第155回/夜の校舎は物の怪だらけ - 幻燈夏夜〜かぐらかぐら〜(武谷製作所) - 伝奇
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第155回/夜の校舎は物の怪だらけ - 幻燈夏夜〜かぐらかぐら〜(武谷製作所)

伝奇
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幻燈夏夜〜かぐらかぐら〜

幻燈夏夜〜かぐらかぐら〜■制作者/武谷製作所(ダウンロード
■容量/76.2MB

小さな田舎町、神楽町。夏休み前のある日、高校生の菊見正樹は、幼なじみの佳織、後輩の小春、同級生の大輝と共に、夜の「学校七不思議探索」を敢行していた。来年には廃校になるうら寂しい田舎の高校で、この夏、何かが起こる……。大ボリュームで送る、マルチシナリオノベルゲーム。

ここが○

  • もの凄いボリュームのシナリオ。
  • ところどころに入る手のかかった小ネタが笑える。
  • 好感度を教えてくれるヒントは親切。

ここが×

  • 長過ぎる割りにシナリオの組み方に難があり、展開が大味。
  • 一部寒かったりするキャラのやり取り。
  • 無意味にしか思えないバッドエンド。

■夜の校舎は物の怪だらけ

いやー、この作品は長かった。私が取り上げた作品の中で長かった作品というと「Bye」がありました。あちらは5ルートで15時間でしたが、こちらは3ルートで15時間。もう参ってしまうくらいの長さ。夏の学校を舞台にした学園ノベルゲームをご紹介します。「かぐらかぐら」とは、なかなかセンスを感じさせ、読み手をそそるタイトルです。

出だしは、主人公含む4人が、夜の学校で「学校七不思議探し」をするところから始まります。これが、よくある肝試しではなく、本当に学校に変なものが住み着いているというのが、新しいと言うか変わっています。この作品のノリならばそれもありかも知れませんが、世界観にそぐわないような気がしました。舞台となるのは、山間の田舎町。季節は夏。それだけを見たら、風情漂ういい感じの世界観なんですが、その世界観に漫才のようなやり取りが、どうも上手く乗っていないように感じるのです。

物語は7月の2週間。合間には、結構手をかけたと思われる、RPG風のネタとか、テレビショッピングネタとか、その他脱力系のネタも入って来ます。もちろんそれ単体で見れば面白いんですけど、これも「夏の田舎町をいい感じに描く」という、本来の目的からすると、どうもずれているように思えてなりません。キャラ同士のやり取りも自然とは言い難く、後輩キャラを、ひたすら足をかけて転ばすだの額を弾くだのするというのも、主人公のキャラクターメイキングとしては、ちょっと首を傾げます。後半では完全に消えてしまう、主人公の友人大輝(もしかしたら、意図的にそうしているのかも知れませんが)も、もうちょっと使い方があったのではと思います。

更に、1ルートだけでも5時間近いという、かなりな長丁場なんですが、その割りに物語が薄いのです。なので、描写の大半は、キャラ同士の日常に費やされます。なのに、その日常がそんな感じなので、実際の展開以上に「緩く」感じてしまいます。長い物語ならば、部分部分にもしっかり読み手を飽きさせないように小さな流れを作っていかないと、読者は途中で嫌になってしまうでしょう。

加えて、長ければ長いほど伏線は緻密に張る必要があります。それをキャラクターのやり取りとかギャグだけでやってしまっている上、伏線も緻密とは言い難く、どちらかと言えば展開は唐突なので、とにかく「長さだけ」が感じられるのです。

また、中盤までがそんな感じですので、後半のシリアスさや恋愛模様というのが、どうにも「取って付けた感」を拭い切れません。前半であまりに遊びすぎているため、恋愛に至る展開が説得力を欠いているのです。佳織シナリオのイベントで、主人公がいきなり丁寧口調で恋愛を語り始めた時は、「!??」と固まってしまいました。

ヒロインは3人。メインの佳織は普通の恋愛話ですが、後輩の小春や美冬は、少し伝奇めいた展開です。攻略は特に難しくはありません。佳織→小春→美冬の順に読むのが良い感じだと思います。ただ、これだけのボリュームのマルチシナリオなのに、既読スキップがないので、挫折しそうになりますが……(システムはNScripter)。

この作品は、序盤は1日ごとにヒロイン3人の好感度を教えてくれます。これは親切ですね。演出はアレですが、まああのやり取りの中なら、ありかも知れません。それだけ丁寧にしてくれてるのに、中盤で好感度が足りずに、一度バッドエンドを食らいました(苦笑)。中盤だけでなく、この作品はバッドエンドがやたら多いです。それも「選択肢ミスで一発死」。場合によってはかなり萎えますので、頻繁なセーブをお勧めします。

それと、こんな事は初めてなのですが、この作品はエンディングで「無音」になってしまうのです。PCの側の問題かとも思いましたが、他のソフトでは問題は起こりません。エンディングロールを見ると、ラストでは歌が流れるはずだったみたいです。かなり惜しいですね。3本のシナリオは、いずれもかなり綺麗にまとめてくれますから、エンディングで何か流れるのとそうでないのとでは、大分印象が変わったはずなんですが。

この作品は、合う合わないが結構はっきりした作品ではないかと思います。「夏の田舎町の情緒ある物語」を期待すると、一本背負いを食らってしまいますが、数多い手の込んだギャグが肌に合うなら、退屈せずに読める物語になるはずです。長い作品ですから、まずは初日だけでも軽く様子見でプレイしてみては。
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