第157回/ヘレン、紐よ! まだらの紐よ! - シャーロック・ホームズの事件簿 魂の在り処(tea) - アクション・ドラマ
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第157回/ヘレン、紐よ! まだらの紐よ! - シャーロック・ホームズの事件簿 魂の在り処(tea)

アクション・ドラマ
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シャーロック・ホームズの事件簿 魂の在り処

シャーロック・ホームズの事件簿 魂の在り処■制作者/tea(ダウンロード
■容量/16.8MB

世界中で知らぬ者はない、名探偵の代名詞シャーロック・ホームズ。彼が若き日、大学時代の話。シャーロックと恋人のエリザベスに指環を贈るつもりで宝石店に入ったが、そこで事件に巻き込まれ……。推理要素はなく気軽に楽しめる、シャーロック・ホームズの二次創作作品。

ここが○

  • モノクロ映画を模した背景画像が良い雰囲気。
  • 原作を知っているとところどころにやりとできる。
  • 気軽に楽しめるマルチシナリオ。

ここが×

  • ホームズにしろワトスンにしろ、かなり「らしくない」。
  • どうもすっきりしない終わり方。
  • 本編とは合致しない描写はホームズファンとして気にかかる。

■ヘレン、紐よ! まだらの紐よ!

私は、シャーロック・ホームズがかなり好きで、新潮と早川で長編も短編も全部の作品を読んでいます。また、ホームズの帽子(原作にはそういう描写はないけど)「ディアストーカー」を日常的に愛用してたりしてます。シャーロック・ホームズの二次創作と聞けば飛びつきますが、そう言う訳ですのでホームズの二次創作には、大変やかましいです。

シャーロック・ホームズ譚自体は、推理小説ではありますが、本格推理ものと違って、物語とかキャラクターが生きた、短編として面白い話が実は多いのです。そんなところが、今もって全世界中で愛されている理由でしょう。私自身もそういう理由で、本格推理ものより、物語やキャラクターを味わえるホームズ譚が好きなのです。キャラクターが立っている上、起承転結がはっきりしており、特に「綺麗で印象的なオチがつく」話が多く、短編を書く方はホームズ譚を参考にすると良いと思います。

さてこの作品は、シャーロック・ホームズの名前を冠してはいますが、推理ものではありません。30分程度で読める、気軽なマルチシナリオです。そして、実は原作であるところのシャーロック・ホームズ譚では、物語の記録者である医師のワトスンが主役っぽい扱いです。このワトスンが、全然ワトスンっぽくなくて、少々ずっこけました。それを言ったら、ホームズも全然ホームズっぽくないんですけど。

若き日のホームズだからこれもありと言えばありかも知れませんが、原作にもホームズが大学在学中のお話があるんですよね(グロリア・スコット号事件)。それと比べると、いささかギャップが……。「グロリア・スコット号事件」では、学生のホームズは既に名探偵としての素質を存分に発揮し、ずばずば推理してますが、この作品のホームズは、ちと頼りなさ過ぎる気がします。あと、原作では人情家のワトスンも、かなりアレな感じです(汗)。

二次創作ならば、本編では全然出て来ないネタでも、あるいはたとえファンの空想や妄想であろうと、「これは本編のあそこに繋がるんだな」というのを感じさせてくれる描写が欲しかった気がします。それこそが二次創作を読む楽しみですし。ワトスンを主役に持って来るにしても、もう少しやりようがあったのではないでしょうか。特に後半は「ワトスンがそいつを知ってたら、本編はどうなるんだよ」と、思わず突っ込みを(笑)。

また、「本編のアナザーストーリー」的な二次創作でなく、パロディとして笑うための作品としても、少々ずれを感じます。二次創作って、大体が本編から想像を膨らませたアナザーストーリーか、パロディかのどちらかでしょうが、二次創作としてはちょっとどっちつかずになっている感がありますね。

この作品で特徴的なのは、モノクロ映画を思わせる背景です。フィルム再生を模した画像のぶれが、とても雰囲気を出しています。原作は英国ヴィクトリア朝のお話ですから、こう言った演出の効果は非常に高いと思います。音楽はクラシック曲主体で、これまた作品に合っていると思います。立ち絵はないですが、背景と音楽の効果がそれを補って余りあります。

エンディングは5つですが、難易度は全然高くなく、全部見ても30分少々でしょう。コンプリートすると、エンディングリストから「斑の紐」なるおまけシナリオが読めます。もちろん、ホームズ譚でも一二を争うほど有名なあの作品から取ってますが、これまた主役は完全にワトスン。ホームズファンには納得いかないところも多いですが、「まだらの紐」を読んだ事があれば楽しめるでしょう。つーか、だらしなさすぎるぞホームズ(笑)。

シャーロック・ホームズをこよなく愛する私ですから、少し辛口目の評価になりましたが、ホームズ譚を読んだ事がない人でも楽しめる話だと思います。むしろ、読んだ事ある人だと、ちょっと突っ込みたいところが多く、読んだ事ない人にお勧めかも知れません。ただ、やっぱりワトスンは「物語の執筆者」じゃないとなあ、と思わされました。
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