第310回/遺伝子に刻まれた絆 - 霧上のエラスムス(Novectacle) - ミステリー・サスペンス
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第310回/遺伝子に刻まれた絆 - 霧上のエラスムス(Novectacle)

ミステリー・サスペンス
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霧上のエラスムス

霧上のエラスムス■制作者/Novectacle(ダウンロード
■容量/71.5MB

かつて、フランスに留学していた仲間達が、久しぶりに同窓会で会う事になった。場所はストラスブール。仲間達は久々の再会を喜び、楽しい一時を過ごすはずだったが、メルが洋館で目を覚ました時は記憶を失っていた。閉ざされた洋館の秘密は。そして彼らを招いた「霧の魔女」とは一体?

ここが○

  • 立ち絵のクオリティが凄過ぎる。
  • オリジナルのBGMがよく出来ている。
  • 文章力が非常に高い。

ここが×

  • 1本の物語として見ると、まとまりに欠ける。
  • キャラクターの行動が極端すぎる気がする。
  • 読後感がどうにもよくない。

■遺伝子に刻まれた絆

(※これは「通常版」のレビューです。現在は通常版は公開停止されており、サイドストーリーが収録された以前のシェア版が、フリー公開されています) 前回の「ユーマを抱きしめて」に続き、これも有名作品です。以前から多くの皆さんにお勧めを受けていたのですが、前回も書いた通り、私は有名作は避けて通る傾向にあるのです(笑)。この度ようやくプレイしましたので、レビューする次第です。

タイトルにも入っている「エラスムス」というのは、留学システムのようですね。で、学生時代にフランスのストラスブールに留学して、共同生活をしていた仲間達が、同窓会で集まる事にしたら、洋館に閉じ込められました、という出だし。つまり、「閉鎖空間もの」です。しかも、主人公であるメル達が目を覚ましてみると、男性陣はみんな記憶を失っていたというのがちょっと変わっていますね。

霧上のエラスムス閉鎖空間ものですので、ミステリーっぽい展開もあります(むしろサスペンスか)。ただちょっと気になるのは、動機の部分と言いますか、各キャラクターが行動する原理の部分、もっと言えば、この作品の根幹に関わるとある設定が、ちょっと説得力を欠くというか……。確かに、展開としては非常に意外ではるんですが、その設定を途中から出すのはどうなんだろう、と。

途中から出て来る例の設定が、この作品においては普通に受け容れられているんですが、プレイしている私は、「え??」と、一瞬固まりました。この大前提にちょっと無理を感じるので、キャラクターの心情もなかなかプレイしていて共感しにくいんですよね。加えて、この手の物語の宿命とは言え、いくら何でもちょっと偶然が重なり過ぎというか、登場人物が直情径行過ぎというか、「え、そんな理由でもうやっちまうんですか?」となってしまう場面が多くて……。キャラクターの行動に「こうだからこうする」という点はもちろん感じるんですけど、結果としての行動が、非常に極端と言いますか……。

それと、要素をちょっと盛り込み過ぎてしまっているように感じます。全キャラにあれこれ盛り込んで、それらがすべて偶然悪い方向に重なり、更にキャラクターがみんな極端な行動に出た結果、とんでもない事になりました、というような展開なんですよね。

あとは、終わり方がどうにも後味が悪いのも、読み手を選ぶかも知れません。加えて、白い髪の少女の名前とか、とあるキャラの秘密とか、意図的にだとは思うのですが明かされていません。にも関わらず、上でも書いた通り、一部キャラにはやたら要素を盛り込んでいるので、読んでいてバランスの悪さを感じました。

そういう訳で、文章力は見事ですし、部分部分を見れば凄いなと思う箇所も多いんですが、1本の物語として見ると、どうもまとまりに欠ける印象なのです。何か今回、ネタバレを書けないので非常に曖昧な書き方になってしまって申し訳ないんですけど(さすがにこの作品でネタバレを書いてしまったら、興ざめも甚だしいと思うので)。

さて、この作品では何と言っても「異次元」と言ってもいいほどレベルの高い立ち絵が、ひときわ目をひきます。絵柄自体は好みが分かれるかも知れませんが、フリーのノベルゲームでこんな見事な立ち絵はなかなかお目にかかれないでしょう。音楽もオリジナルで、なかなかよく出来ていると思います。また、1枚絵はそれほど多くはないのですが、時折出て来る1枚絵が、色々な意味で効果抜群です。

何か今回、有名作で評価も既に確立している作品だけに、ちょっと辛目のレビューになってしまった感がありますね(汗)。プレイ時間は2時間半くらい。システムは吉里吉里です。選択肢は、一応途中でちょっと出て来ますが、状況確認のためだけのものなので、実質は一本道です。あまり深い事を考えず、「ちょっと変わった閉鎖洋館ものを読んでみよう」くらいの感覚の方が、楽しめるかも知れません。
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