンタジー。

ここが○

  • 少年マンガ風のグラフィックスが綺麗。
  • キャラクターはよく立っており、キャラ同士のやり取りも軽快。
  • 意外性のあるラスト、全体を貫くセピアの雰囲気。

ここが×

  • どうもキャラクターのバランスが良くないような……。
  • ラストの意外性を求めるあまり、全体の流れを損なっている。
  • 伏線の張り方も不十分で、少々消化不良気味。

■コミカルでノスタルジックな秋の物語

またレビューの間隔が空いてしまいました。今回のご紹介は「秋人」。「あきびと」と読みます。以前「手紙」を作られたP.o.l.c.さんの作品です。P.o.l.c.さんは、派手な作品はないのですが、じんわり心にしみる作品を多く公開されており、この作品もそう言った系列の「現代ファンタジー」と呼べそうな作品です。

この物語の舞台は高千穂村という、「1年中秋が続く」と言われている村です。冒頭の予備校の場面は、何と言いますか少々笑えないギャグが続いてしまい、私もモニターの前で反応に困ってしまったのですが(汗)、舞台が高千穂村へ移ってからは、雰囲気のある背景と音楽、そしてテキストで、楽しませてくれます。登場するキャラクターのメインが子供達という事もあって、全体の雰囲気はコミカルなんですが、それでいてノスタルジック。この雰囲気こそが、作者さんの作風かも知れません。

さて、作品のテーマは1年中秋が続く高千穂村の秘密に関わります。そして、ラストではある意味非常に意外なオチがつくのですが、意外すぎて「ありゃ?」となってしまいました。丁寧な伏線がある訳でもなく、またご丁寧にミスリードも打ってくれるため、確かに意外な事は意外なんですが、「意外すぎて、全体としての物語のスムーズな流れを損なっている」んですね。

この辺は難しいところで、意外さを高めようとすると、どうしても伏線をあまりばりばり張る訳にはいかなくなりますし、ミスリードも積極的に利用する必要があるでしょう。そもそも伏線というのは、張りすぎても物語の流れを損ないます。全体の流れをスムーズにしようとすると、「素直に読めるが意外性がない」物語になり、意外性を高めようとすると「なんだかどこかが不自然、スムーズに流れない」となるのです。

そこらのバランス感覚がセンスとも言えましょうが、この作品の場合は、ちと結末の意外性を強めようとしすぎた嫌いがあります。意外な結末に対して、途中でほとんどフォローがないものですから(この辺り、読めばお分かりいただけるかと)、どうにもラストで首を傾げる結果になります。また、結末に意外性はあるんですが、「終わり方」自体はよくある手法で、目新しさがないんですよね。あそこまでやるなら、もう一歩の踏み込みが欲しかったように感じました。

キャラクターは、メインとなるのは3人の子供達ですが、なかなか魅力的に描かれていて、普段のやり取りも軽快です。反面、浪人生の主人公とのズレがちょっと気になりました。途中、広訓がひたきに激怒する場面とか、「子供相手に何本気になってんだ」と、プレイしている私も困惑してしまいましたし(苦笑)。ですが、子供らしいやり取りは時に軽妙、時に素朴。良質のキャラクタードラマを楽しめると思います。

今作で特に目を惹いたのは、独特のグラフィックス。いわゆるゲームっぽい絵柄ではなく、少年マンガ風のイラストです。これが、今作の雰囲気にちょうどマッチして、絶大な効果を挙げていると思います。ただ、少々透過処理が甘い箇所があるのが、少しだけ気になりました。

上に書いたように、雰囲気はコミカルかつノスタルジック。「手紙」の時も似たような事を感じましたので(あちらは、コミカルな作品という訳ではありませんでしたが)、この独特の雰囲気は、作者さんのセンスでしょうね。選択肢がある箇所がありますが、展開には無関係です。プレイ時間3時間程度。夜にゆっくり読みたい作品だと思います。
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