第264回/鵲の橋で会いましょう - 言の葉(Rainforest) - 日常
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第264回/鵲の橋で会いましょう - 言の葉(Rainforest)

日常
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言の葉

言の葉準推薦
■制作者/Rainforest(ダウンロード
■容量/59.2MB

中学生の蓮田夏彦は、七夕の日に1人で植物園にやって来ていた。夢で、どこかの葉の裏にメッセージが書かれているのを見たのだ。園内で、夏彦は七夕の短冊を書いている少女と出会う。成り行き上、少女と園内を回る事になったが。多彩な花の背景画像が美しい短編ノベル。

ここが○

  • 適度に語り適度に捻った、読み応えのある文章。
  • 多彩な花の画像が綺麗。
  • 短いながらすっきりした着地感のラスト。

ここが×

  • わざとと思われるが、それにしても子供らしくないかささぎ。
  • 序盤は少々唐突に感じられる。
  • 夏彦が取り乱し過ぎな気がする再会シーン。

■鵲の橋で会いましょう

最近は、結構重量級かつ見た目豪華な作品が多いですが、立ち絵や1枚絵がない作品でも、工夫次第では遜色のない作品を作り上げる事は、十分に可能です(絵があるのとないのと、どっちが好きかといった、好みの問題は置いておくとしまして)。この作品は、背景画像や音楽がオリジナル。それだけで既に独自の世界観を作っています。時折、こういう作品を妙にプレイしたくなるのです。

この作品は、「海の記憶」「雨の歌」の作者さんによるものです。この作者さんの作品は、基本的にはリアリティのある整った描写で展開しつつ、話の核にはファンタジックな要素を盛り込んでいく、「リアリティのある現代ファンタジー」と言いましょうか。と言っても、「どうしてそういうありえない出来事が起こるのか」というところには、リアリティを追求せず、ありえない出来事に対するキャラの反応や心情描写に筆を裂くタイプ。この作品も、その作風は共通です。

まず、出だしが変わっています。主人公は中学生なんですが、植物園の花のどれかの葉の裏に、誰かからのメッセージが書かれているはずだから、それを探すというもの。その根拠は、夢で見たから。ここら辺りはかなり唐突気味で、「えええ? それだけでわざわざ葉っぱの裏を探し歩くかなあ?」と思わなくもありません。この辺の主人公の行動原理には、少しフォローが欲しかったように思います。短い作品ですから、そういう事を気にする間もなく読めますけど。

そして、友達とはぐれたという少女、かささぎと出会い、2人でメッセージが書かれた葉っぱを探します。この中盤は、色んな花の画像が背景として登場して、飽きさせません。立ち絵だけに頼っていたのでは、中盤はかなり退屈になっていたと思われますが、綺麗な花の背景と、夏彦&かささぎのやり取りが上手くマッチして、この辺を読む頃には、2人が園内を散策している理由は、どうでも良い感じになってきます(笑)。

この物語は、後半もそう劇的な展開をする訳ではありません。しかし、ちょっとした伏線を上手く利用し、非常に綺麗なラストに着地させる事に成功しています。ただ、後半いきなり主人公が取り乱すのが、読んでて若干「おいおい(汗)」とならなくもないです。「雨の歌」でもそうでしたが、心情描写のリアリティが十分なだけに、あんまり主人公の生の感情を出しすぎると、全体の雰囲気にはそぐわない気もします。

しかし、この作者さんの作品は、何と言いますか「シーン1枚1枚が絵になる」物語が多いです。「雨の歌」「海の記憶」もそうでしたし、今作もラストの再会シーンやかささぎとの別れなど、大げさに描写していないのに、非常にシーンが印象に残ります。すべて作者さん自作のBGMも、それを大いに助けています。

物語を印象づける方法は色々ありまして、台詞のやり取りでインパクトを求めたり、意外な事実で印象づけたり色々あるでしょうが、この作者さんの場合は「絵になるシーン」ですね。絵になるシーンの連続で読み手に感銘を与えるタイプです。ですから、展開も描写も絵画的。この作者さんの場合は、変に今風の立ち絵をつけるより、このままの作風で物語を書き続けていただきたいなあと感じました。

ただ、かささぎの描写は、とても小学校低学年とは思えません。これは作者さんが狙ってわざとされているんじゃないかとも思いますが、個人的には年相応の描写にした方が、効果的だったのではないかなと思いました。

ツールはNScripter。テキスト表示速度は変わりません。NScrは注意して作らないと、こういうところがあるので、そろそろテキスト表示速度については何らかの改善が欲しいような(苦笑)。プレイ時間は30分で、選択肢はありません。「後から来る」タイプの余韻を味わえる短編作品でした。
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