第232回/だってたった一人の妹だもの - クロスフェードに堕ちた夢 -renewal-(MME) - アクション・ドラマ
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第232回/だってたった一人の妹だもの - クロスフェードに堕ちた夢 -renewal-(MME)

アクション・ドラマ
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クロスフェードに堕ちた夢 -renewal-

クロスフェードに堕ちた夢 -renewal-準推薦
■制作者/MME(ダウンロード
■容量/23.6MB

1年前に記憶をなくした青年高瀬慶一は、歓楽街の用心棒をして日銭を稼ぐ日々だった。そんな慶一は、ある時如月楓という少女が謎の組織に襲われる場面に遭遇。成り行きで楓を助けた慶一は、自分の記憶探しと並行して楓を見守るが。有名なSFアクションノベル。

ここが○

  • 音楽がとても良い。
  • ジェットコースターのようなテンポの良さ。
  • 息をもつかせぬ展開。

ここが×

  • リアリティの面では、色々な意味で突っ込みどころが多い。
  • 展開がアクションシーンに偏りすぎている気が。
  • 終わり方が何だか投げやり。

■だってたった一人の妹だもの

時々私は過去の作品を思い出したようにプレイしてレビューで取り上げる事がありますが、この作品も超有名作。リニューアル版ではない元の作品が登場したのは、私がレビューを書き始める前の事ではなかったでしょうか。こういう有名作品は、一度機会を逃すとなかなかレビューできなくなってしまうのですが、今回改めてプレイし直してみました。

この作品は、分類すればSFアクションですね。「io」辺りが近い雰囲気を持っているでしょうか。記憶喪失の青年、謎の組織に追われる少女。お約束と言えばお約束ですが、スピード感のある展開と、次々にやってくるイベントで、読み手を飽きさせない作りです。

が、この作品は比重があまりにアクションシーンに偏っている気がします。もうちょっとキャラクターの掛け合いが生み出す日常シーンがあった方が良かったのではないでしょうか。もちろん、キャラのやり取りで流れが澱むのも考えものですが、やはり物語にはメリハリが欲しいものです。確かにテンポの良さやスピード感は無類で、長さを感じさせずに楽しめる作品ではありますが、時には景色を落ち着いて眺める余裕もあればと思いました。そうする事で、スリリングなシーンもより際立つはずです。

更に、確かにテンポはいいんですが、シナリオの作りが精緻というよりは、とにかくアクションのスリル重視の、ジェットコースターのような作品です。長編ドラマというより、むしろ週刊少年漫画的な作りと言いましょうか。もちろん伏線や謎はちゃんとあるんですが、場当たり的と言うか「ノリで展開している」感じがします。上に書いたのと同じ事になりますが、展開のメリハリがあれば、随分印象が違ったのではないかと思います。

ただここらは長所と表裏一体と言いますか、ノリで展開しているテンポの良さ、スピード感があったからこそ、長くても快適に読めたというのはありますし、それがこの作品独自のカラーという事なのでしょう。

そして、数年ぶりにプレイしてもやはり見事だと思ったのは、音楽です。今聴いても全く遜色がありません。日常シーンの少し寂しげな曲(「冬の目覚め」)は、メロディまではっきり覚えていました。フリーノベルゲームの中でも、数少ない「曲が作品と繋がって印象に残っている作品」だと思います。

ところで、この作品はSFアクションに分類される作品ではありますが、少々リアリティに乏しいのが気になるところです。特に医療関連については「それは普通死ぬだろう」な怪我を次々負ってたり(主人公だけでなく、ヒロインその他も)、沙耶が目が見えなかった原因についても「いや、それはちょっと」と突っ込みたくなる物だったりするので、しまいにはドラゴンボールでも読んでいる気になってきました(汗)。文章力がしっかりしているだけに、余計にそこが気になります。リアルでさえあればいいというものでもないですが、作品世界に説得力を持たせる程度には現実感が欲しかったように思います。ジャンルもジャンルですしね。

エンディングは2種類ありますが、元々選択肢なしの一本道だっただけあって、ラストとか一部のシーンが変わるくらいで、ほとんど内容に違いはありません。一度読了すれば、もう一方のエンドは15分で読めるほどです。これはあくまで、旧版をプレイした人へのおまけ的な扱いなんじゃないかと思います。楓と玲華の2種類のエンドがあります。選択肢は分かりやすいので、お気に入りのキャラ寄りの選択肢を選んでおけば、まず間違いはないでしょう。

ただ、終わり方は、それまでの引っぱり具合からすると、かなりあっさりで「え、これで終わるの?」という感じもしました。そういうところまで週刊少年漫画的と言いますかなんと言いますか(汗)。ラスト近くの美希子のくだりも、「今まであんな事していた人が、そう簡単に?」と違和感を覚えました(彼女に関しては、途中描写もほとんどないし)。

何だか辛口になりましたが、楓と沙耶の最後のやり取りなどは、作品を大いに彩ってくれる、フリーノベルでも屈指の名シーンです。今ほどノベルゲームがこなれていない頃の作品ですが、だからこそ今の作品にはないパワーを持っているとも言える作品です。吉里吉里で、プレイ時間は序章+全5章構成で合計4時間。「アマチュア創作活動のパワー」を感じられる一品です。
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