第196回/過ぎ去る今日は希望の証 - ru-pu(篝火) - 不思議系
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第196回/過ぎ去る今日は希望の証 - ru-pu(篝火)

不思議系
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ru-pu

ru-pu■制作者/篝火(ダウンロード
■容量/6.05MB

高校生の弘文は、その日も目覚ましを力づくで止めて二度寝をしてしまい、遅刻してしまった。からかう同級生を尻目に、昼休み屋上へ上った弘文の目の前に、下級生と思しき少女が現れた。彼女はどうやら弘文の事を知っているようだが、弘文には覚えがない。シンプルな作りの短編ループノベル。

ここが○

  • 短い時間でお手軽にプレイできる。
  • 水彩画風の奇麗な立ち絵と1枚絵。
  • シンプルながら、謎が解けて行く様子は上手に描写。

ここが×

  • ループものとしてはもう一捻りが欲しい。
  • 途中でオチが読めてしまう。
  • ラストにもう1つ余韻が欲しい。

■過ぎ去る今日は希望の証

ループものって、「隠されていた謎が、繰り返すたびにだんだん明らかになる」という作りの関係上、どうしても長くなりがちですが、この作品は短いです。30分かからないでしょう。短すぎて、初回のプレイ時は「え? 何が起こったの?」となってしまうかも知れません。再びスタートすれば、ループの2日目が始まるので、ご安心ください。

この作品の絵をぱっと見て、どこかで見たようなと思った方は、鋭いです。これは「ブラックオクトウバー」の絵師さんが描かれた絵です。ブラックオクトウバーでは、濃淡のはっきりした絵柄だったんですが、こちらは水彩画風の淡い色調。これがまた雰囲気にとても合っていていいんですよ。1枚絵も(数は多くないですが)すばらしいです。この絵を見るためだけでも、この作品を見る価値があると思います。

さて、この作品はループものとしては非常にシンプルな作りですが、反面「途中で話がこんがらがって、訳が分からなくなる」事はありません。一直線にラストへ向かって進んでいきますから、そういう意味では非常に読者に優しい展開です。ループものって、繰り返す度に謎がほどけていく様子を味わえるのが醍醐味ではありますが、勢い余って複雑にしすぎると、読み手には一体何の事だか分からなくなる恐れもありますから。

しかし、この作品の場合は、もう少しループものらしい踏み込みが欲しかったような気もします。というのも、短編ループらしい丁寧な作りで、だんだん謎が解けていく様子自体は上手く描けているんですが、どうかすると「これ、ループしなくても物語として成立するんじゃ?」と思ってしまうのです。

と言いますのも、ループものでは読者は当然ループしている事を知っています。そしてこの作品の場合、ヒロインもループしている事を知っています。また、主人公はだんだんループに気付きます。という事は、最終的にはみんな「輪の中に入る」のです。なので、後半が少し一本調子になりがちなんですね。ループものでは「最後まで輪に入らない」キャラクターを上手く活用し、しかもその輪に入らないキャラクターが、繰り返す度に微妙に対応が変化するところが面白さだと思います。そこに一押しが欲しかった気がします。

またループものは、繰り返す事で主人公が少しずつ真相に近づいていく、「謎解きのためのループ」にばかり目が行きがちですが、もう1つ「演出のためのループ」も活用できれば、より良い作品になったのではないかと思います。そのためにも、上に描いた「ループの外にいるキャラクター」が、少しシナリオに絡めばなと思いました。ループの中にいるキャラクターと、外にいるキャラクターのずれからくる苦悩とか悲しさ、みたいなものを描ければ、面白かったのではないか、と。

とは言え、30分程度の時間で気軽に読めるループものとして、十分楽しめると思います。BGMはクラシック曲が数曲ですが、シンプルな作品ですから、BGMもあまり構えず、これくらいシンプルな方が雰囲気に合っているでしょう。選択肢はありますが、難易度は高くなく、普通に選んでいれば1回でラストまでたどり着くと思います。

システムは吉里吉里。ループものなんだから既に読んだ文章はスキップした方がいい気もしましたが、短いですし、それほど気になりませんでした。ループものがどうも苦手という方にも、軽く読めますので「ループものってこういうものか」というエッセンスが味わえます。お気軽にプレイしてみてください。
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