第288回/夢が交わる地平線 - 楽園からの招待状―純愛篇(ミルトス) - ファンタジー
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第288回/夢が交わる地平線 - 楽園からの招待状―純愛篇(ミルトス)

ファンタジー
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楽園からの招待状―純愛篇

楽園からの招待状―純愛篇準推薦
■制作者/ミルトス(ダウンロード
■容量/30.9MB

高校生の主人公は、超お嬢様である同級生の紗羅からいたぶられる毎日。しかし彼はそんな生活が、決して嫌いではなかった。屋上で会った紗羅はなぜか不思議に切なさそうな瞳をしていて、それが気になったのだが……。大胆不敵すぎる展開で腰を抜かしてしまう、ファンタジー恋愛ノベル。

ここが○

  • 意表を突く展開。
  • ツンデレなヒロインが可愛らしい。
  • ラスト近くの盛り上がりと台詞回しは、一見の価値がある。

ここが×

  • 意表を突き過ぎて、付いて行けない展開。
  • 難易度が高すぎるような。
  • シナリオ展開自体は巧みと言えず、まとまりに欠ける。

■夢が交わる地平線

最近、少し前に公開された作品ばかりを集中的に探しに行っています。これも、見落としていた作品の1つですね。2007年の公開です。こういう作品が埋もれたまま終わり、絵だけ綺麗な作品が何十万もダウンロードされるという現実も、フリーノベルゲームファンとしては悲しいものがあります。この作品、確かに荒削りではありますし、絵はちょっとアレではありますが、時間をとって読むに足るだけの作品です。

主人公は、普通の高校生です(名前任意)。いつものように幼なじみが彼を起こしに来るという、お約束すぎる展開から始まりますが、実はこの幼なじみは後半では完全に消えてしまいますのでご安心ください(何を?)。ヒロインは幼なじみではなく、同級生の超お嬢様の方です。言動もキツく、暴力的でもあるため、「何こいつ?」という印象を序盤では持ちます。そして、中盤から主人公とヒロインは、何故かファンタジー世界に飛ばされて、そこでの冒険が始まるという超展開(えええ?)。

さて、この物語を分類すると……うーむ、盛り込まれている要素が多いので分類不可能な気もします(待て)。ここ最近のフリーノベルでは、「とにかく多くの要素を盛り込みまくった結果、煮込めずに消化不良」な作品が多いんですが、この作品も(最近の作品ではないですが)、やたら多くの要素を盛り込んでいます。序盤から謎めいた描写がありまして、後半でそれが解明されますが、綺麗なやり方とは言えず、どちらかと言えば手法は無骨です。「え、そりゃ一応伏線は張られてるけど、もうちょっと上手い方法なかったの?」と思ったりもします。

例えば、ヒロインである紗羅の過去とか、異世界の王とか(この王が終始名無しというのは、どうなんだ)、確かにそれらしき描写があるにはありますが、糸のほどき方が力技です。なので、「いや、気持ちは分かるけどそれはシナリオの作りとしてどうなの?」と言いたくなります。

が、読み進めるほどに感じる、ラストでの不思議な盛り上がりと、心の暖まりはどうなんでしょう。この題材を用いてシナリオを組むなら、恐らくはもっと適した方法があるはずなんです。にも関わらず、ラストでは不思議に感動してしまうのです。それは恐らく、「イベント配置バランスの良さ」という事なんだと思います。

理屈で見れば、少々強引気味な展開なんですが、良いタイミングで良いイベントが来る。その配置バランスの絶妙さがあります。そのイベントを導き出す、論理的な道筋を示せているかと言えば、示せてないんですが(汗)、にも関わらず「タイミング」だけでこれだけ心を動かされるのかと感心しました。また、筆致は必ずしも巧みとは言えないんですが、何故かラスト近くではキャラの言動に心を動かされます。それは、不器用な言葉を積み上げて、その結果のイベントを持ってきたからだと思います。確かに不器用ですが、そこに作者さんではなく、キャラの一生懸命さを感じ取れるのです。このセンスは見事だと思います。

とは言え、展開は全体に唐突で、ついていけない人が出て来ても不思議ではありません。突然RPG風の戦闘も始まるし(笑)。この戦闘がまた難易度が高いんですよね。RPG的な難易度じゃないので、少し頭を捻れば簡単に勝てますが。また、選択肢の数がやけに多く、ひっかけ選択肢もたくさん。フラグも多いと見えて、攻略はかなり大変です。作者さんのページに攻略は載ってますので、そちらをご参照ください。

前半で登場したキャラが後半ではまるで消えていたり、後半で重要な事実が突如現れたり、作りは正直巧みであるとは言い難いです。主眼の1つである「ファンタジー風」というのをメインに批評すると、高得点は出ないでしょう。しかし、「恋愛もの」として見れば、非常に光るものを持った作品です。荒っぽいファンタジー展開も、恋愛に独特の色づけをしてくれています。確かに絵は上手いとは言えず、シナリオ展開にもプロっぽい巧みさはありません。VIP系の作品とはある意味対極にあります。

しかし、絵の綺麗さ、整った展開だけを見ていたら、こういう作品は絶対に見落とします。記録ではなく記憶に残るタイプの作品。システムはLive Makerで、プレイ時間は2時間弱。突っ込みどころも多いですが、後々まで「あの時、こんな物語を読んだな」と思える作品です。
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