第266回/集え若人、シルバークロイツへ - 電波電波カプリッチョ!(なすびあん) - 学園・青春
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第266回/集え若人、シルバークロイツへ - 電波電波カプリッチョ!(なすびあん)

学園・青春
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電波電波カプリッチョ!

電波電波カプリッチョ!推薦
■制作者/なすびあん(ダウンロード
■容量/98.8MB

主人公赤塚一郎は、生まれついての能力者……のつもりのごく普通の高校生。毎日能力の覚醒を待っては失望の繰り返しだった。そんな彼が、ある日クラスで登校拒否の少女と接触する。友人やクラス委員長も巻き込んで、今始まる光と闇の最大の戦い!? かつてないほど主人公が熱いハートフル巨編。

ここが○

  • とにかく主人公が熱すぎる。
  • 心に響く名言が多い。
  • 長いが、ハッピーエンドに向かって一直線のハートフルストーリー。

ここが×

  • とにかく主人公が電波すぎる。
  • 主人公の電波に理由付けが欲しかった気が。
  • 吹奏楽部にピアノはどうなんだろう。

■集え若人、シルバークロイツへ

今年4本目の推薦作のご紹介です。ここのところ、1ヶ月強で3作の推薦が出るという大盤振る舞いですが、出ない時は1年出ず、出る時はこんなものです(笑)。タイトルからして独特の「電波電波カプリッチョ」。「ずっと一緒に――」の作者さんによる新作です。前作は、材料こそありがちでしたが、料理の仕方が上手く、楽しめる作品でした。

さて、この作品でまず目をひくのは、そのあまりにぶっとんだ主人公の言動です。開始していきなり、意味不明な固有名詞を連発され、私も目が点になりました。電波全開の異能バトルものなのかと思いきや、実はまったくそういう展開にはなりません(笑)。ごく普通の学園ものです。

出だしだけ読めば、この電波全開の主人公でハートフル学園ものって、そんな馬鹿な、と思われるかも知れません。もちろん、あまりに電波な主人公の台詞に、疲れる人もいるでしょう(私も最初はついていけなかった)。しかし、何故かこの主人公が、物語展開にばっちりはまっていて、ラストには感動すら覚えるほどです。

その原因を考えてみますに、普通あれだけ正義感全開の恥ずかしい台詞とか言動をさせると、物語のどこかが説得力を欠いてくるものです。いくら高校生でも、そうそう正義感だけで動けるものではありませんからね。しかし、主人公の行動原理は、電波な世界観に基づいた正義感です。デーモンビーストとかファカルティとかシルバークロイツを持ち出されると、「こいつだからこの行動もしょうがないね」と納得せざるを得ません(笑)。

つまりこの電波な主人公は、主人公の「見返りなしの正義感全開」をカムフラージュするための設定なんじゃないでしょうか。逆に、この主人公が正義感が強いだけの普通の男だったら、あれだけ後半が盛り上がる展開になっただろうか、と思うのです。また、台詞回しもいいですね。心にがつんと響いてくる名言が多いです。これもまた、いつも電波を飛ばしまくっている主人公だからこそでしょう。歯が浮くような台詞が、状況や展開と合わさってぴったりはまっているのです。序盤こそ「史上まれに見る電波主人公」ですが、こんなカッコいい主人公は初めて見ました。

ただ、主人公が電波を飛ばしまくっている事は間違いのない事実なので、人によっては付き合いきれなくなる人が出て来るかも知れません。事実、登場キャラも終始どん引きしまくりです(汗)。登場キャラの岡本加奈ではありませんが、「ダークネスイントリューガー? はぁ!?」となってしまうでしょう。

しかし、主人公の一郎は「正義の電波」です(何それ)。一見電波に見える主人公の熱さが、後半はびんびん伝わって来て、こっちまで何だか熱くなってくるほどです。登場キャラも、手下(?)の明夫や幼なじみのひなた、サブヒロインの萌、ライバルの加奈など、上手いキャラメイキングで、まんべんなく物語を支えています。

そして、全編を貫いてシナリオの核を作っているのが、他ならぬ主人公一郎の電波だったりしますから、恐れ入ってしまいます。シナリオは2本に分岐しますが、どっちの展開もやたらと熱く、ひなたシナリオでの一郎と明夫のやり取りや、萌シナリオでの一郎と加奈のやり取り、それにラストの告白シーンなどは、屈指の名シーンだと思います。終り方も非常に綺麗で、読後感も素晴らしい。

難点ですが、吹奏楽にピアノというのはどうなのかな、と(オーボエとかじゃ駄目だったのだろうか)。あと、主人公の電波に、何かしらの理由付けがあれば良かった気がします。まあ、「一郎だから電波なんだ」で片付けてしまっても、それはそれで良い気もしますし、ひなたシナリオではちょっと過去の事実も語られていますが、さすがにあれだけでシルバークロイツだのデーモンビーストだのが登場するようになるのは、短絡的な気も(笑)。

ですが、キャラクターと物語が上手く融合し、かつてないほど熱い主人公の男っぷり、じんじんと心が暖まるハートウォーミングなストーリーは、文句なく楽しめます。システムは吉里吉里。プレイ時間は2ルートで8時間ですからかなりの長丁場ですが、展開が巧みで中だるみする事もありません。史上最強に熱い主人公のドラマを、是非味わってみてください。
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