第237回/葉乃香120%リミテッド - memorieZ(六神合体) - 病院・闘病
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第237回/葉乃香120%リミテッド - memorieZ(六神合体)

病院・闘病
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memorieZ

memorieZ準推薦
■制作者/六神合体(ダウンロード
■容量/150MB

未来の医療都市エミュートにあるホスピスで、患者の心のケアを担当するケアリーとして働く結城零次。彼が担当している少女、上杉葉乃香は零次に心を開こうとしない。零次はあの手この手で葉乃香にコミュニケーションを試みるが。意外な展開で後半見せる医療ドラマ。

ここが○

  • 軽妙かつ時に印象深い台詞のやり取り。
  • 進むにつれテーマが上手く絡んでくる物語。
  • 緻密に組まれた展開。

ここが×

  • 恋愛要素がイマイチ伝わってこない。
  • 終り方が消化不良気味。
  • ムービーが再生されません……。

■葉乃香120%リミテッド

病院ものは、フリーノベルゲーム界でも一ジャンルを築くほどの作品数で、NaGISA netでも定期的に取り上げています。そして印象に残った作品も多いですが、この作品はまた今までにない切り口で見せてくれました。タイトルは似ていますが、「memoRia」とは全く共通点はありません(笑)。

この作品が病院ものとして新しいのは、まずその舞台設定です。今より技術がもっと発展した未来の医療都市です。しかし舞台はなぜかホスピス。ホスピスが舞台の作品と言えば最近では「Serenade」がありました。しかも、主人公が患者の心のケアをする「ケアリー」という存在であるというのが、新しいです。この位置づけが、担当患者である葉乃香とちょうど良い距離感を作る事に成功しています。

そして、舞台をホスピスにすると、どうしても作品全体が重苦しい雰囲気になるんですが(当然ですけど)、この作品は、友人の露彦や医師の日野先生とのやり合いが良いアクセントになっており、楽しく読めます。もっとも、露彦の立ち絵を最初に見た時は、「もしかしてこれはバカゲーなのか!?」と思ってしまいましたが(笑)。

ヒロインの葉乃香は、いわゆるツンデレキャラです。そして、展開上主人公は葉乃香とのやり取りをする時間が一番長いのですが、そこらを露彦や日野先生とのやり取りで上手く補っており、バランスが良いです。その他にも、この作品は全体にキャラクターバランスがとても良いですね。キャラクターの立ち位置もですし、キャラ同士のやり取りもですし、登場キャラクターが万遍なく物語に絡んで来るあんばいもとても良好です。この絡み具合が、くどくなりすぎず、かつちゃんとキャラクターが自己主張しています。

さて、この物語は中盤過ぎから思いもよらぬ展開を見せます。今までの病院もので、こんな展開をさせた作品はちょっと思いつきません。また、そのための伏線も前半で結構周到に張られています。周到すぎて、実は私は仕掛けられた謎に気付いてしまったんですが(汗)、唐突すぎて読者が置いて行かれるよりははるかに良いと思います。

この作品は、キャラクターだけでなく、些細な出来事が実に後でしっかり身を結ぶ作りとなっており、一見色物風なんですが、しっかりシナリオが組み立てられている事がうかがえます。決して勢いだけで書き上げられたような物語ではありません。

が、いくつか惜しまれる点も散見されます。まず、主人公零次とヒロイン葉乃香の関係が徐々に近づく描写については少々希薄なため、恋愛ものとして見ると、ちょっと物足りなさを感じる点は否定できません。また、後半と言うかラストはぶつ切りっぽい感じがします。急展開し過ぎの上、かなりいきなり終ってしまうんですよね。後半までしっかり作られた物語ですから、最後を綺麗にまとめてくれたなら、と思わされました。展開の仕方としては非常に綺麗ではあるんですが。

それと、この作品はフォント変更(サイズとかスタイルとか)を効果的に利用しています。ちょっと過剰に感じるところがなくもなかったんですが、こういうノベルゲームならではの演出というのは、地味ながら評価されて良い点だと思います。また、おちゃらけたやり取りの中に、良い台詞が多いですね。特に「120%」のところは、上手いなあと思いました。

プレイ時間は2時間少々。ツールはLive Makerで選択肢はありません。露彦の立ち絵があまりにアレなので、最初はちょっとひいてしまうんですが(笑)、細かい伏線や描写が後できっちり繋がる隙のなさには感心させられました。病院ものに食傷気味の方も、プレイしてみる価値のある作品だと思います。
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