第258回/ほら、笛の音が聞こえる - そよ風の街道(空と雲と風) - ファンタジー
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第258回/ほら、笛の音が聞こえる - そよ風の街道(空と雲と風)

ファンタジー
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そよ風の街道

そよ風の街道■制作者/空と雲と風(ダウンロード
■容量/37.1MB

ある工場で働いている少年は、何事にも気力を持てず、無気力に過ごす毎日。ある日、やる気が出ずに仕事に遅刻して行くが、道すがら奇妙な服を着た変わった少女と出会う。少女との出会いで、少年の生活に少しずつ変化が……。少女との日々がずっと続くと思っていたが、しかし。ほのかな雰囲気がとても素敵なノベルゲーム。

ここが○

  • 移動するウィンドウの演出が面白い。
  • 水彩画風の立ち絵が雰囲気ぴったり。
  • 世界観が醸し出す全体の空気がとても良い。

ここが×

  • 詳しい事は全然明らかにならないので、かなり消化不良気味。
  • 「ら抜き」が気になる。
  • キャラ名はあった方がよかったのでは。

■ほら、笛の音が聞こえる

ノベルゲームの舞台で最も多いのは、現代学園ものです。書きやすいとか素材を集めやすいとか、色々理由はあると思います。私も学園ものは好んでプレイしますが、ずっと続くとさすがに少々飽きが来るのは否めません。そんな時の箸休めには、こんな作品はいかがでしょうか。中世(いや、近世か?)ヨーロッパ風の舞台で、全体の雰囲気もとても良い作品「そよ風の街道」です。

まずは、水彩画風の上品な立ち絵が非常に素敵です(1枚絵もありまして、そちらもとても素晴らしいです)。この立ち絵が、中世ヨーロッパ風の世界観に絶妙にマッチして、作品全体の雰囲気をとても良いものにしていますね。背景の加工も、この立ち絵によく合っています。

更に、この作品はテキストウィンドウが縦長という変わった構成です。このテキストウィンドウが、時々左右にぐいーんと動きます。この動きによって、場面転換とかキャラクターの動きを演出しているんですが、これは面白いですね。キャラクターを動かす作品は今までもありましたが、ウィンドウを動かす作品というのは、ちょっと思いつきません。この演出が、うるさすぎずとてもアクセントとして効いていたと思います。

さて、物語はいわゆるボーイミーツガールもの+時限恋愛ものと言えばいいでしょうか。毎日工場と自宅を往復するだけの無気力な少年が、奇妙な踊り子の少女と出会うという出だし。上でも書いたような、立ち絵その他が醸し出す作品の雰囲気と、物語の雰囲気がシンクロして、非常に読み心地の良い作品です。

が、結局この少女が何だったのか、謎の男性の言動はどういう事だったのか、作中では全く説明がありません。少女がその後どうなったのかについても、読み手が想像するしかありません。それも物語の1つの形としてはありかも知れませんが、これはちょっと明らかにならなすぎな気が(汗)。消化不良気味なのは否定できないところです。

ならば、少年と少女の交流を描くという方向性を楽しめばいいんですが、上で「時限恋愛もの」と書いたほどには、恋愛へ向いた描写がありません。主人公自ら「恋愛感情ではない」とか言っちゃってますし。ロジカルな面ではすっきりした物語とは言い難いですから、その辺でもう少し見せて欲しかった気がします。それと関連すると言いますか、この作品は登場人物全員にキャラ名がないんですよ。という事は名前で呼び合ったりする事もない訳で、そこらの「交流を感じさせる」点においては、これはちょっと弱点になっているように感じました。

もう1つ、この作品は妙に「ら抜き」が目につきます。一人称で描かれている物語ですし、「ら抜き」自体は話し言葉としてはありだと思うのですが、時々「ここは明らかに『ら』を入れた方が自然では」という箇所もありました。

上で立ち絵の事を書きましたが、BGMに非常に良い作品を選んでいます。素材ですが、エスニックと言いますか、ヒロインの性格にもぴったり合っており、こういう点でも作品の雰囲気を増すのに一役買っています。

起承転結がついた物語を楽しむ」という点では、ちょっと弱いのは否定できませんが、作品世界を味わう、作品の空気感を感じるという点では、秀逸な魅力を持った作品です。ツールはNScripter、選択肢はなく、プレイ時間は1時間です。この独特の空気感、味わってみてください。
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