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第191回/君だけをガールフレンドに - 浮かない顔した女の子(風神)

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浮かない顔した女の子

浮かない顔した女の子準推薦
■制作者/風神(ダウンロード
■容量/83.2MB

高校生の翔は、つい先日同級生で同じ軽音楽部の谷崎雫に告白して振られてしまった。それから雫は何かと翔を避けるようになる。ある日翔は雫がリストカットをしている現場を目撃してしまう。そして迫る学園祭。学園祭でのバンド演奏は? 翔と雫の仲はどうなるのか? 独特の心情描写が光る学園恋愛ノベル。

ここが○

  • 立ち絵が凄く綺麗。
  • 意外な出だしから、心情描写で読ませる物語。
  • ラジオ放送が流れたり、エンディングで歌が変わるなどの小粋な演出。

ここが×

  • フォントが小さくて読みにくい。
  • 要素を盛り込み過ぎた感のあるシナリオ。
  • 立ち絵と背景が何となくマッチしてない気が。

■君だけをガールフレンドに

学園恋愛ノベルの出だしの王道は、「主人公の部屋に幼なじみが起こしに来て」でしょう。あるいは「ある日見知らぬ少女と出会い」もありかも知れません。そういう王道を期待していると、この作品は出だしでまず巴投げを食らいます。なんと主人公がヒロインに失恋した直後。しかも主人公とヒロインは部活が同じ。更に加えて、主人公とヒロインは軽音楽部で同じバンドで活動する羽目に。これだけでも、「一体どうなるんだ?」と読み手の興味をひく事は間違いないでしょう。

この作品、まず目をひくのが圧倒的に美しい立ち絵。いわゆるアニメ系ではないですが、作品世界に非常によくマッチしています。反面、背景は少し加工を加えるくらいの方が、立ち絵の絵柄に合っていたように私は思います。立ち絵はどちらかと言えば写実的な感じですが、だからこそ背景は写真そのままではなかった方がより良かったのではないかと。ちなみに、舞台は北海道のようです。大通公園とか出て来ますし。

登場人物は4人です。主人公の翔とヒロインの雫の、妙にぎくしゃくした描写は、読んでいる方もなんだかどきどきしてしまいます。そしてその2人を何とかしてなだめようとしつつ、時折わがままなところも見せる茜、我が道を行く軽音楽部長の愛理。この4人の立ち位置とその絡みが絶妙で、4人のやり取りだけで読ませてしまう筆力は大したものだと思います。

普通、男1人+女3人という組み合わせだと、「もう1人男性キャラクターがいた方がバランスいいんじゃ」と思うものですが、この作品に関してはそんな印象がありません。これは、4人のキャラクターの役割が非常にはっきりしている事、そして茜と愛理の立ち位置の適切さによるものでしょう。

さて、シナリオですが、一応恋愛ものに分類される物語ですが、あまりストレートな恋愛という感じの描写はありません。何気ない日常を通じて少しずつ成長する高校生の物語です。恋愛や部活、その他の要素は味付けに過ぎないという感じ。しかし、心理描写が巧みで、それだけで物語としての読み応えがあります。

ただ、個人的にはシナリオに1本しっかりした幹が欲しかったように感じます。恋愛にしろ、学園祭での部活の演奏にしろ、リストカットにしろ、進路問題にしろ、幹という感じではなく、全体を通してみると少し中途半端な印象です。この作者さんはかなり文章力がある方だと思いますが、それ故に要素を盛り込み過ぎてしまったように感じます。テーマはもちろんあるんですが、それがあちこちに引っ張られてばらけてるんですよね。

そのせいか、長さの割りに「物語を読んだ!」という充足感が少ない気がします。キャラクターや描写などは非常に良く出来ているんですから、物語にしっかりした核と、「盛り上げて落とす」ラストがあれば、より強い感銘を受ける物語になったのではないでしょうか。

この作品はヒロインがフルボイスです(おまけシナリオ除く)。それだけでなく、途中では翔が聴くラジオ放送まで流れます。また、エンディングでは歌が流れますが、この歌が3種類あり、ちゃんと該当するヒロインが歌ってくれます。こういう小粋な演出にはにやりとさせられます。

物語は「第一楽章~第三楽章」という風に分けられていて、一度エンディングを見ると「最終楽章」なるエピローグが見られます。また、茜と愛理のおまけシナリオが読めたりします。特に茜シナリオにおける「表現論」には、大いに共感する人も多いのではないでしょうか。その辺りも含めて、全編を通して作者さんの考えがよく見える物語です。よく出来たキャラクター、確かな文章力のおかげで、決して作者さんの思想が押し付けがましく感じたりはしません。エンターテインメント性も十分感じられる作品です。

プレイ時間は3時間くらいでしょう。ツールはLive Makerです。エンディングは2+1種類。選択肢はありますが攻略で迷う事はないはずです。一風変わっていますが、これもまた間違いなく「青春ノベル」。どちらかと言えば、正に青春真っ盛りの人の方が共感できるかも知れません。
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