第217回/一期一会は絆の始まり - 本気で恋愛ゲー作らないか(本気で恋愛ゲー企画) - 学園・青春
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第217回/一期一会は絆の始まり - 本気で恋愛ゲー作らないか(本気で恋愛ゲー企画)

学園・青春
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本気で恋愛ゲー作らないか

本気で恋愛ゲー作らないか推薦
■制作者/本気で恋愛ゲー企画(ダウンロード
■容量/426MB

主人公石井拓海は、大学に通いながら同人ゲーム制作に没頭していた。ある日、web上で約束を取り付けた絵師が突然音信不通に。失意の拓海は、偶然彼好みの絵を描く同じ大学の学生、西原秋奈と出会う。今度こそと思い、秋奈に絵を描いてくれるように頼む拓海。全てのゲーム制作者に送る、「ノベルゲーム制作ノベル」。

ここが○

  • 一期一会の出会いから、制作物が形になるまでの波瀾万丈。
  • バランスの良いキャラクターのやり取り。
  • 長編なのにイベント満載で少しも飽きさせない。

ここが×

  • 主人公が一部少々破綻気味。
  • テキストやキャラクターが、ちょっとマニアック。
  • サクセスストーリー的な面白さがあればもっと良かった。

■一期一会は絆の始まり

今年4本目の推薦作のご紹介です。今年はこれで47本目のレビューで、推薦が4本というのは、良いペースだと思います。この作品のテーマは、ノベルゲーム制作。過去にも「ゲーム作ってます」「いまじんすらっぷ!」など、同じようなテーマを取り扱った作品はありました。また、制作風景をジョークにしてしまった「フリーソフト制作過程」「のべるのじかん」という作品もあります。

が、この作品はノベルゲーム制作者なら誰でもぶつかる葛藤を、適度なデフォルメを利かせた上で非常にドラマティックに描いており、そのエンターテインメント性と物語性において、同様の作品の中で群を抜いて優れています。途中までプレイしている段階で、「後半を上手くまとめてくれれば、推薦来たぞこれは」と思っていましたが、最後まで満足の内容でした。

主人公は、大学生のしがないアマチュアライター。冒頭のバトルシーンがアレですが(笑)、彼がweb上で「これは!」と思ってメールで申し込んだ絵師から、せっかく良い返事をもらったのに、ある日音信不通になってしまった、という始まりです。ここだけで「あるある!」と言ってしまう方が多いかも知れません(笑)。

その後、主人公はヒロインである西原秋奈と出会いますが、この作品はまず主人公とヒロインの偶然の出会いから、同じ物を作っていく上での紆余曲折、そして作品が形になっていくまでが、大変上手に描かれています。そしてこれはこの作品の軸とも言えるテーマです。軸がきちんと描かれているのですから、面白い物語になるに決まっています。読んでいるうちに、彼らのチームの一員になって制作を進めているような気にすらなってきます。

加えて、かなりの長編なのですが、主人公の妹や親友の大吾がテンポよく絡んできて次々と興味深いイベントが起こり、読み手を飽きさせません。そのイベントも、各々がちゃんと絡んでおり、全体を貫く「ノベルゲーム制作」という軸を上手に彩っています。チームで何らかの創作に携わった事がある人なら、感情移入度もまた一段と高くなる事でしょう。

テーマがテーマだけに、テキストやキャラクター、一部の演出は少々マニアックですが、過剰なほどではありません。ただ、特に序盤の主人公はかなり性格が壊れていたりします(汗)。その分、ラストでは「やるなお前!」という活躍も見せてくれますから、序盤はあれでいいのかも知れません。ただ、ラストの「アレ」はちょっとやり過ぎという気がしなくもありません。あそこはやはりシリアスな手法で解決すべき場面だったのではないかと思いました。

もう1つは、チームで制作を進めるという点からすると、非常に上手く描かれているのですが、主人公とヒロインの恋愛模様が、もうちょっと前面に出ていても良かった気がします。主人公はいきなり秋奈に惚れるし、秋奈はいつ主人公に惹かれたか分からないという状態で、恋愛ものとしては少し弱さを感じます。ま、この作品の場合、恋愛要素はメインではなく味付けみたいなものですから、これはこれでありかも知れません。ただ、最後の秋奈の告白シーンには一本取られました。お見事です。

立ち絵は綺麗です。絵師さんがキャラクターによって違うせいで、絵柄はかなりずれがありますが、チーム制作のようですし、フリーソフトなら全然問題なしです。キャラクターも多彩で、やり取りも楽しいですが、やはり主人公たち4人のチームが見所ですね。親友の大吾は、途中から主人公の妹といちゃいちゃしてるだけだったという気がしなくもないですが(笑)。

「創作もの」は、創作がだんだん形になっていくので、物語が進むにつれて進行がだんだん平坦になって行くかと思いきや、この作品は後半に至るまで隙がありません。そこらはプレイしてのお楽しみです。欲を言えば、ラストはサクセスストーリー的なカタルシスも欲しかったかなと感じました。エンディングもなかったりするので、そこもちょっと残念です。

とは言え、キャラクター性、物語性、メッセージ性、そしてエンターテインメント性が上手く融合した、非常にレベルの高い作品でした。感動して泣くというタイプの物語ではないのですが、創作活動をされた事のない方にもお勧めです。ツールは吉里吉里、選択肢は実質なし。プレイ時間は4時間くらいです。チーム極楽喫茶の次回作にも、期待しましょう(笑)。
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