第122回/その女性達、訳ありにつき - 柵の淵(Ekusia) - ミステリー・サスペンス
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第122回/その女性達、訳ありにつき - 柵の淵(Ekusia)

ミステリー・サスペンス
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柵の淵

柵の淵準推薦
■制作者/Ekusia(ダウンロード
■容量/4.04MB

夏休み、ドライブを楽しんでいた主人公は、とある浜辺で1人の美しいが気の強い女性と出会う。ひょんな事から彼女が住む屋敷に誘われた。その屋敷には、女性とその姉、更にメイドの3人が住んでいた。やがて起こる不思議な事件。過去の柵にとらわれた3人の真実に迫る、サイコサスペンスノベル。

ここが○

  • バッドエンドまでよく練られたシナリオ。
  • 複数回プレイが苦にならない、凝った展開。バッドエンド時、ヒントが出てくれるのもありがたい。
  • 反則とも言えるが、読後感爽やかなハッピーエンド。

ここが×

  • 操作性はいまいち。
  • 安定性が最悪。
  • 立ち絵は好みが分かれそう。

■その女性達、訳ありにつき

今回は、懐かしい作品のご紹介。「しがらみのふち」と読みます。この作品、私もWindows98時代にプレイはしていたんですが、何故か途中で放置してしまい、そのままにしていました。が、「久住女中本舗」さんがこの作品を強力にプッシュされていたので、これはプレイしてみなければ、と思い立った次第です。この作品は、いわゆる典型的な「閉鎖空間タイプ」のマルチエンドノベル。ジャンルはサイコサスペンスという事になるでしょうか。改めてプレイしてみて、そう言ったタイプの作品の中でも、この作品の出来映えはかなりのものだと思いました。

まず、シナリオの組み方が良いです。マルチエンドノベルの評価というか、プレイ感覚の良し悪しを分けるのは、ずばりバッドエンドの作り方と、その整合性だと思っています。つまり、エンドは多いけど「選択ミス一発死」のような、「存在する意味があまりないバッドエンド」ばかりだと、複数回プレイの意欲はかなり失せる結果となります。また、メインシナリオと何ら関わらなかったり、伏線と矛盾していたりしていても同様です。そんなエンドばかり見せられても、これまた複数回プレイしてみようとは、あまり思わないでしょう。

この作品は、その辺りがとても上手く作ってあります。無意味なバッドエンドは皆無と言ってよく、どこか含みを持たせたり、事件や過去の一端が明らかになったり、バッドエンドにおける「引き」がとても良いのです。なので、プレイする側も「よし、もう1回」となります。こう言った作りは、マルチエンドノベルを作る上で、大いに参考になる点が多いと思います。

またバッドエンド時には、登場人物達がヒントを与えてくれるのも、非常に有り難く、プレイヤーに優しい配慮です。複数回プレイを前提とした作品の場合、こう言った配慮があるか否かで、「もう1回」となるか「もういいや」となるか、かなり分かれますからね。

で、物語ですが、ジャンルがジャンルですので、どろどろとした展開となります。3人の女性は、みな不幸な過去にとらわれているので、お世辞にも明るい雰囲気の物語ではありません。(上手いとか拙いとかではなく)どこかギスギスした雰囲気を感じさせる立ち絵が、その雰囲気を更に高めている気もします。ここは好みが分かれるところでしょう。私も、以前プレイした時はあの絵で「ひいてしまった」のも事実です。

ですが、改めてプレイしてみたら、個人的にはそんな「ギスギス感」を感じさせる立ち絵が、物語の雰囲気にとても合っていた感じがしますね。シーンによっては、「怖さ」をより一層強調してくれる絵ですし。

問題点もいくつか。まず(古い作品だから仕方ない面もありますが)、操作性に難があります。既読スキップはありますが、お世辞にも軽快とは言い難いですし、文字表示速度も遅め。そして、もの凄く不安定。何度も何度も突然終了してしまうのです。これには参りました。まあWindows XPなんてない時代の作品でしたから、ここに文句を言うのは筋違いかも知れませんが。一応、マウスならマウス、キーボードならキーボードと、操作は統一した方が、落ちにくいように感じました。

なお全体に、重苦しくギスギスした感じを漂わせてくれる今作ですが、最後の最後で見られるハッピーエンドは、過去の柵にとらわれてきた3人の思いを一掃してくれる、とても清々しい終わり方で、「反則」と言えなくもないですが、個人的には気に入りました。

作品が古い事に起因するいくつかの欠点はありますが、マルチシナリオ、マルチエンドの醍醐味を味わわせてくれる名作です。「最近、プレイしがいのあるマルチエンドノベルがないなあ」とお嘆きの方は、是非どうぞ。ハッピーエンドは一番最後に見る事をお勧めしますよ。
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