第311回/返信はトライアゲイン - Re:TRY ―リトライ―(Tears Lab.) - 恋愛
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第311回/返信はトライアゲイン - Re:TRY ―リトライ―(Tears Lab.)

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Re:TRY ―リトライ―

Re:TRY ―リトライ―■制作者/Tears Lab.(ダウンロード
■容量/79.5MB

橋口友は、どこにでもいる高校生。今日も友人の西本侑也、秘かに思いを寄せる宮園林檎と、いつもと変わらぬ朝の挨拶を交わす。が、その日の放課後、教室で涙を流す林檎を目撃。その夜、釈然としない友の元に、「時間管理局」からのメールが届いた。お気軽な恋愛ループノベル。

ここが○

  • 読むに従って増えて行く要素。
  • 物語自体はシンプルながら、味付けに工夫あり。
  • テンポよく過剰に語りすぎないテキスト。

ここが×

  • ループものの特性が生かされているとは言い難い。
  • ヒロイン林檎にもうちょっと描写が欲しい。
  • 唐突に感じる恋愛要素。

■返信はトライアゲイン

最近、妙にループものが続きますが、この作品もループものに分類される作品です。「ブランコ日和」の作者さんの新作です。前作同様、ふい字と呼ばれる手書き風フォントを使用しており、「テンポが良く、要所では心情を語る、それでいて語りすぎずにもたれない」読みやすいテキストは、健在です。ふい字については好みが分かれるところかも知れませんが。

ループものというのは、ループする事によって何らかの事件の鍵を解くとか(「ひとかた」)、何らかの事件の結末を変えるとか(「ちょこっとループ」)、あるいは当初は目的が分からず繰り返すものの、ループするうちに事件の全容が見えて来るとか(「彼女の嘘の止まった世界」)、スタイルは色々です。そしてその分類で言えば、この作品は、ループする事で何らかの事件の結末を変える「ちょこっとループ」タイプの物語です。

Re:TRY ―リトライ―なので、主人公はループする事を知っていつつ、選択肢によって結末を変えるべく奮闘していくのです。プレイすれば分かりますが、選択肢の正解不正解は大変分かりやすい形で示されるので、難易度は高くありません。

が、その部分に今ひとつ奥の深さが欠ける気がするのです。結局、ヒロインである林檎の好感度を上げるための選択肢を探すだけの作業になってしまっており、1つでも選択肢を間違えるとアウトです。繰り返す事で何か意外な事が分かるというような、ループならではの妙味が薄いんですよね。主人公がループを活用して、ヒロイン林檎の内面に少しずつ迫る、なんて展開でもあれば違ったのですが、結局「選択肢で林檎の好感度を上げて行く」という普通の恋愛ノベルになってしまってるんですよね(汗)。これだと、ループせずとも物語が成立するのではないかと思います。

林檎の内面についてはラストまで語られませんし、恋愛面についても(主人公は冒頭であからさまに林檎に対する好意を表明してますけど(笑))、とりたてて何か描写がある訳ではなりません。せめてそこに一歩踏み込んだ展開があれば、かなり印象が違った気がします。せめて、林檎に対する描写がもう少しあれば、と思わされました。

しかし、そう書いてみたものの、プレイしてみるとこの作品は思いのほか引き込まれる魅力を持っています。上に書いたのと逆の視点から考えると、「よくある学園ものに、ループという調味料を加える事で、一味違う味付けをした」とも言えます。その意味から見れば、この作品の魅力は、シナリオという素材よりも、ループを上手く味付けに使った、その味付けの上手さにあるのかも知れません。物語作りは、単にシナリオだけでなく、味付けも大きく物を言うという好例と言えましょう。

なのであとはその味付けが、シナリオという素材にベストマッチしていれば、更に良い作品が生まれるはずです。「ブランコ日和」でも感じましたが、この作者さんは文章やキャラクターメイキングは非常に光るものを持っていますので、今後に期待できる作者さんの1人だと思います。

なおこの作品は、一度エンディングを見ると「4周目」をプレイできます。ループ関係なしの普通の分岐学園ノベルみたいになっていますが、エンド数も結構多く、おまけとして十分楽しめます。この作品、中川とか西本とか、男性キャラが「ただの悪友」「ただの委員長」ではなく、ちゃんと物語に関わって来ますし、いい味出してますよね。

ツールはNScripter。プレイ時間は全部で1時間半というところでしょう。1回1回のプレイ時間はそれほど長くないので、気軽に手を出せると思います。
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