第24回/未来の地球人はAI娘の夢を見るか? - 遠来(Team NagiKaze) - SF
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第24回/未来の地球人はAI娘の夢を見るか? - 遠来(Team NagiKaze)

SF
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遠来

遠来準推薦
■製作者/Team NagiKaze(ダウンロード
■容量/13.5MB

フタバ・ヨウイチは未来の地球人であり、宇宙冒険家。本来の目的に向かう途中、宇宙船の燃料が切れ不時着した惑星は地球にそっくりだった。修理まで1週間を要するため探索を始めた街で、フタバはマヤオアという少女と出会う……。ほんのり心が温まるハートフルSFストーリー。

ここが○

  • 人物の立ち絵が非常に上質。3Dムービーも入るなど、グラフィックス周りの完成度は史上最強レベル。
  • オリジナルの音楽が素晴らしく出来が良い。
  • 良く出来た世界観、個性あるキャラクター、心温まるシナリオ。

ここが×

  • ベストエンディングは、「ベスト」と言うにはあまりに納得行かなさすぎ。
  • 派手なアクションを期待していると肩すかしを食らう、起伏に乏しいシナリオ。
  • 最初の世界観説明を少し冗長に感じる人がいるかも。

■未来の地球人はAI娘の夢を見るか?

今回はSFものです。それも、結構それっぽく、冒頭から専門的な用語が飛び交い、世界観も雰囲気満点です。さらには3Dムービーまで入っていたり、つかみは十分。

この導入部の世界観解説?の部分は、人によっては冗長と感じる人がいるかも知れませんが、個人的には軽妙なキャラ同士のやり取りも手伝ってか、冗長とは感じませんでした。また、ある種突飛に感じるかも知れないSF設定も、うまい事説明がつけられていてそれほど違和感はありません。そして本作で目をひくのは、何よりグラフィックスです。全てにおいてレベルが非常に高いです。立ち絵も非常にうまいし背景も良く、3Dツールで作ったらしい宇宙船内の背景もうまい事雰囲気を出しています。

音楽も曲数こそあまり多くないですが、全体にかなり良い感じです。どれも耳当たりがよく、単体でも聴けそうな名曲揃いです。個人的にはマヤオアのテーマとMIKANのテーマが非常に気に入りました。

そしてテキストも文句のないレベルです。フリーノベルにありがちな「語りすぎる」きらいもなく、キャラが変な口癖をばらまいて電波を出す事もなく、それでいてうまい事コミカルな点も織り交ぜています。主人公フタバと人工知能のMIKANとのやり取りは特に楽しく読めました。登場するキャラクターは主人公含めわずか4人ですが、どのキャラクターも生き生きと魅力的で、それぞれのやり取りも実に楽しいです。ゲームとしての体裁には文句のつけようもなく、プレイ中にストレスを感じる事は皆無でした。

さて……褒めたところでここからが不満なんですが(笑)。どこから見てもSFな本作なんですが、実はこの作品は「SFの皮を被った人間ドラマ」です。実際、出だしから見たらアクションものとかそう言う方面に話が行っても良さそうなものなんですが、そんな展開は一切なく、徹頭徹尾マヤオアとの触れ合いに終始します。それ自体は悪いとは思わないんですが、少し起伏がなさすぎやしないでしょうか? テーマが非常に壮大なだけに、物語自体でそれを主張して欲しかった(それを納得できる物語を作って欲しかった)気がします。秀逸な文章力のお陰で、最後まで退屈せずに読ませてしまうあたりはさすがと感じますが……。

更には、エンディングがどうにも納得行きません。エンディング前後の盛り上がらなさもさることながら(笑)、私は全て(3種類)のエンディングを見たんですが、作者さん自らが「最良の道」と謳ってあるエンディングは、それまでゲームを楽しんだ人であればあるほど受け入れられないものでしょう。正直あのエンディングに共感する人がいるとは、あまり思えません。ああいうエンディングを作ってそれを「最良の道」と言うからには、何らかの形でフォローすべきだと思います。テーマ自体には共感できるし、テーマの盛り込み方、語り方は非常にうまいと思ったんですが。

あとは、ネーミング関係ですか。ヒロインの「マヤオア・エナサ」って、えらく変わった語感の名前を考えたものだなと思ってたら、逆さに読んでみた瞬間絶句しました(笑)。全部が全部ネーミングはこのパターン。まあヒロインの名前はまだしも、「キヤコタ」にはかなり引きました(苦笑)。外来語にして文字入れ替えていじるとか何とかして欲しかったな。他のSF的考証は、割とそれっぽく理由付けしてあるだけに、ちょっと考えて欲しかった気がします。

と、あれこれ文句を付けたんですが、フリーウェアとしては相当の力作。プレイ時間は2時間半程度でしょうか。ほんのり暖かい、ライトSF風味の人間ドラマです。幅広くお勧めしたいと思います。特に「変な口癖をつけるのがキャラの個性だ」なんて勘違いしている方(なんかプロにも多い気がするんですが)は、この作品あたりを参考にされたし。
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