第176回/満面笑顔満載列伝 - io(すぺ) - SF
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第176回/満面笑顔満載列伝 - io(すぺ)

SF
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io

io■制作者/すぺ(ダウンロード
■容量/39.6MB

主人公の高校生秋野樹は、園芸部の部長。第32回園芸部緊急臨時会議を始めようと、部員達を部室に集めていた。やがて会議を始めるが、部員の照山もみじは、いきなり部室を改築すると言い始め……。独特の世界観でまるでジェットコースターのように進み、読了する度に話が変わる、SF学園アクションノベル。

ここが○

  • キャラクターのパワーで引っ張るテンポ。
  • 迫力のあるアクションシーン。
  • 面白い日常シーン。

ここが×

  • 展開が無理矢理すぎる気がする。
  • 途中で全く話について行けなくなる恐れ。
  • 特殊能力を持ったキャラが登場し過ぎのような。

■満面笑顔満載列伝

またもちょっと古めの作品。この作品、実は結構前にダウンロードしてプレイしていたのですが、1周目の難解さに「?」となってしまい、それっきりになってしまっていました。改めてプレイすると、ストーリーを綺麗さっぱり忘れており、あまつさえタイトルの「io」の意味すら忘却の彼方へ(汗)。

今作は、分類すれば「学園SFアクションノベル」ですが、過去の作品を探しても似た作品が見当たりません。独特の存在感のある作品です。何せ、学園ものにも関わらず、ほとんど学校内が舞台になりませんから(笑)。冒頭で、社長令嬢のもみじが園芸部の部室を大改築してしまうのですが、この辺りの展開はあまりにも豪快すぎて、読んでいて目が点になりました。しかし、それを不思議に納得させてしまうパワーのある作品です。アクションシーンだけでなく、日常シーンのテンポも特筆もので、キャラクターの掛け合いが、くどずぎない範囲で良いバランスでシナリオを引っ張ります。

さて、この作品はSFアクションであり、アクションシーンは非常に迫力があります。プロットもかなり複雑で、意外な展開も多々見せます。が、プロットが複雑すぎて、途中で何が何だか分からなくなってくるんですよね。1周読了して最初からプレイすると、新たな選択肢が出て来て、計3周プレイできるのですが、特に1周目は二度目のプレイでも、途中でついていけなくなってしまいました。

たとえれば、「凄く精密な仕掛けを使っているのに動作が大味」という感じ。展開も、意外というよりは唐突で脈絡がない事が多いのです。作者さんの中ではきっちり組み上げられていて完結しているのかも知れませんが、作者さんのテンポに、読み手のテンポがついて行かないのです(私が頭悪いだけかも知れませんけど)。

困った事に、キャラクターや展開自体は凄くテンポがよく、のめりこめるし楽しめるんですよ。しかるに、そっちに気を取られていると、一体何の物語なのかさっぱり分からなくなってしまうという。「スリルを楽しんでいるうち、景色を見ているどころではなくなってしまったジェットコースター」という感じです。

ただ、楽しい事は無類です。一般にちょっと極端気味のキャラクターのやり取りは、傍からみているとひいてしまう事も多いのですが、この作品ではそんな事はありません。凄い能力者やら社長令嬢やらが集まっている個性豊かなキャラクターを、主人公である樹ががっちり束ねています。束ねているのですが、主人公である樹は、妹の夕日と比べると特筆すべき能力者という訳ではありません。この「能力ではなく、人格でサブキャラを束ねる」主人公こそが、この作品の全体の雰囲気を方向付けていると思います。

ただ、キャラクターはちょっと特殊能力者と言いますか、常人離れしすぎていて、感情移入という点では少し厳しいものがあります。それを全部主人公である樹が背負っている訳ですが、樹にしたって常人とは言い難いし(笑)。しかし、多くの作品が主人公から「常人的な感性」すら取り払い、もって読者の感情移入を妨げている事を考えれば、この作品の主人公が読み手の感情移入に果たしている役割は、非常に大きいと言えましょう。

全部で3周あるシナリオのうち、3周目の和亜シナリオは、少し弱いかなと思いました。また1周目の夕日シナリオは、ラスト近くのあまりにも超越している展開(「奇跡」ってどういう事??)に、少々訳が分からなくなってしまいます。2周目のもみじシナリオが、楽しさとシナリオの面白さが一番バランスが良くお勧めです(それでも「?」な点は残るのですが)。「お勧めです」つったって、この作品はどのみち順番に読まなければならないんですけどね(笑)。

BGMは、多くがクラシックのピアノ曲です。凄すぎる園芸部の部室で、凄すぎるキャラが繰り広げる物語ですが、このBGMが不思議に合っています。システムは吉里吉里。プレイ時間は全部読んで7~8時間というところでしょう。迫力のあるアクションシーンは必見です。
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