第260回/千変万化のジェネレーション- Graduaters! ~グラディエイターズ!(スタジオ蜜柑) - 学園・青春
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第260回/千変万化のジェネレーション- Graduaters! ~グラディエイターズ!(スタジオ蜜柑)

学園・青春
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Graduaters! ~グラディエイターズ!~

Graduaters! ~グラディエイターズ!~■制作者/スタジオ蜜柑(ダウンロード
■容量/26.3MB

常磐健二は、学生寮に暮らす高校生。ある日幼なじみの御堂明日香からメールを受け取る。内容は「今晩学校に忍び込むから、来るように」。健二は、やれやれと思いつつも夜の学校に向かった。急ぎに急いで健二が向かった先は、屋上だった。ほとんど夜の学校内だけが舞台の、風変わりな学園ノベル。

ここが○

  • 一風変わった雰囲気。
  • 意外な展開を見せる後半。
  • 重苦しさを感じさせない描写。

ここが×

  • しょっちゅう現在と過去を行ったり来たりするのが煩雑。
  • どうもシナリオにまとまりがないような。
  • しょうがない気がするが、少々単調。

■千変万化のジェネレーション

「幼なじみもの」の学園ノベルは珍しくありませんが、この作品はちょっと変わっています。何せ「舞台がほとんど夜の学校のみ」なのです。同じような舞台の作品というと、「勿忘草の夜」とか「Seeker~月夜のリング」なんてのもありましたが、これらはいわゆる「閉鎖空間ホラー」ものです(後者はちとホラーとは言い難いですが)。この作品にはホラー要素は皆無で、その雰囲気がまず独特です。

主人公とヒロインは高校生で幼なじみですが、いずれも寮生です。もっとも、作中に台詞以外にはそういう描写はないので、あんまりそういう感じはしません。で、主人公である健二がヒロインの明日香に呼び出され、夜の学校に行くところからスタートします。

出だしでは、主人公達は卒業式直後と思われます。そして、シナリオは全編に渡って、過去回想と現在の様子が、ひっきりなしに入れ替わって進みます。これが少し煩わしいと言いますか、途中で何が何だか分からなくなりかけました(汗)。過去回想はお決まりの手法ではありますが、もうちょっと上手くピンポイントで入れた方が、効果的だったような気がします。

さて、この作品は短編と長編の間くらいの長さですが(1時間半くらいか)、盛り込まれている要素は実に多いです。卒業、過去の事故、屋上の少女、その過去、更に主人公とヒロインの恋愛とか。これだけ多くの要素が盛り込まれると、シナリオが破綻しがちなのですが、決して破綻していません。きちんとまとまっています。まとまっていますし、後半では意外な展開を見せて、驚かせてくれます。

ですが、シナリオ要素を盛り込みすぎた割りに、展開は終始夜の学校で、単調な感は否定できません。また、会話は一部でちょっと暴走気味なところもあります(楽しい事は楽しいのですが)。なので、盛り込みすぎた要素と、単調気味の展開と、更にちょっと走り過ぎのやり取りが、どうにもアンバランスなのです。過去の事実なども、会話の中で語られるだけで、正直言いまして唐突感と言いますか、過去の事実(及びそれがもたらしている彼らの現在の状況)に現実感がイマイチ乏しい点は否めません。こういう箇所にこそ、過去回想を使うべきだったような気がするのですが。

ですから、後半までイマイチ物語にのめり込めず、のめり込めないうちに意外な事実が来てしまうのです。この作品の場合は、卒業なのか、恋愛なのか、過去なのか、とにかく1つを幹に据えた方が良かったような気がします。あるいは、見せ方をちょっと変えてみるとか、それだけでかなり全体の印象が変わったのではないでしょうか。ちょっと惜しいなあと感じました。

立ち絵は、今風の整った絵柄です。BGMは、個人的には、盛り上げるシーンではもっとそれっぽい曲があっても良かった気もしますが、個性的でいいと思います。

この作品は「シナリオの鉄人」という企画に参加していたそうなので、舞台が終始夜の学校から動かないというのは、もしかしたらそういうところも影響しているのかも知れません。だとしたら、この作者さんが制約なく書いたシナリオを読んでみたい気がしました。

ツールは吉里吉里。選択肢はなく1本道です。よくよく考えたら、結構酷い事件も起こっているのですが、主人公達のやり取りが終始あっけらかんとしているせいか、重苦しくならずに読ませてしまうあたりは、作者さんの才能だと思います。ちょっと変わった学園ノベルでした。
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