第171回/昔々雪女がいましたとさ - ゆき☆おん!(ゆき☆おん!企画) - 恋愛
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第171回/昔々雪女がいましたとさ - ゆき☆おん!(ゆき☆おん!企画)

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ゆき☆おん!

ゆき☆おん!準推薦
■制作者/ゆき☆おん!企画(ダウンロード
■容量/48.9MB

幼い頃、雪女に父親を殺されたという過去を持つ角谷総司。所属する大学のサークルの夏休み合宿で、毘父村にやって来た。総司は早速雪女伝説の調査を開始。謎の多い部長、雪女そっくりの美少女、鶴っぽい女性、そして(略)。誰でも知ってる昔話をベースに意外なラストで驚かせてくれる、お気軽な伝奇恋愛ノベル。

ここが○

  • 個性的で分かりやすいキャラクター。
  • 雪乃編後半の意外な展開。
  • 雰囲気たっぷりのオープニング。

ここが×

  • 姫子はもうちょっと何とかならなかったのか(笑)。
  • 意外ではあるが、あまりに突飛な雪乃編後半。
  • それに比べると、どうにも薄味な千鶴編後半。

■昔々雪女がいましたとさ

これは分かりやすいタイトル。「雪女」をモチーフにした、一風変わった恋愛ノベルです。舞台は、大学の歴史研究会のメンバーで出かけた、三泊四日の旅。毘父村(びっぷむら)という名前は(汗)。とにかく、よくある学園恋愛ものとはちょっと違う感じで、オープニングのムービーや、幼い主人公と父親のやり取りも、雰囲気を高めています。ただオープニングがクリックで飛ばせないのは、何度かプレイすると少しストレスになります。

この作品は、タイトルからすぐお分かりのように、雪女がテーマ。もちろんメインヒロインは、名前からして(見た目も)それっぽい幸村雪乃です。サブヒロインの船場千鶴、(略)な竜宮姫子、そしてパワフルな部長の高岡メイと、キャラクターはほぼ女性ばかりですが、キャラクターはよく立っていて、ギャグもなかなか効いています。舞台設定やキャラクター描写は、まずは上々で、物語にひきこませてくれます。三泊四日のサークル旅行という設定がいいですね。ただ、山奥の村なのに何で秋葉原があるんだ、って話ですけど(笑)。

さて、ヒロインである雪乃のシナリオですが、雪女物語をテーマとしていながらも、後半はおやっと思うような意外な展開を見せてくれます。そして、全体を通じたほのぼのとした雰囲気とは打って変わって、後半はかなり重い内容です。ただ、ラスト近くに来ると、意外を通り越して「無茶苦茶」に感じてしまった箇所もあるんですが。意外である事は間違いないですし、プレイヤーの思い込みを逆用して、上手に裏をかいてくれるんですけど。

それでも、エピローグで「重さ」を上手く払拭して綺麗にまとめており、読後感は上々。誰でも知っている昔話を逆に利用し、巧みに盲点をついてきてくれます。昔話を題材とする事で読み手が当然「こうでは」と予想する部分に、上手に乗って、また上手に裏切っています。キャラ名すらもミスディレクションに使ってしまっている作りは、なかなかやりますね。

また、物語としてだけでなく、恋愛ノベルとして見ても、雪乃シナリオは上手くできています。途中、物語と上手く絡めて緊張感を高めていますし、甘ったるい部分も味付けとして適度に使われています。恋愛ノベルの場合、物語と恋愛を上手くリンクさせて進行させるのは、思った以上に難しいものです。この点、この作品はなかなかハイレベルであると思いました。

ただ、サブヒロインの千鶴シナリオが、かなり薄く感じてしまいました。この作品、よくある分岐恋愛ノベルみたいに、中盤くらいで選択肢で特定のヒロインのシナリオに分岐する訳ではなく、終盤近くまでが「共通シナリオ」なので、一層そういう印象が強くなってしまった感があります。雪乃シナリオくらいとまでは行かなくとも、もう一捻りがあればと思わされました。千鶴の立ち絵は、「なるほど鶴っぽい」感じでとてもよく出来ているんですが。

そして、「ノベルゲーム最凶ヒロイン」、姫子。まあ確かにギャグ担当ですし、実は姫子シナリオでのみ明かされる意外な事実もあったりはするんですが、個人的にはもうちょっと何とかならないものかと思いました(汗)。立ち絵も最凶ですし(笑)。確かに、制作者さんからすれば動かしやすいキャラクターではあるでしょうけど。とは言え、この作品は匿名掲示板での企画のようですし、個人制作のようにはスムーズに行かない面もあったでしょう。そう考えれば、姫子のようなキャラクターがあった方が、シナリオ制作などがスムーズに進んだというのはあるかも知れません。

選択肢はありますが、多くの分岐はその場の受け答えが変わるだけなので、攻略は難しくありません。先に書いたように、大部分が共通シナリオで、分岐ものの醍醐味を感じられるというタイプの作品ではありませんが、意外な展開をするストーリーを気軽に楽しめます。

システムはLive Maker。1回目は2時間弱くらいかかると思いますが、シナリオの共通部分が大きいので、コンプリートにも時間はかからないと思います。伝奇風で、出だしからすると何だかうやむやになりそうな点もあるのに、終わってみれば綺麗にまとまっている、「単純に見えた結び目が、案外凝った結び方をされており、それが綺麗にほどけてみると、シンプルな1枚の布だった」という様を見ているような爽快感を感じられる作品でした。
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