第130回/君は空を見上げ、僕は空を飛ぶ - 空を渡るツバサ(LEVEL ZERO) - ファンタジー
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第130回/君は空を見上げ、僕は空を飛ぶ - 空を渡るツバサ(LEVEL ZERO)

ファンタジー
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空を渡るツバサ

空を渡るツバサ■制作者/LEVEL ZERO(ダウンロード
■容量/140MB(フルボイス版)、46MB(ボイスなし版)

人が自由に空を飛ぶ事のできる乗り物「ウィング」。ウィングを使ったレースは大人気で、ワタルもそんなウィングレーサーに憧れている少年の1人。そんなワタルが、ある時格安でウィングを手に入れる幸運に恵まれる。天性の才能を発揮して、ワタルは初のレースに挑む事に。美麗なグラフィック、フルボイスの活劇ノベル。

ここが○

  • グラフィックスの美しさは圧巻。
  • 読み手を飽きさせない、意外な展開の連続。
  • 登場キャラはフルボイス。演技も上手い。

ここが×

  • 要素を盛り込み過ぎの上、展開が早すぎて、読んでる方が置いていかれる。
  • あまりにあっさりと終わるラスト。
  • 無意味なインストーラー。

■君は空を見上げ、僕は空を飛ぶ

私は、読み手に解釈を委ねる難解な物語は好きではありません。かつて大人気を博したアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」も、私は友人に「一体どこが面白いのか、全く理解不能」と言いましたし(爆)。まあ、好んで聴く音楽は難解なものが多いので、物語まで難解なものは読んでられないってところかも知れません。シンプルな冒険活劇は、そんな私が大好きなジャンルです。今回ご紹介するのは、盛りだくさんの冒険活劇です。

まず驚かされるのは、びっくりするほど美しいグラフィックス。立ち絵も1枚絵も、素晴らしく美しい。オープニングも凝っており、期待を煽ってくれます。ただ、吉里吉里なのにインストーラーつきってのはどうなんでしょうか。Mac使いは、こういう無駄な作業を好まないんですよ(笑)。まあそれはおいておくとしても、グラフィックス、音楽ともにハイレベルです。1枚絵は、本当にため息が出るほど美しいです。

この作品、キャラがフルボイスでしゃべりまくります(ボイスなし版もあります)。演技が上手い上、キャラクターメイキングが自然で誠実、おかしな特徴などでウケを取りに行っていないため、キャラの声が雰囲気作りに凄くプラスになっていると思いますね。余裕があるなら、是非フルボイス版のダウンロードをお勧めします。

で、ここからが苦言になるのですが(苦笑)。この作品、とにかく盛りだくさんです。単なる「ウィングレーサーに憧れる少年の冒険活劇」かと思いきや、病院ものになったり、戦争ものになったり、とにかく考えられる要素をぶちこみまくり。展開にしても、あっちへ行ったりこっちへ行ったり凄まじい「ジェットコースター」ぶりです。もちろん、退屈な日常描写がだらだら続くよりははるかに良いんですが、この作品の場合は、ちょっと要素を盛り込み過ぎて、更に展開が早すぎです。そのせいで、盛り込みすぎた要素が全然煮込み切れていません。素材はよい具が沢山、だけど全然味が染みていない鍋。そんな印象。

私流の言葉で言えば、「つかみ」は上々なんです。主人公が、ラッキーにもウィングを手に入れる事になるという出だしは良いです。その後の「ひっぱり」は、展開が性急すぎる感はありますが、悪くないです。少なくとも、読んでいて退屈はしません。しかし、「ひっぱり」の方向性自体には問題がなくても、「ひっぱり加減」に問題があります。

物語の「ひっぱり」は、ずっと引っ張ってれば良いという物ではないと、私は思っています。読み手が乗って来たと思ったら、ちょっと緩める。緩んだところでまた引っ張る。これが上手く行くと、非常に流れの良い物語になります。ところが今作は、引っ張り加減が一本調子なんですね。ずっと同じ調子で走ってるジェットコースター。その上、とにかく展開が早い。だから、読んでて物語やキャラクターに浸れないし、何より疲れます。物語を読んでて、「もっとこの場面に浸っていたい」と思う事、ないですか? そう言う場面では、少し緩めに引っ張って欲しいものなんですが、この作品の場合は、とにかくどこでも一本調子で流れてしまってるんですよ。フェルマータを無視してインテンポで進んでる感じと言いますか。

更に、終わり方が、あまりにあっさりしすぎてるんですよね。それまでの「具沢山」ぶりからすると、信じられないくらいあっさりと終わります。あっさりの上、「え、ここで終わっちゃうの?」という感じで。素材は良いですし、キャラメイキングは丁寧ですし、文章も上手いですし、良い物語になる要素は一杯あったのに、惜しいなと思わされました。

ちなみにこの作品は、文章が珍しく三人称です。三人称なのに、キャラの発言にはキャラ名がつきます。ちょっと違和感ありますが、私はすぐに慣れました。珍しい手法ですが、私はありだと思います。

もっと時間をかけ、丁寧に描写すれば、凄い作品になった可能性のある作品だと思います。この作者さんの他の作品も、是非読んでみたいですね。エンディングは3種類。「突然終わる」感は否めないのですが、気軽に読める、波瀾万丈の冒険活劇です。さくっとプレイしてみてください。
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