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第244回/ドリームシティ・ネオトキオ - バレンタインイヴ(東京デート)

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バレンタインイヴ

バレンタインイヴ■制作者/東京デート(ダウンロード
■容量/92.4MB(前編)、130MB(後編)

東京に住む主人公は、ある日一大決心をしていた。バレンタインデーの前日、恋人であるエリに、プロポーズしようというのだ。思い起こすのは、初めてやって来た街東京で、エリと行ったあの場所この場所。美麗な写真で送る、東京ご当地デートノベル。

ここが○

  • 綺麗で多彩な背景写真。
  • 観光地をデートする気分で気軽に楽しめる。
  • 凝ったビジュアル効果が雰囲気を高めている。

ここが×

  • インストール作業が煩雑。
  • ストーリー性はほとんどない。
  • 「ご当地ノベル」の題材として東京が魅力的かと言われると、ちょっと……。

■ドリームシティ・ネオトキオ

以前にも書いた気がしますが、ノベルゲームにおいては案外実在の地名は使われないものです。色々と制約が出るでしょうから、あえて実在の地名を使うなら、それ相応の意図がないと難しいのでしょうね。そんな中、徹底的に東京の地名と背景写真にこだわった作品が登場しました。何とこの作品の後編では、流れているBGMがほとんど私の曲です。「そこでこの曲を!」と、作曲者としての視点で楽しめました(笑)。

実在の地名を使う場合は、いくつかパターンがあると思います。「星の降る丘」(名古屋)のように、特定の建造物などを演出のアクセントとして使う方法もありますし、「ほたこい」(穂高町)のように、帰省というモチーフと組み合わせて、ノスタルジーを演出する方法もあります。また、「ハーバーランドでつかまえて」(神戸)のように、シナリオの根幹にご当地である理由を組み合わせるという、非常に上手いやり方もあります。

ではこの作品はどうなのかと言うと、そのどれにも当てはまりません。物語としては、主人公とヒロインが、東京の名所でデートを繰り広げるという、「ご当地リポート」みたいな感じの内容です。2人で東京の名所を次々回ってみました、みたいな感じですね。

その雰囲気を大いに盛り上げているのは、綺麗で多彩な背景写真。もともと大手の背景素材サイトの管理人さんが作っておられるので、当然と言えば当然ですが、写真単体としての出来映えもかなりのものだと思います。こればかりは、フリー素材ではこうは行きませんね。

ただ、「ご当地ノベル」としてどうかと言われれば、少々微妙な感じがしなくもありません。主人公とヒロインは、どっちも江戸っ子という訳ではない元地方人ですし、出て来るのはテレビでおなじみの場所ばかりで、思わず「おお、こんなところが。行ってみたい」と思えるかと言うと……。正直、東京でなくても、札幌でも福岡でも大阪でも良かったのではないか、という感じがしなくも(汗)。東京ならでは、というシナリオ上のポイントが、何かあればと思いました。

言ってみれば、東京自体が「何でもある街」だけに、仕方ないという面はあるのでしょう。「ほたこい」の、わさびみたいな、「へえ、知らなかった。行ってみたいな」な演出があればな、と思いました。ストーリー性はほとんど皆無で、主人公とヒロインがあちこちでデートをして、最後にプロポーズして終わりという、言ってみればそれだけなのですが、しかしある意味この作りが、東京という街にある意味非常にマッチしているとも言えます。テーマパークを回る、みたいな雰囲気ですが、東京自体がテーマパークみたいな街だからなのかも知れません。

その意味で、旅行を「見知らぬ街で、飾らない旅情緒を味わう」ものだと思うと、この作品は好みに合わないと思われますが、「名所を片っ端から巡って、その街の美味しい所を味わう」ものであれば、この作品は十分楽しめるはずです。旅行気分ではなく、デート気分で味わうのが、楽しいプレイ方法です。

なお、この作品は「Air Novel」という一風変わったツールを使っています。プレイ環境としては特に問題はないのですが、インストール作業が煩雑なのには、ちょっと参りました。まず「Adobe Air」というソフトをインストールしないといけない上、その後ANSエンジンのインストールが必要です。これだけで挫折する人がいてもおかしくないでしょう。むしろ短編でさくっとプレイできる作品ですから、解凍即プレイできる、NScrpiterや吉里吉里の方が、ユーザーには優しかった気がします。

しかし、各種画面効果は豪華で、綺麗な背景写真と共に雰囲気ばっちりです。左側に縦書き表示で出るテキストウィンドウも、効果を上げていて、立ち絵や1枚絵が全くないのに、それをみじんも感じさせない作りは非常に上手いと思いました。エンディングのムービーも、大変効果的です。

プレイ時間は、前編後編合わせて45分くらい。選択肢はありません。セーブ機能はないですが、中断すると自動的にそこから再開しますし、読了したら好きな章から読めます。物語的には特筆するところはないのですが、東京という街をクローズアップし、1枚絵や立ち絵に頼らず、しかもビジュアル面で訴える作品。作者さんの映像センスの高さを感じさせます。インストール作業にめげず、お気軽にプレイしてみてください。
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