第299回/レビュアーなくして - 俺のレビューが単なる悪口のわけない(たけのこそふと) - 日常
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第299回/レビュアーなくして - 俺のレビューが単なる悪口のわけない(たけのこそふと)

日常
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俺のレビューが単なる悪口のわけない

俺のレビューが単なる悪口のわけない準推薦
■制作者/たけのこそふと(ダウンロード
■容量/10.0MB

友人がある日、自作のRPGを製作した。主人公はそれをプレイしての感想を求められたので、適当に答えておいたが、公開後掲示板で欠点を指摘され、友人は少しへこむ。主人公はそれを見て、友人を元気づけようとレビューBlogを立ち上げる事にしたが。意外な設定と意外な展開で送る短編ノベル。

ここが○

  • 短いが、細部まで考え抜かれた展開。
  • 行間から主人公の心情が伝わって来るかのような描写。
  • 素っ気ないながら余韻を残してくれる終わり方。

ここが×

  • 演出面は全く素っ気ない。
  • 主張そのものには同意しかねる。
  • どことなく黒いオーラを感じるのは気のせいか。

■レビュアーなくして

最近は、忙しかったせいはもちろんあるのですが、なかなかレビューを書ける作品に出会えませんでした。しかし、来ましたよ、久々に。こんな作品に出会ってしまう瞬間があるから、私はレビュアーをやめられないのです(笑)。ある意味不本意ながら、この作品には脱帽しました。「俺のレビューが単なる悪口のわけない」のご紹介です。

物語は、主人公の友人がRPGを自作して、主人公にテストプレイを頼むところから始まります。友人はそれを公開するのですが、感想用掲示板で一悶着あった末、主人公はレビューBlogを立ち上げる事を思いつきます。ずばり書きますと、まんま「とあるノベルのレビューサイト」の出だしと似たような感じですね。背景も同じですし。

俺のレビューが単なる悪口のわけないしかしこの物語は、あの作品とは全く違う方向で読者をひきつけてくれます。短編ですからネタバレは書かない方向で行きますけど、主人公の心情が変わって行く様子が、実にプレイヤーによく伝わってくるのです。主人公がやった事は、確かにアレです。そして作者さんは、そういうアレなレビュアーを粛清(?)したくて、この作品を作ったのでしょう(そのアレなレビュアーとはNaGISAの事だ、とか言われたら若干困りますが)。

ですが、主人公の心情が凄くプレイヤーによく伝わり、主人公がそういう行動に及んだ理由も、よく納得ができるものです(納得ができる=正しい、ではないのはもちろんですが)。ですから、よくある「主人公に全く感情移入ができず、置いて行かれる」という物語ではなく、「主人公の思いに感情移入」と「主人公の行動にドン引き」の、ぎりぎりの境界線を、まさに綱渡りのように感じさせてくれるのです。作者さんの筆力は、大したものだと思います。

また、これだけの短編なのに、展開も見事で、オチの付け方も綺麗です。ハッピーエンドとは言い難いですが、ずしりと重いものを残してくれます。こんな読後感の作品は、見た事がありません。もちろんこれは、私が一応レビュアーであるからというのと無関係ではないとは思いますけど(笑)。

難点ですが、演出周りは素っ気なさ過ぎです。ま、これは元になった(?)「とあるノベルのレビューサイト」もそうでしたが。もうちょっと何かあっても良かったんじゃないかという気はしますね。ただ、だからこそBGMの変化は効果的であったかも知れません。

もう1つですが、何と言いますかちょっと「黒いもの」を感じてしまうのは、私だけでしょうか。これはこれで大変クオリティの高い作品である事に間違いはないのですが、だからこそと言いますか。特に、途中の著作権云々は「とあるノベルのレビューサイト」とまんま重なっているので、なんか色々とよくない事を想像してしまいます(汗)。Vectorの説明文も、ちょっとなあ……。

私個人としては、この作品のシナリオには感服しつつも、この作者さんの述べるところには同意しません。著作権云々についての主張も論理に欠けますし、「レビュアーがいなくてもフリゲ界には影響はない」という主張もです。私も拙作を公開していますから感じている事ですが、叩かれたら確かにへこむ反面、きちんとしたレビュー(作内で女性作者はメンタルどうのと書かれてましたが、「そういう配慮」を抜きにした「きちんとしたレビュー」という意味です)を書かれればもの凄くパワーをもらえる事も事実であるからです。ですから、私はこの作品から大きな感銘をいただきましたし、作者さんはもしかしたら「レビュアーなんていらないよ」と言われたいのかも知れませんが、私は今後も変わらずレビューを続けさせていただきます(をい)。

ツールはNScripter。選択肢はなく、プレイ時間は20分強ではないでしょうか。最後に、フリーノベルがかなり衰退していると感じ、レビューサイトも以前に比べれば激減している昨今、自作も公開している者として言わせていただきます。「作者さんなくしてフリーノベル界なし。レビュアーなくしてフリーノベル界なし」。だって、レビュアーってつまり「感想を書くのが好きな、単なる一プレイヤー」にすぎないんですから。
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