第214回/夏の炎にフォーエバー - ずっと一緒に――(なすびあん) - 学園・青春
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第214回/夏の炎にフォーエバー - ずっと一緒に――(なすびあん)

学園・青春
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ずっと一緒に――

ずっと一緒に――準推薦
■制作者/なすびあん(ダウンロード
■容量/ 83.8MB

大学3年生の山岸悟は、お盆に山奥の実家に帰省してきていた。村の伝統行事とは名ばかりの飲みまくりの宴会に参加し、完全に二日酔い状態の悟の前に現れたのは、伊野村果歩子という女性。ひょんな事から、果歩子は悟の実家で休暇を過ごす事に。夏の想い出に浸れるノスタルジックな長編ノベル。

ここが○

  • 主人公とヒロインの押し付けがましくないやり取り。
  • 夏の村の空気感。
  • 長編なのに心地よいテンポ。

ここが×

  • 途中でオチが読めてしまう。
  • 後半にもう一波乱あっても良かったような。
  • 妙に後ろ向きな気がする終わり方。

■夏の炎にフォーエバー

Vectorに「オンラインマガジン等」というジャンルがあります。滅多にチェックする事はないんですが、たまたま見てみたら良い作品を見つけたので、ご紹介します。ジャンルは「夏に帰省」ものです。これをジャンル名にしてしまってもいいくらいに、このタイプの作品って多いですよね(笑)。

しかしこの作品では、主人公である悟の両親が大活躍(?)します。それこそ、場面によっては悟をそっちのけで大乱闘を繰り広げたり。この騒がしい山奥の実家に、ヒロインの果歩子が加わって、騒がしさと懐かしさが絶妙にミックスされた、良い夏の一時が描けています。これがこの作品でまず感心した点です。

いえ、実のところ、ストーリー自体にはそれほど見るべきところはないんですよ。物語のタイプとしては、既に似たような作品がたくさん出ています(「夏に帰省」に加え、もう1つの核となる部分も過去頻出の設定の物語なんですが、あえて作品名を列挙したりはしません)。容易に先は読めますし(ヒロインの名前で分かってしまうかも)、スーツ姿の女性の扱いは中途半端ですし、後半で何か驚く展開がある訳でもありません。しかしこの作品はとても楽しく読む事ができました。

それはひとえに、少しの非日常を、日常世界に上手に重ね合わせたその描写と、くどくならないほどの騒がしさと、夏の山村のノスタルジーを上手にブレンドさせた文章力にあると思います。凝ったシナリオや突飛なキャラクターがなくとも、これだけで楽しめる長編になるのかと驚きました。実際、キャラクター数もイベント数も、それほど多い訳じゃないのに、退屈を感じる事がありませんでした。これは凄いと思います。

あとは、過去回想の入れ方のタイミングと量が適切だった事も、長所として挙げられると思います。回想って、下手をするとやたら入れまくって現在の物語が全く進まない、なんて事にもなったりしがちなんですが、物語の流れを切らずに、上手にストーリーに彩りを与える事に成功していると思いました。

それにしても、同種の設定の作品はたくさん出ているんですが、その中でもこの作品が傑出しているのは、主人公とヒロインの距離感の演出と会話でしょうね。変に他人行儀になったり、変にヒロインが謎めいたりせず、上手く主人公と距離感を取って進むため、物語自体は非常に先読みがしやすいのに、そこに目を向けさせる事なく、「懐かしさを感じる物語」だけを味わわせてくれていると思います。

ただ、後半はもうちょっと盛り上がっても良かったのではないかと感じます。イベントもあったりしますが、少しラストの盛り上がりに欠けるところがありますし。それに、子供の頃のいじめっ子が後半で登場しますが、「お前も女連れてておいて何を抜かすか!」と思ってしまったりしまいました(汗)。

もう1つ、終わり方が妙にぶつ切りで、更に少々後ろ向きな感じがするのが気になります。もちろん、作品のテーマからすればあれでも良いと思いますし、純粋なハッピーエンドにはしようがないですし、それにあれはあれで主人公が過去と決別したとも言えるのですが、主人公が前向きに生きて行けるところを、何かしら見せて欲しかった気がしますね。後半と終わり方に、もう一捻りがあれば、更に完成度が上がっていたのではないかと思いました。

立ち絵はヒロインの果歩子のみで、後のキャラクターは影絵です。サザエさんみたいな母さんがナイスです。ちょっと父さん&悟に同情してしまいました(笑)。背景は良い写真を選び、加工も上々で作品の雰囲気によく合っていたと思います。1枚絵も数は少ないですが、ここぞという場面でシナリオを盛り上げています。

システムは吉里吉里、プレイ時間は4時間で選択肢はなしです。あまりにもありがちな設定&出だしだなあと思わず、是非プレイしてみてください。きっと良い一時が過ごせると思います。
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