第170回/ああ、青春よ! 青春よ! - ツルゲーネフによろしく~Give my love to Turgenev(3 on 10) - 恋愛
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第170回/ああ、青春よ! 青春よ! - ツルゲーネフによろしく~Give my love to Turgenev(3 on 10)

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ツルゲーネフによろしく~Give my love to Turgenev

ツルゲーネフによろしく~Give my love to Turgenev■制作者/3 on 10(ダウンロード
■容量/152MB

人呼んで「真面目のまーくん」。主人公は、ある日学園のアイドルを屋上へ呼び出した。目的は、もちろん告白。しかしその告白は実は「コンテスト」のため? そんなふざけた雰囲気を察してか、彼女は条件付きでその告白を受け入れ、「私をツルゲーネフと呼びなさい」と言う。音と動きの演出が非常に凝った恋愛ノベル。

ここが○

  • 画面が非常に綺麗。
  • 音と動きの演出が非常に凝っている。
  • ヒロインのボイスが雰囲気たっぷり。

ここが×

  • 展開が何だか急な気がする。
  • 「ツルゲーネフ」でなくても良いような……。
  • 恋愛ものとして見たら、全体に唐突な感じが。

■ああ、青春よ! 青春よ!

今年最後のご紹介はこの作品。既にあちこちで話題になっているので、今更私がレビューを書く事もない気もしますが、行ってみましょう。独創的なタイトルが目をひく作品です。選択肢なしの学園恋愛ノベル。タイトルに登場するツルゲーネフってのは、ロシアの作家ですね。で、この作品内でも彼の「はつ恋」(私が読んだ新潮文庫版はこういうタイトル)という作品が登場します。とは言え「初恋」という題材以外、この作品との共通点はあまり感じませんが……。私は「まさか『ああいうオチ』(「はつ恋」を読んでいる人なら分かるはず)がつくのでは」と思っていたんですが、さすがにそんな事はありませんでした(笑)。

この作品でまず驚かされるのは、開始した時の「天地逆転」表示。そして出だしの突飛さ。こういう「なんちゃって彼氏彼女」という設定は「おためし、かのじょ」がありましたね。もっともこの作品の雰囲気とはあちらとは大分違いますが。そして、出だしの色々なインパクトと比べると、物語自体は意外なほどに正統派でまっすぐな作りです。

また、この作品はキャラクターの立ち絵やロゴがもの凄く凝っていて綺麗な上、音や動きによる演出がとにかく非常に手がかかっています。それこそ、伝説のサンダーボルト三部作とためを張れるくらいです(笑)。アニメーション作品的な雰囲気で、大いにプレイヤーを物語に引き込ませる事に成功していると思います。ただ、個人的には音や動きであれだけ演出するなら、文章は少し抑えめが合っているのではないかと感じました。

さて、この物語は正統派の学園恋愛ノベルなんですが、展開が妙に急です。恋愛ものではあるんですが、恋愛に至る要素の描写がもの凄く希薄(主人公、ヒロイン共)で、後半近くでいきなりすとーんと落とされるんですよね。まあ落とし方自体は綺麗ではあるんですが、恋愛の描写が乏しい上、特に後半は展開が急で、「え、ここで終わるの?」という終わり方をしてしまうため、恋愛物語として見たら、少し消化不良感が。存在しか登場しない主人公の幼なじみを、もう少し上手く絡ませていたら、一味違ったのではないかと思います(もっとも、この作品は元々コンテスト用に作られたそうなので、そこは仕方がない面もあるでしょう)。

しかし、おまけシナリオで語られるヒロインの心情などはかなり細やかで。本編と合わせて1本という感じですね。本編だけだと45分くらいで、短編と言ってもいい尺の物語です。短編としては物語が起承転結の「起承」辺りで終わってしまう感じなのですが、おまけと合わせればありかも知れません。

今作はヒロインがフルボイスで、声優さんの演技が良く、雰囲気を高めています。いわゆる「ツンデレ」ヒロインなのですが、演じ分けが上手いなあと感じました。また、おまけでNG集が聴けたりするのが面白いです。作品全体から、「とにかくプレイヤーを楽しませよう」という空気が、ひしひしと感じられます。このサービス精神には感心させられました。

なお、作中で主人公とヒロインの本名は最後まで明かされないんですが、これは案外と気になりませんでした。冷静に考えると「学園のアイドルの名前を知らないのはどうなんだ?」という気もしなくもありませんが、これはこの作者さんの「語りの上手さ」のなせる技かも知れませんね(おまけのアドレス交換のシーンで、お互いの名前が分かれば、綺麗だったのではないかと思いますが)。

この作品は、恋愛ものとして見ると、ちょっと走り過ぎの感があるキャラクターのやり取りなどで、少し唐突に感じてしまいます。しかし「学園もの」として見れば、凝った演出や、そんなキャラクターも含めて十分に楽しめる作品になっていると思います。ツールはNScripter。システム面の作り込みも丁寧。おまけまで全部読めばプレイ時間は2時間くらいです。ツルゲーネフを読んでなくても問題はありませんので(笑)、気軽に楽しんでみてください。
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