第270回/夏風はまた海を渡る - 一陣の夏風(蒼鷺旅館) - 恋愛
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第270回/夏風はまた海を渡る - 一陣の夏風(蒼鷺旅館)

恋愛
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一陣の夏風

一陣の夏風■制作者/蒼鷺旅館(ダウンロード
■容量/33.8MB

黒瀬夏風は高校3年生。高校最後の夏休みに、叔母が離島で経営する旅館に招かれ、フェリーに乗って由之島へとやって来た。出迎えてくれたのは着物姿の年上の女性。さて、夏風はこの島で誰と知り合い、どんな思い出を作るのか。シンプルな短編恋愛ノベル。

ここが○

  • シンプルだがメリハリの効いた展開。
  • キャラクターがしっかり立っている。
  • 短編ながら意外にも大きな動きを見せる後半。

ここが×

  • どう見ても中途半端な一部のキャラ。
  • 後半、少々リアリティに欠ける面が。
  • 恋愛描写が薄いので、実際の展開以上に駆け足気味な印象。

■夏風はまた海を渡る

何度も書きますが、フリーのノベルゲームで一番多く使われる季節は、夏です。他の季節と比べると、特に学園ものの場合は夏休み時期という事になりますから、圧倒的にドラマが作りやすいという事なんでしょうね。

更に、「夏休みに旅行」「夏休みに帰省」ものというのも多いですが、この作品は前者。身内が経営する旅館に遊びに行くという事で、出だしの雰囲気だけならば「僕と君の夏休み」っぽいところも感じさせます。最初のシーンがフェリーの上で、島に渡る場面からスタートというのも同じ。ま、あちらと比べると今作は物語がかなりコンパクトではありますが、コンパクトならではのテンポの良さがあって、なかなか楽しめます。「2度目の恋」の作者さんの新作です。

主な登場人物は、主人公の他には叔母の百合、旅館で働く灯(最近この字を使うヒロインが多い気がする。流行なのだろうか?)、海で出会う力男、それに力男の柚の4人。バランスもよく、ほどほどに個性的で、キャラクターはよく立っています。短編作ですが4人のキャラがほどほどに入り乱れており、展開のテンポの良さ、メリハリも手伝って、プレイ時間以上に楽しめます。

立ち絵は、上手いとは言い難いですが、作品の雰囲気に合ってますし、浴衣とか麦わら帽子、力男のアロハシャツといったデザインが、夏っぽい空気を上手に出していますね。素材を使ったのではこうは行きません。個人的には、柚の麦わら帽子が気に入っています。しかし「骨太」という名字は、可哀想過ぎる気がしなくもない(笑)。

ただ、展開のテンポとかメリハリは良いんですが、後半が少々勢いで突っ走っているというか、リアリティに欠けるところがある点があるのが気になります。そんなに簡単に2人で捜索できちゃっていいのか、とかそういうところですね。あとは、主人公と灯が恋愛感情を持つに至る描写は少々薄いので、そこにもう少し気のきいた台詞などの小技があれば違った気がします。

それと、キャラクター自体は面白いんですが、力男と柚の兄妹の扱いが、どう見ても中途半端です。前半は柚が結構目立ってるんですが、後半は灯に描写がシフトしてしまってて、柚は消えてしまってますし。これは作者さんも書かれている通り、当初はマルチシナリオのはずが、柚ルートを削除したからという事なんでしょう。力男と灯との関係は結構面白いですし、柚自身も魅力的なキャラクターですので、柚ルートを見てみたかった気がするんですが。

物語は、短編ながら後半は意外にも大きな展開を見せます。この大きな展開について、前半でもうちょっとフォローがあれば、完成度が上がった気がします。ちょっと後半に唐突感があるんですよね。上にも書いた通り、前半は柚で後半は灯の物語になっており、その辺のバランスが気になると言えば気になるところ。

しかし、物語のコンパクトさの割に、全体から醸し出す夏の雰囲気がなかなか心地よく、手作り風味の短編恋愛ノベルとして、十分に楽しめる出来映えだと思います。ちなみに、1枚だけ私が撮った写真が背景として使われています。まさかあの写真を使っていただける作品を見る事になるとは、思っていませんでした(笑)。

システムは吉里吉里、選択肢はなく、プレイ時間は30分程度です。短編作品は、どうしても一発ネタみたいな感じで終わる事も多いですが、短編ながらしっかりエンターテイメント性もあり、30分という時間で十分楽しませてくれる内容でした。
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