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第286回/初めての恋はピンク色 - 桜月夜に舞い降りたピンク(ちぇりっしゅ)

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桜月夜に舞い降りたピンク

桜月夜に舞い降りたピンク準推薦
■制作者/ちぇりっしゅ(ダウンロード
■容量/20.0MB

中学1年生になったばかりの少年、ピン太は、散歩の途中散る桜の花びらをつかんだ。大事にそれを持って帰ったピン太だが、夕食後に花びらは風に乗って飛ばされてしまう。ベランダまで花びらを追いかけるピン太だったが。全編ピンクで統一された、心暖まる短編恋愛ストーリー。

ここが○

  • 全編ピンクの色使いで統一された世界。
  • 全て1枚絵のみで進むという、絵本のような展開。
  • 少年時代の甘酸っぱい恋愛を描いたストーリー。

ここが×

  • 本編が妙なところで切れている。おまけは本編に入れた方が良かったのでは。
  • ロジカルな展開を求めて読む物語ではない。
  • なんだか適当すぎる気がしなくもないネーミング。

■初めての恋はピンク色

ノベルゲームの演出って、やたらと「動」の方面に行きがちです。例えば、立ち絵にアニメーションさせてみたり、ムービーを入れてみたり、凝った画面効果を入れてみたり。それももちろん効果的なんですが、こういう作品をプレイすると「静」な方面の演出を追求してみてもいいんじゃないかと思わされます。

まずは、全編ピンクで登場された色使いが最初に目をひきます。これが静的演出の1つ目で、この地味な演出が意外なほどに効果をあげているのです。過去には「Green Memory」が、全編緑で統一したデザインで効果をあげましたが、桜の季節の物語にピンクという色が非常に映えて、独特の世界観を描き出しています。

2つ目にして最大の特徴。それは今作には「1枚絵しか存在しない」のです。1枚絵だけを何十枚(100枚以上?)も使って物語が展開します。その1枚絵の絵柄が、今流行りの言葉で言えば「ゆるキャラ」風味で、非常に和みます。絵柄も手伝って、まるで絵本でも読んでいる気分にさせられます。絵本のような雰囲気、ピンク一色の色使いが、作品全体にマッチして、動的な意味での演出は非常に少ないながら、全体を非常に印象的に仕上げています。動的な演出は、続けると飽きてきますが、静的な演出は単体での強力さこそないものの、じわりじわりと効いてくるのです。

さて物語ですが、主人公の少年が桜の花びらを拾ったら、花びらは桜の精の少女になりました、という物語。と書いてしまうと、全く身もふたもないですし、それだけきくと「あおぞら幼稚園」風味なんじゃないかと思われそうですが(笑)、ここで2つの静的演出がこれ以上ないほどの効果をあげて、単純なプロットを非常に際立たせています。

単純なプロットと書きましたが、主人公のピン太とヒロインのピンクの、初々しい恋愛描写がもの凄く微笑ましく、短編恋愛ものとしても秀逸な出来映えだと思います。特に、おまけシーンの「お腹すいた」からの展開などは、絵本のようなこの絵柄だからこそ生きた、と言っても過言ではありません。

もしこの作品に、美麗な立ち絵がついていたら、同じシナリオが非常に色あせる結果になったはずです。なぜなら、そこに非常に「あざとさ」を感じさせるからです。しかしこの作品にはあざとさをまるで感じません。だからこそ、ロジカルな面では必ずしも精緻な物語ではないんですが、そこに唐突さを感じさせず、「子供らしい恋愛の甘酸っぱさ」だけを強調して描けたのではないかと思います。これぞ「静的演出の勝利」です。

と、おまけシーンについて書きましたが、これをおまけにしてしまったのは、ちょっとと言わざるを得ません。本編のピンクエンドが、妙に中途半端なところで終わってしまうので、これは本編に入れるべきであったと思います。それと、ネーミングが適当な感じです。「ピン太」「ピンク」まではまだしも、幼なじみの女の子の「サーモン」って何なんだ。まあ、サーモンピンクって事なんでしょうね(笑)。

短編なんですが、キャラクターもよく、主人公の両親も面白いです。また、ペットのうさぎが可愛くてファンになりました(笑)。幼なじみのサーモンも、最後しか出て来ないのでちょっと唐突な感はありますが、良いキャラクターです。どのキャラも、プレイ後はあの絵以外は考えられないほどです。

私の趣味というか、方向性と一致する作品ではないので、迷ったんですが、「こういう作品があるよ」という事を知らしめたいという思いもありますので、準推薦です。ツールはNScripter。エンディングはバッド2つにピンクとサーモンのエンドで4つ。全部見ても30分かからないでしょう。流行の美麗グラフィックとは正反対で、でもグラフィックが絶妙な効果をあげている珍しい作品でした。
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