第148回/猫と少女のナイスコンビネーション - 私の黒猫(Quadriennale) - 日常
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第148回/猫と少女のナイスコンビネーション - 私の黒猫(Quadriennale)

日常
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私の黒猫

私の黒猫準推薦■制作者/Quadriennale(公開終了)
■容量/21.6MB

女子高生の亜希は、ある日人間の言葉を話す不思議な黒猫を拾った。丁寧な口調の真面目な猫を、亜希は「ドン吉」と名付けて飼う事にした。ドン吉はしかし、亜希の瞳を曇らせている心のひっかかりに、気付いていた……。1人と1匹のかけあいもテンポよく楽しめる、短編分岐ノベル。

ここが○

  • 主人公である亜希とドン吉の生き生きとした交流。
  • 短いが、しっかり起承転結のついた展開。
  • じんわり感動させてくれるオチ。

ここが×

  • もう一押しが欲しかった気がする展開。
  • シナリオ分岐に大差がない気も。
  • 「ドン吉」という名前は、黒猫ならずとも抗議したくなりそう(笑)。

■猫と少女のナイスコンビネーション

動物をメインに据えた物語は珍しいですが、中でも「言葉をしゃべる動物」ものというのは、珍しい。「プリムラ」がそうですね。あちらは言葉をしゃべる犬。こちらは猫です。「Twin Love」の作者さんによる作品。最近バージョンアップ版がリリースされたのに合わせて、プレイしてみました。

「Twin Love」がそうであったのですが、この作者さんは正統派のネタを組み合わせたながらも丁寧なシナリオ作り、活気のあるキャラクターメイキングに特徴があるように思います。そんな作者さんらしい作品であり、特に緻密なキャラクターには好感が持てます。真面目くさったドン吉と、女子高生らしい亜希のやり取りが面白く、それだけでこの作品を読んで楽しいものとしています。とは言えこの作品は「Twin Love」とはまるで作風が違うのですが、その作風の違いも興味深く読めます。

この作品で使われている手法自体は、それほど新しいものではありません。そんなにびっくりする展開をする訳でもありません。しかし、短編作品でありながら、流れの作り方というか、展開バランスの良さに感心します。ひっぱり過ぎず澱み過ぎず、ちょうど良いところでちょうど良い展開が来るんですよね。ですからストレスが溜まりませんし、後半の感動も押し付けがましくありません。

この手のシナリオは、後半の展開に持って行くバランスがポイントと思うのですが、今作ではその前半と後半のバランスが良いのが注目されます。展開バランスが良いので、「唐突感」もなく「だらだら感」もなく、絶妙に物語にひき込まれるのです。この辺りの「展開バランスの良さ」も、「Twin Love」同様です。

難点というほどの事はないのですが、分岐するシナリオが、そう大きく変化する訳ではないので、分岐ものとしての面白さは少し弱めです。この作品の場合、後半の展開はある意味前半で既に形作られていますから、前半を無視した後半にする訳にも行きませんし、これで良いのだと思えなくもないんですが、それでもあと一捻り、あと一押しがあれば、と思わせられます。あとは、向山くんの存在がちょっと薄かったり。短編ですからここはしょうがないところかも知れません。

後半の展開は、予定調和的ではありますが、後半の展開を活かしているのは、前半における、いや全編にわたって繰り広げられる、亜希とドン吉の軽妙なやり取りでしょう。2人(1人と1匹)のキャラクターメイキングが、シナリオ展開に見事に良い影響を与えた好例です。ドン吉の真面目すぎるほどのキャラクターがあってこそ、後半のあの展開に真実味が出て来るのです。

主人公の亜希は、少々くどさも感じるところがあるキャラクターですが、「しゃべる猫」という強烈な個性の持ち主でありながら、性格自体は真面目で薄味のドン吉とうまくマッチしていると感じました。この1人と1匹、とても良いコンビです。

立ち絵、音楽などは素材。選択はよく、アニメっぽすぎない立ち絵は良い選択だと思います。相変わらず丁寧な仕事に感心させられました。非常に余韻のある読後感を残す作品で、広くお勧めできます。前作「Twin Love」をプレイされた事ない方は、是非合わせてプレイしてみてください。全く違う作風ながら、今作同様の丁寧な作りに感心されるはずです。

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