第128回/今宵もざくろの実が落ちる - べにのひをはく(kay) - ミステリー・サスペンス
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第128回/今宵もざくろの実が落ちる - べにのひをはく(kay)

ミステリー・サスペンス
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べにのひをはく

べにのひをはく■制作者/kay(ダウンロード
■容量/11.5MB

取材のため、山奥の温泉へ向かった男女。しかしどこで道を間違えたのか、寂れた寒村へ迷い込んでしまった。村長の家へと足を運ぶと、15年前に死んだ女性からの脅迫状に怯える村人達。そして次々に起こる殺人事件。犯人は一体誰なのか? エンディングなんと42種類。気軽に楽しめるホラー調のマルチエンド推理ノベル。

ここが○

  • 真面目な物から訳の分からないものまで、とにかくエンディングたくさん。
  • なのに難易度は高くなく、気軽に遊べる。
  • シナリオはしっかりしており、物語としても面白い。

ここが×

  • 犯人の動機には、かなり無理があるような気が。
  • 意図的なのかも知れないが、ほとんど音楽がないのは寂しい。
  • 分岐はほとんどの場合、選択肢ミスで一発アウト。

■今宵もざくろの実が落ちる

私は、実は「閉鎖された空間」系のホラーとか推理ノベルが苦手です(つまり「かまいたち」系)。私は、どちらかというとノベルゲームで謎解きをする事をあんまり好まず(問題文が数行の論理パズルなら大喜びで解くんですが)、やはり「物語自体の面白さ」を求めてしまうせいかも知れません。今回は、そんな私も結構最後まで楽しんで読めた推理ノベルをご紹介です。

この作品も、実は舞台は「閉鎖された空間」です。ただし、洋館とかではなく、閉鎖されているのは村まるごと1つ。この設定にそもそも無理があると言えば言えなくもないのですが、私はそんなに違和感を感じませんでした。何より、舞台が広い事で、洋館ものなどだとどうしても感じる、「マンネリ感」がかなり緩和されています。この舞台設定は、私は成功だと思います。

さて今作、エンディングの数が凄いです。中には「Happy End」と銘打ってあるものの、「これはハッピーなのか?」と思えるものもあったりしますが(笑)、個人的にはああいうノリもあって良いかと。ただ、分岐するとは言っても、ほとんどのエンディングは「選択肢を誤ると、即バッドエンドご招待」。バッドエンドで真相の一端が明らかになったりとか、バッドエンドが次のプレイのモチベーションになるといった作りではありません(まあ、バッドエンドになったら別の選択肢を選べば良いだけですが)。シナリオ自体は面白いのですから、もう少し凝ったマルチシナリオだと、もっと楽しめたんじゃないかなと思います。

シナリオですが、色んな方法で村人が次々と殺されていくので、なかなか緊迫感があります。また、徐々に真相が明かされて行くバランスも良好だと思いました。ただ、ラストは……。あまり書けませんが、真犯人の動機に、ちょっと無理がありすぎるような。真犯人はプレイヤー自らが名前を入力するんですが、私は「状況から見てこいつ以外に犯人はありえない。トリックはあんな感じだろう。しかし、奴には動機が皆無だろ」と思ってたら、その後の謎解きで「そんな動機で村人皆殺しかよ!」とツッコんでしまいました(爆)。

せめて、犯人の動機に関わる伏線がある程度ちりばめられていたら、ラストの印象も変わったかなとは思うんですが。途中、もう1人の容疑者(誰の事かは、プレイした人なら分かりますね)の方向へ、ちょっと引っ張りすぎてしまった感があります。もう1人の容疑者へ引っ張っておいて、オチがあの動機ですから、これは納得できない人も出るでしょう(苦笑)。15年前の事件を上手く絡めたり、推理ものとしては物語もなかなかしっかりしており、「犯人当て推理クイズの長々バージョン」みたいな事にはなってないので、そこがちょっと惜しかったかな、と。

後は、これはもしかしたら作者さんが意図されての事かも知れませんが、音楽がほとんど皆無なのでちょっと寂しい感じ。もっとも今作の場合、それが雰囲気に合っているとも言えますし、逆に時々入る音楽や効果音が効果を増してましたから、これはこれでありかなという気もします。

それと、「ホラー調」とは書きましたが、そんなにエグい描写があったり、グロテスクな画像が出る訳ではないので(1カ所、際どいのがありましたが)、ホラー苦手な私も平気でプレイできました。夜プレイしても多分大丈夫だと思われます。シナリオ分岐の妙味という意味では弱いものもありますが、逆に気軽に楽しめる推理ノベル。意外な犯人の意外な真実に、果たして辿り着けるでしょうか。
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