第1205回/駆け抜けてゆくメモリアル - ギャルゲーポケット(フルーツみっくす)
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ギャルゲーポケット

■ジャンル/とき○モ風お手軽恋愛ADV
■プレイ時間/1時間20分
高2の1月に私立大空高校に転校してきた成宮シュウ。中途半端な時期での転校だったが、男勝りのクラスメイト夏目昴、女子サッカー部のエース和泉明、その妹の和泉光、いつも和服姿のメイドを連れているお嬢様の五十鈴佳矢の3人と知り合い、新しい学園生活は楽しくなりそうな予感。高3の1年間を過ごし、3人のうちの誰かと仲良くなれるだろうか。某作品風の、お手軽な学園恋愛アドベンチャー。
ここが○
- 手軽に遊べる長さ。
- どんどん進むテンポの良さ。
- 目や口が動いたり、浴衣姿や水着など凝ったグラフィックス。
ここが×
- システム面に難があり遊びにくい。
- 音楽がほとんどなく寂しい。
- 少々展開が単調。
■駆け抜けてゆくメモリアル

主人公の名前は成宮シュウ(変更可)。高2の1月という中途半端な時期に、私立大空高校に転入してきました。同じクラスの応援団長夏目昴(なつめ・すばる)、女子サッカー部のエース和泉明(いずみ・めい)とその妹の光(ひかり)、更にいつも和服姿のメイドを連れているお嬢様の五十鈴佳矢(いすず・かや)と仲良くなり、3年生に進級。昴と明の2人と同じクラスに。これからの1年で、誰と仲を深められるでしょうか。こんな設定の、超王道を行く学園恋愛ものです。
ヒロインは3人。男勝りな昴、スタイル抜群の後輩光、それにわがままお嬢様の佳矢。なぜか光の姉である明は攻略することができません。そして「スバル」「いすゞ」がいるのですから、明と光の苗字が「松田」「鈴木」「本田」辺りなら完璧だったんですが(何がだ(笑))。とにかく、ヒロインの3人はそれぞれ個性的で、会話した時の反応も様々。この手の学園恋愛ものでヒロインの魅力は大事な要素ですが、そこは心配ありません。
実はこの作品、システム面に少々難があります。文字表示速度が変更できない上、設定されている表示速度がかなり遅めなんですよね。ちょっとストレスです。また動作がかなり不安定。ロードすると挙動が変になることが多いですし(何故かタイトルロゴが表示されっ放しになる)、光ルートの後半で「何もしない」を選ぶと、そのまま固まってしまいました。「電話する」を選び続ければ回避できますから、光ルートを攻略する場合は、後半は「何もしない」を選ばないことをお勧めします(私の環境だけという可能性も否定できませんけど)。

加えて、お助けアイテムもあります。所定の色のお守りを買うと、特定のヒロインとの遭遇率が上がる(というより、そのヒロインとしか出会わなくなる?)というもので、これを買えば攻略は楽々です。期間に余裕があるので、買わなくても攻略はできますが、季節のイベントを見落とさないためにも、買ってプレイする方が大幅に楽ですので、最初に買ってしまいましょう。
プレイしていると、時々色々なイベントが起こります。学校内のちょっとした出来事の場合もありますし、夏祭りや誕生日パーティ、初詣などの季節のイベントもあれこれ。この辺りもときメモ風ですね。ただ、あちらのように育成パラメーターの結果で何かが起こる訳ではなく、ただひたすら「何もしない」か「電話する」かの繰り返しですし、会話で選択肢を選ぶこともほとんどありませんから、若干の単調さは否めません。もう少し色々な要素があっても良かったかも知れませんね。
しかし要所で挿入されるイベントは、それぞれのキャラクターらしさが垣間見えて面白いです。また、ときメモ同様に好感度が上がっていくと、「何もしない」を選び一緒に帰るときの反応や、電話をかけた時の反応が変わりますし、相手の表情もだんだん変化します。これもときメモ風味ですが、これを入れたのは大正解だったと思います。この些細な変化だけで、主人公とヒロインの距離感の変化を如実に語っています。目や口もアニメーションしており、芸が細かいですね。
最後の告白シーンは、ときメモと違って伝説の樹の下ではありません。作中で「伝説の樹は切り倒された」と書かれていますので(笑)。告白は状況が三者三様。昴は正攻法の告白ですが、光の「卒業式」という舞台を生かしたラストが特にお気に入りです。ただエンディングロールが無音なんですよね。エンディングに限らず、ほとんどのシーンに曲がありません。定番の素材でもいいので、もう少し季節やイベントに合ったBGMを入れれば、かなり印象が変わったのではないでしょうか。
ツールはティラノスクリプトですが、ノベコレでは公開されていません。初回は30分から40分くらい、2回目以降は20分から30分。全部読んで1時間半はかからないくらいです。1人クリアするとプロフィールが見られるようになりますが、タイトルからは見られず、ゲーム中にしか見られない(CG集も)という謎仕様です。なおバッドエンドもあります(普通にやっていれば大丈夫ですが)。色々と大雑把なところもありますが、ちょっと歪んだ設定やキャラクターの作品が多い昨今、こういう雰囲気、空気感の学園ものは個人的に好みです。手軽に読めて安心感のある学園ものをお探しの方にぴったりの一作です。
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