第135回/間違いなくハッピーエンド - ハッピーエンド(LAT) - 学園・青春
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第135回/間違いなくハッピーエンド - ハッピーエンド(LAT)

学園・青春
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ハッピーエンド

ハッピーエンド準推薦
■制作者/LAT(ダウンロード
■容量/138MB

高校生の有川俊伸は、双子の妹恵理、そしてクラスメートで親友の長谷部玲奈、上枝暁と、平凡ながら楽しい学生生活を送っていた。高校生最後の夏、二度と来ない青春の季節。ハルニレの木、テニス大会、そして忘れられない思い出。最後の夏が幕を開けた。ボリュームのある分岐式の学園ノベルゲーム。

ここが○

  • バラエティに富んだボリュームある分岐。
  • よくできたキャラクターのかけあい。
  • 豪華なエンディング。

ここが×

  • シナリオの組み方が巧みとは言い難い。
  • ボケツッコミは、人によってくどく感じるかも。
  • 1枚絵によって絵柄が全く違う。

■間違いなくハッピーエンド

上の作品紹介は、いつも作者さんのサイトから引用したりせず、プレイした私自ら頭を捻って紹介文を書くんですが、この手の作品の場合、紹介文に困ります。キャラ設定といい出だしといい、もの凄くよくあるタイプなので、紹介文を書くのにかなり頭を悩ませるんですよね。かと言って、作品紹介で派手なネタバレを出す訳にもいきませんし(笑)。今回のはぎりぎりの線でしょう。

この作品は、妹と二人暮らししている高校生が主人公で、他の登場人物は一見二枚目風だけど三枚目の上枝暁、お嬢様キャラの長谷部玲奈。舞台設定自体は非常にありきたりですし、キャラクターとしてもよくあるパターンですが、取り合わせが良く、またかけあいもテンポがよくて楽しめます。「こんな物語」はほとんど2人だったんですが、この作者さんはこういうキャラクタードラマを作る事に才能があるんじゃないでしょうか。また、趣味がジグソーパズルという主人公も珍しい(笑)。ただ、全編通じて繰り広げられる、漫才のようなボケツッコミは、人によってはくどく感じるかも知れません。私はそれほど気になりませんでしたし、それがこの作品の雰囲気なんだと思いましたけど。

この作品が狙っているテーマは、既出の作品では「S-H」あたりと同じです。つまり「何気ない日常、そして成長」というところ。ただし「S-H」が本当にほとんど何も起こらなかったのに対し、この作品はちゃんと盛り上がりどころがあります。そしてキャラクターの絡みという点では優れたものを持っている作者さんだけに、印象に残る場面の描き方は、非常に上手いです。シナリオは登場人物と同じ3本で、どれもボリュームがあります。

反面、シナリオの組み方がちょっと大雑把という感じ。前作「こんな物語」では、演出のための伏線がとても上手に使われていたんですが、今作だとそこが少しなおざりに感じました。場面自体は良いんですが、場面に持って行くつなぎがもうちょっと丁寧だったらなお良かったんですけど。シナリオの展開自体は起伏があるんですが、結構唐突に波がくる感じなんですよね。玲奈シナリオのハルニレの木の話にしても、上枝シナリオのテニスにしろ、唐突に話を振られる感じなので、説得力を少々欠く感じですし。そこをもうちょっと自然に流し、あとは演出のための伏線をもうちょっと巧妙に張れば、より完成度が上がったのではないかと思います。

さて今作のメインシナリオは妹である恵理シナリオでしょう。シナリオそれ自体はよく出来ています。ただ大前提にちょっと無理があるので、これまた話が説得力に欠けるんですよね。音楽祭のくだりなど、部分部分はよく出来ているのですが……。

この作品は1日1日を順番に消化していくタイプです。この手の作品は、えてして同じ毎日の繰り返しで、前半が退屈でどうしようもなくなる事が多いんですが、今作に限って言えばそういう事がありませんでした。これはやはり、巧みなキャラクター同士の掛け合いに尽きるでしょう。だからこそ、シナリオにもう1つ丁寧さが欲しかったように感じます。

ただ、この手の分岐ノベルにありがちな、「他ルートでの事件はなかった事になっている」のではなく、恵理シナリオでは他のシナリオの事件も、ちゃんと思い出として語られています。これはこの作品ならではの長所です。些細な事と思われるかも知れませんが、恵理シナリオをプレイしていただければ、恐らく分かっていただけるのではないでしょうか。

また、恵理シナリオの最後でタイトルの意味が分かるのですが、なるほどあの終わらせ方でこのタイトルを語るというのは、上手い落とし方です。普通このタイトルですと、そう深い意味が込められているとは思わないでしょうから、あの終わり方はかなり読み手の印象に残るでしょうね。感心しました。ただ、結局主人公はあまり成長してない気がするのは気のせいか(笑)。

メインである恵理シナリオのエンディングでは歌が流れたり、音楽は全般に良い出来映えです。イベント1枚絵が15枚くらいあるんですが、1枚絵によって絵柄の違いが大きすぎるのはちょっと気になった点です。立ち絵も凄く上手とは言い難いですが、この作品の世界観に合っていて、私は悪くないと思いました。

まともにプレイしたら全部読むまで5時間くらいでしょうか。粗も目立ちますしシナリオ構成は精緻とは言い難いですが、この作者さんならではの世界観を楽しめる佳作。主人公の俊伸と一緒にパズルを作りながらプレイしてみてください(できるかっつーの(笑))。
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