第126回/飾らないから美しい、ピュアな短編恋愛ノベル - Love Story(els) - 恋愛
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第126回/飾らないから美しい、ピュアな短編恋愛ノベル - Love Story(els)

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Love Story

Love Story■制作者/els(公開終了)
■容量/3.76MB

高校生で写真部所属の豊田祐輔には、隣のクラスで、天文部の北沢遥に密かに思いを寄せていたが、内気な彼は口に出す事ができない。ある日、文化祭でその天文部の出し物であるプラネタリウムへ足を運ぶと、そこには遥の姿が。素直で淡々とした、しかし純粋なマルチエンドの短編恋物語。

ここが○

  • 淡々としていながらも丁寧な語り口。
  • キャラクター描写、心理描写ともに秀逸。
  • 多彩に分岐するエンディング。

ここが×

  • 展開が少し平板かも。
  • 「意外なシナリオ」を求める方には向かない。
  • マルチエンドなのだから、既読スキップが欲しい。
■飾らないから美しい、ピュアな短編恋愛ノベルそう言えば、こんなタイプの作品って、久しく見ていなかった気がします。キャラクターといい展開といい、全く奇をてらわない、正当派の短編恋愛ノベルのご紹介。「Love Story」とはまたシンプルなタイトル。作者さんは、制作当時高校生だったそうで、高校生にしてこの描写の上手さには驚かされます(私が高校生の頃、どんな適当な文章を書いていたかと思い返すと……(苦笑))。

この作品はスタンダードな恋愛ノベルですが、まず文章が上手いです。上手いし、過剰にくどくないです。「上手いんだけど、何だかくどくて、途中で疲れてしまう」作品もある中、この作品は何と言いますか「上手くて、そして押し付けがましくない」んですよね。文章もだし、キャラクターもだし、世界観もだし、全てがそう。なので、全てがすっと心に入って来ますし、何の苦労もなく自分の中で消化されます。これは素晴らしい点です。

そして「距離感」の描写がとても優れていると感じました。つまり主人公とヒロインの心の距離感な訳ですが、距離感が徐々に縮まったり、あるいは微妙にゆらいだり、そこらの描写がお見事で、それだけで恋愛ものとして成立していると言っても良いほどです。事実、目立ったイベントはほとんどないのに、恋愛ものとして十分な読み応えがあるのが、何よりそれを物語っていると言えるでしょう。「距離感」だけでなく、短い中に「時間経過」を上手く描いているのも良いと思います。

また、キャラクター、心理描写も巧みです。こういう作品を読むと、安心させられますね。最近では、携帯電話が普及して、以前より恋愛が「インスタント化」してきたような風潮もありますが(だって、私が高校生の頃は、好きだった子と電話で話そうと思ったら、まずは大ボス「彼女のお父さん」を越えないといけませんでしたから(笑))、この作品からは、ともすれば見失いがちな、奥ゆかしくて純粋な、飾りっけはないけど美しい、そんなほのかな恋愛の香りがします。

シナリオですが、捻ったところはどこにもありません。丁寧に作られてはいますが、ある意味平板でどこにでもあるようなストーリーです。びっくりするような展開は一切しません。なので、そういう物語を期待されている方だと、肩すかしを食らってしまったように感じるかも知れません。しかし、やたらどたばたやってる物語ばかり読んでいても疲れてしまいますし、こう言った作品の存在は貴重じゃないでしょうか。私は結構気に入りましたよ。

攻略と言いますか、普通に素直に選択肢を選んでいたら、普通にヒロインの遥と付き合って終わりだと思います。が、結構エンディングが多いです。個人的なお勧めは、一度愛理と付き合ってしまう事。その後、悲しいオチがついても、もちろん当方は一切関知しませんが(笑)、すんなり遥と付き合うより、こちらのシナリオの方が個人的には面白いと思います。色々な展開があるので、色んな展開をお楽しみあれ……と言いたいところですが、NScripterなのに既読スキップがないのは痛いですね。複数回プレイが楽しめる作品であるだけに、なおの事です。ちょっと惜しまれます。

地味で飾りっけのない作品ですが、案外こういった作品の方が、疲れた時などには心に沁み渡るものです。この作者さんの作品には、今後大いに注目したいですね。1回のプレイは30分ほど。高校が舞台ですが、高校生時代を懐かしく振り返るくらいの年代の方にお勧めです。もちろん、高校生以下の方も是非どうぞ。
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