第205回/なんてったって中学生 - 甘夏スピカ(はまち) - 恋愛
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第205回/なんてったって中学生 - 甘夏スピカ(はまち)

恋愛
  • comment0
  • trackback-

甘夏スピカ

甘夏スピカ■制作者/はまち(ダウンロード
■容量/4.58MB

市原佑介は中学3年生。夏休みを目前に控えた終業式の日。終業式までぶらぶらと時間をつぶしていた佑介は、校舎裏で偶然告白シーンに出くわしてしまう。気になる佑介。立ち去るか、聞き耳を立てるか。ヒロイン2人、夏休みの一こまを描いた、短編恋愛ノベル。

ここが○

  • 王道ながらしっかり作られた流れ。
  • 短いがメリハリが効いている展開。
  • 中学生らしさを生かしたキャラと物語。

ここが×

  • バッドエンドの主人公が、かなり駄目っぽい。
  • Yuuki! Novelなので、複数回のプレイは辛い。
  • 近所でテロでも起こったかと勘違いする花火のSE(笑)。

■なんてったって中学生

今まで何百本のノベルゲームをプレイしたか正確には分かりませんが、最近はどんどん「本格指向」が顕著になっている感があります。もちろん、作者さんが苦労して作り上げた作品ばかりですので、それはそれで結構な事ですが、手作り感に溢れた、気軽に読める作品も味わい深くて、私は好きです。今回ご紹介の「甘夏スピカ」は、まさに手作り感覚の恋愛ノベルです。

作りは非常にシンプル。ヒロインは2人で、幼なじみのゆいなと、同級生の夏帆。基本的に主人公以外はこの2人のヒロインしか登場しません。そして舞台はよくある恋愛ノベルのように高校ではなく、中学校です。ですから、読み始めてすぐは展開が単調になるのではないかと危惧しましたが、思いのほかメリハリが効いており、楽しく読む事ができました。

その理由を考えてみますと、「中学生である」事を上手に利用している、という点があげられると思います。中学生なら少々子供っぽい言動をしても許されますし、高校生ならば恥ずかしくなるような男女のやり取りでも、納得できます。恋愛模様の描写にしても、高校生ならもうちょっと踏み込まないと駄目でしょうけど、中学生ならそこまで行かなくても説得力に問題はありません。そしてこの物語をよく眺めてみると、実はそれほど突飛な事は起きていません。それでいて、中学生らしい、中学生ならではの言動で強すぎず弱すぎずシナリオの加減を引っ張っています。その辺りに、楽しめる要素があるのでしょう。

NHKの「中学生日記」を、舞台を高校にすると多分全く真実味がなくなって楽しめなくなると思うんですが、同じようなものでしょうか(笑)。また、凝りすぎない筆致も、プラスに働いていました。キャラのやり取りも良いですね。佑介がゆいなを推理小説風に追い詰める(?)シーンでは、思わず笑ってしまいました。

立ち絵などはなく、ヒロインの2人はシルエットで表示されます。ホラーとか推理ものならともかく、恋愛ものでシルエットはどうなんだろうと思いましたが、これも案外違和感はありません。リアリティとファンタジーの間でゆらめく中学生の恋愛模様に、シルエットの立ち絵は思った以上にマッチしていたと思います。作者さんが舞台を中学校にした意図は分かりませんが、明確な狙いを持っていたとすれば、かなりのセンスだと思います。

難点ですが、ラストでバッドエンドになる辺りで、主人公がかなり駄目っぽい感じです(汗)。まあ、中学生ですからあれもありなのかも知れませんが、ツールからしても繰り返しプレイには適しているとは言いがたいので、無理に分岐させる必要はなかったのではないかと感じました。同じ分岐させるなら、もうちょっと違った展開が欲しかった気がします。

それと、ラスト近くの花火大会のSE。冗談抜きに、私はMacが故障して火を噴いたのかと思いました(笑)。もっと花火っぽいSEはいくらでもあると思うんですが……いや本当に心臓に悪かった。後半になったら、ボリュームを下げる事をお勧めします。ヘッドホンの方はご注意ください。

短編ながら、恋愛ものとしての流れはしっかりしており、楽しめます。ツールはYuuki! Novelで、繰り返しプレイはしんどいですが、攻略は難しくない(普通の選択肢を選んでいれば大丈夫)ですから、苦労しないでしょう。プレイ時間は1回あたり30分程度。作中の舞台が夏ですし、秋が訪れる前に気軽に楽しんでみてください。しかし「甘夏スピカ」というタイトルはインパクト抜群ですが、意味は一体?
関連記事

Comments 0

Leave a reply