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第265回/恋の魔法はちょっぴり痛い - 晴れた日9月、恋天使(はまち)

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晴れた日9月、恋天使

晴れた日9月、恋天使■制作者/はまち(公開終了)
■容量/59.2MB

喫茶店でアルバイトをしている女子高生のゆいは、ある日店内で女性に告白している男性を目撃してしまう。店内で男性の忘れ物を拾ったゆいは、その2人を結ぶキューピッド役になってやると意気込むが、果たして? 一風変わった設定の短編恋愛ノベル。

ここが○

  • ちょっと変わった設定で、序盤から読み手をひきつける。
  • 女性の微妙な心理描写。
  • ちゃんと伏線が回収されるラスト。

ここが×

  • なんだか突拍子がないように感じるゆいの行動。
  • なので展開も少々突拍子がない。
  • 選択肢を選んでいるだけでは永久にグッドエンドにたどり着けない。

■恋の魔法はちょっぴり痛い

ノベルゲームにおいて、タイトルはプレイヤーが一番最初に目にするところであり、場合によってはタイトルによってダウンロードするかどうかすら決まる重要要素でもありますが、この作者さんは、毎回タイトルワークが凝っているというか、変わっています。「甘夏スピカ」の作者さんによる新作ですが、タイトルで目をひく要素十分。目をひくだけでなく、ちゃんとゲーム内容を端的に表しています。

この作品の主人公は喫茶店でアルバイトする女子高生です。この序盤だけ見ると、普通はこの主人公が登場人物の1人とくっつく恋愛ストーリーと思うでしょうが、この作品は主人公が男性登場人物と結ばれません。主人公は、最初に現れる男女をくっつける仲介役なのです。普通こういう設定のキャラは、主人公の友人役が務めるのが相場ですが、主人公にこういう役目を持たせたのは面白いですね。他にあまり類例を見ません。

で、この主人公が、喫茶店内で告白をしていた2人組と絡む形で物語は進みます。告白してきた修二を、告白された加奈はつれなくあしわう訳ですが、このあしらい方が何とも女性らしいというか、揺れ動く心が表現されていて面白いです。「甘夏スピカ」の時は気付かなかったんですが、この作者さんはもしかして女性の方でしょうか。加奈にしろゆいにしろ、ちゃんと主張していて、かつくどくなく、それでいてこびていないキャラクターメイキングが上手いです。

さて、中盤以降は、ゆいが持ち前の(?)行動力で物語を引っ張るんですが、そこら辺りが若干突拍子もない印象を受けるのは否定できないところです。あんまり書くとネタバレになるので書けませんが、修二とゆいの関係というか、ゆいが修二が気になる過程に、一捻りがあれば、そこが大分緩和されたような気がします。特にいきなり告白するゆいが、突っ走り過ぎです(笑)。

しかしそれでいても、中盤からの展開がちゃんと説得力を持っているのは、上にも書いたように、ゆいや加奈という女性キャラの作り方、動かし方によるところが大きいでしょうね。女性キャラの心理描写の、非常に些細なところが真に迫っているので、展開にも真実味が出てきていると思います。これはこの作者さんの持ち味ですね。

ラストは、途中の何気ない一言が、きちんと伏線として生かされ、綺麗に回収されて終っています。通してプレイしても20分程度の小品ですが、しっかり作られており、短いながらもちゃんと展開の妙を味わえる作品でした。全体を通して、主人公がキューピッド役という設定、そして女性キャラの描写が生きています。

難点ですが、普通に選択肢を選んでいるだけでは、絶対にグッドエンドに行けません。全部の選択肢を選んでもバッドエンドにしかたどり着けないのです。「どういう事?」と、一度終了してから再起動すると、新たな展開が出て来ました。狙ってそういう仕様にしたのかは分かりませんが、これは、気付かない人は永久に気付かないでしょう。ご注意ください。テキスト表示速度を変更しても、表示速度が変わらないのも、デフォルトのNScrならではです(汗)。

ツールはNScripter、選択肢は少々で、エンドは3つ。プレイ時間は20分くらいです。短いですが、プレイ時間以上の満足感を感じられる作品。作者さんのページを見ると、分岐型ノベルゲームが好きなんだなあという思いが伝わって来ます。次回作も楽しみに待ちたいですね。
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