第119回/決め手は神経衰弱 - Project Lavender(まひるかん) - SF
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第119回/決め手は神経衰弱 - Project Lavender(まひるかん)

SF
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Project Lavender

Project Lavender■制作者/まひるかん(ダウンロード
■容量/10.0MB

高校3年生の主人公小野さゆりは、世界的大企業の服部エレクトロニクスの入社試験を受けに来ていた。周囲の予想をよそに、見事試験に合格したさゆりは、電脳世界に住む少女「ラベンダー」の育成という重要な役目を任されるが、背後には様々な思惑が渦巻いていた。近未来の日本が舞台の、何故か神経衰弱まで登場する、SF風味マルチエンドアドベンチャー。

ここが○

  • グラフィックスが綺麗で、立ち絵も上手い。
  • ほどよいSFテイストに、数は少ないながらよく立ったキャラクター、魅力的な主人公。
  • 割合コンパクトな容量なのに、主題歌まで流れるのは驚き。

ここが×

  • 明らかに後半尻切れトンボ。
  • 分岐条件が分かりにくいか。
  • SF設定にちょっと説得力が欠ける。

■決め手は神経衰弱

私は、SFものは結構好きで、SF作品は結構好んでプレイします。もっとも、ハードなSFは苦手なので、単なる腰抜けですが(笑)。今回は、さらっと軽くプレイできるSF作品「Project Lavender」をご紹介します。

作品の舞台は、近未来の日本のようですが、あんまりそんな感じはなく、特殊な用語が飛び交う訳ではありませんので、SFはどうも、という方でも気軽に読めるでしょう。反面、設定にちょっと説得力が欠ける面もあり、本格的なSFがお好きな方には、ちょっと食い足りないかも知れません。電脳世界云々に、もうちょっと説得力のある描写があれば、と思いました。

この作品、出だしの印象は凄く良かったんですよ。高卒で一流企業に入った少女が、電脳世界の少女を育成するという序盤は、非常に「つかみ」「引っ張り」ともに優れていて、先が気になる作りになっているのです。描写は基本的に、さゆりが電脳世界でラベンダーと会話したり、何故か神経衰弱をやったり(ミニゲームとして挿入される)するだけなので、ある意味単調とも言えますが、何故かこの作品に関しては、前半のある意味作業的な単調さが、絶妙に後半への期待感を煽ってくれてたんです。この作りには、唸らされました。

また、主人公のさゆりが、嫌味のない、それでいて行動力のある少女として描かれている事で、進行のテンポも非常に快適となっていました。登場キャラは少ないですが、どのキャラも魅力的だと思います。また、立ち絵や一枚絵もとても綺麗ですね。

ただ……前半で期待感が高まっただけに、後半が(苦笑)。もの凄くありがちな展開をした上に、もの凄く淡白なオチがついてしまってるんですよ。展開はまあありがちでも別に問題ないんですが、もうちょっとシナリオを練って、プロットを丁寧に組み上げて、伏線を丁寧に張れば、もの凄く「化けた」んじゃないかと思わされただけに、プレイ後はしばし呆然と(爆)。

いやもう本当に、前半で期待感がぐんぐん高まっていって、後半ですとーんと落ちていき、ラストで更にその上から金だらいが落ちて来ると、そんな感じ(何だその意味不明なたとえは)。物語のキーポイントとなる人物の、過去の事件についても、とある登場人物によってさらっと語られるだけ。あそここそ、もっと時間をかけ、更に入念に伏線を張り、他のイベントとも関連づけながら引っ張って行くべきポイントだったのではないでしょうか。そこを軽く流したものだがら、オチや、前半の展開までもが説得力を失ってしまってるんですよね。

別の言葉で言えば、「起承転結」の「起」「承」の部分は見事だったのに、「転」「結」が凄くなおざりになってしまっていた印象です。実際、序盤をプレイしている時は、「後半が良くて、オチを決めてくれたら、『推薦』付けたい」と思ったほどですから。

ただし、この作品の序盤に見られるような、絶妙なバランス感覚、「つかみ」「引っ張り」のセンスは、理詰めで考えてどうにかなるものではないと思います。その意味で言えば、作者さんは見事な序盤のセンスをお持ちだと思います。この作者さんが、後半で物語が収束していくようなシナリオを組めるようになれば、これは凄い作品が出来るのではないか、そう思わされました。

なおこの作品、容量が10MBと、最近のノベルゲームとしてはかなりコンパクトですが、オープニングがあったりします。しかも歌付き。10MBの作品をダウンロードして、まさか歌がついたオープニングがあるなんて思いませんから、かなり驚かされました。これに限らず、グラフィックスや音楽面で、かなりレベルの高い作品です。

攻略が少し難しい点もあるので、行き詰まったら作者さんのサイトを見られると良いでしょう。欠点ばかりを並べてしまったようですが、肩の力を抜いて読めるSF風味の佳作で、個人的には気に入っています。SF好きならば、気軽に楽しめますよ。
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