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第287回/結局今年もクリスマス - 今年のクリスマスは中止しないお知らせ!(作者不詳)

オムニバス・その他
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今年のクリスマスは中止しないお知らせ!

今年のクリスマスは中止しないお知らせ!■制作者/?(ダウンロード
■容量/81.9MB

鳴海英吾は、毎日帰宅するとすぐに2ちゃんねるVIP板を閲覧する以外は、普通の高校生。今年もクリスマスが近づいて来たが、もちろんリア充にはほど遠い英吾は憂鬱でならない。さて今年のクリスマス、英吾の運命やいかに? VIP発、2人のヒロインのシナリオのオムニバス短編ノベル。

ここが○

  • 綺麗なグラフィックス。
  • 少し匿名掲示板らしい展開を見せる美由希シナリオ。
  • ストレートで手軽に楽しめる物語。

ここが×

  • 何だか全体に中途半端。
  • 歩の存在意義は一体?
  • 2ch風用語はプレイヤーを選びそう。

■結局今年もクリスマス

時折、匿名掲示板発の作品をご紹介しています。そういう作品って、絵やグラフィックスのレベルが高い作品が多いですが、この作品も類にもれず、とても絵が綺麗です(ま、綺麗な絵を描ける人が集まるから作るんでしょうけど)。ちょっと季節外れなクリスマスの短編物語をご紹介です。夏をテーマにした作品はやたらに多いのに、クリスマスの物語って、案外多くないような気もしますね。しかし、作者さんの名前とかサークル名が不明というのも珍しいです。公式ページには「今年のクリスマスは中止しないお知らせ!スタッフ一同」とありますが、それは作者名とは言えないし(笑)。

この物語は、主人公がVIPPER(2ちゃんねるに「ニュース速報VIP」というカオスな掲示板があって、そこの利用者の事をそう呼ぶ)です。もっとも、同様の作品では結構主人公が2ちゃんねると思しきサイトをチェックしているのはよく見られるシーンですが、この作品は用語までもがちょっと特殊で、人を選びそうです。「これが帰宅後の俺のテンプレだ」とか、「はあ!?」な人も出そうです(そんな単語、辞書ひいても意味出てませんからね)。ま、VIP発祥ですからそこはそういうものだと割り切りましょう(笑)。

ヒロインは2人で、最初にどちらのシナリオを読むか選べる、いわゆるオムニバス形式。双方のシナリオは完全に独立しており、登場キャラ以外は特にかかわりはありません。

紗弥シナリオは、「クリスマスを撲滅する!」と意気込むヒロインの紗弥に主人公が引き回される、というお話。この紗弥がまたVIPPERなので、人によっては恐らく読みながらさーっとひいていきかねません(汗)。内容としては、特に捻りもない物語なんですが、ラストシーンのビジュアルの持ってきかたと、そこの台詞の組み合わせが上手く、ラストまでは平坦なのに、ちゃんと読める物語になっています。ただ、VIP板を持ち出して来る必然性がないような……。

それと比べて美由希シナリオは、冒頭からちょっと興味をひく展開です。主人公が帰宅してVIP板を見ると、主人公の帰宅時間に合わせて必ず「クリスマスオフ会のお知らせ」というスレッドが立っているのです。気味が悪くなった主人公が、調査に乗り出すというもの。

実は真相は簡単に読めてしまったりもするのですが、美由希というキャラの立ち位置と、序盤の展開が上手く絡んで、これまたなかなか読ませる物語に仕上がっています。が、こちらは紗弥シナリオとは逆に、ラストが突然終わってしまったりするんですが。せっかく出だしにVIPらしいエッセンスを加えたのですから、解決法にもVIPらしい捻りが欲しかったところ。

2本のシナリオとも、それなりに読み応えがあるんですが、全体としてはちょっと中途半端な印象を受けます。紗弥シナリオでは、何の捻りもなく予想通りのところへ着地しますし(ただ着地の仕方は綺麗です)、美由希シナリオは細部が練り込み不足です。序盤の展開は興味をひくんですが、サブキャラの歩が中途半端ですし、美由希が不登校になっているというのも、尺が短いせいもあってか、「物語に必要な要素だからつけました」という感じで、シナリオ内で消化しきれていません。

短編って、長編より盛り込める要素が少ないだけに、実は長編より念入りに捻って、丁寧に展開させないといけないと思うのです。何せ「積み重ね」が効きませんからね。2本とも、素性は面白い物語なのですから、もう少し捻りを加えて丁寧に仕上げていれば面白かったんじゃないかなと思いました。ストレートすぎる紗弥シナリオもですし、美由希シナリオも、着眼点は面白いんですが、思いつきをそのまま物語にした感じで、練り込みに欠ける印象です。

ツールは吉里吉里。選択肢はありますが、ほとんどないに等しいです。2本読んでも30分はかからないと思います。2ちゃんねる系独特の癖は気になりますが、隠し味のようにクリスマスという題材を使いつつそつなくまとまっており、短編としては普通に楽しめる作品です。
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