第314回/動け桃色の脳細胞 - ミステリイーター!(スタジオルミナス) - 学園・青春
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第314回/動け桃色の脳細胞 - ミステリイーター!(スタジオルミナス)

学園・青春
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ミステリイーター!

ミステリイーター!■制作者/スタジオルミナス(ダウンロード
■容量/179MB

古河哲は高校生。ある日とあるカフェで、隣の席の女性が毒を飲んで倒れるという事件に巻き込まれてしまう。そこへさっそうと現れたのは、格好だけ探偵の女子高生千条知智。かくて高校生4人の探偵部が、街で発生する事件に挑む。お手軽推理風コミカル学園アドベンチャー。

ここが○

  • 軽妙なキャラ同士のやり取り。
  • 時間を忘れて読みふけるテンポの良さ。
  • 意外なラストに、なるほど。

ここが×

  • 推理ものとしては物足りない。
  • キャラクターの「関係」ではなく「設定」に重きを置き過ぎ。
  • キャラのやり取りに偏りすぎて、メインのシナリオがなおざり。

■動け桃色の脳細胞

私は常日頃から、「ノベルゲームに、小説そのままのミステリーは向かないのではないか」と言っています。特に、証拠や場面の吟味が推理に影響を及ぼす場合、ノベルゲームは圧倒的に不向きで、何か相応のシステムを組まない限り、読み手にストレスを与えるだけです(その意味で「逆転裁判」という作品は、実によくできていましたよね)。そんな中、推理ものの仮面をかぶったコミカル学園ものの登場です。

登場人物は、主人公である哲の他、知智、月見、葉弦の探偵部の面々に、顧問の未咲など、個性的なメンバーが脇を固めます。この作品をジャンルで分類すれば一応推理ものですが、普通の推理ものでストレスに感じるような要素は全くありません。何せ単純選択式で、その選択肢も一目見れば正解が分かってしまうようなものですし、場合によっては事件のとっかりで犯人が分かるものすらあります(笑)。

ミステリイーター!なので、ミステリー要素を期待してこの作品をプレイすると、恐らく肩すかしをくらってしまうでしょう。しかし登場キャラクターはいずれも個性的で、「ミステリー要素を持つコミカル学園もの」として見れば、なかなか楽しめます。物語は全7話で構成されており、各話でそれぞれ何かしらの事件が起き、千条知智率いる探偵部が、事件の解決に挑む、というもの。各話の長さは適度ですし、展開のテンポも良いため、だらだらせずに一気に読む事ができます。

実際、推理で悩む事もなくさくさく進み、次々事件が起こるため、途中でなかなかやめられずに一気にプレイする羽目になりました。確かに推理面で見れば物足りないのは事実ですが、エンターテインメント性という意味では高いレベルにあると思います(けど「探偵服」ってのは……。「インバネスコート」ですよね?)。

ただ、あまりに物語の作りがキャラクターに偏りすぎているのが気になります。それも、キャラクターの絡みで見せる人間ドラマというよりは、キャラクターの設定でどたばたやっている、言わば「作品内キャラクターの内輪受け」という感が、どうにも拭いきれない面があるのです。確かにキャラクターを作る時って、裏設定を作るのが楽しいと言えば楽しいのですが、この作品においてはちょっと本末転倒に感じるところもあります。

メインのストーリーは、第3話がちょっと意味不明な他は、メインである知智ルートのラストは「なるほど、そういうオチか」と思わせる、ちょっと意外な解決がつき、ラストシーンの緊迫感も悪くありません(追記・クリア後に読める裏ルートを読めば、第3話の秘密が分かります)。ただ残り3人のルートは「……?」となってしまいました。これなら知智ルートだけに全力を注いだ方が良かった気も(汗)。

また、上で書いたように、キャラクター自体は個性的ですが、あくまで「設定が個性的」という感じで、「個性的なキャラクター同士の織りなす人間模様」という面においては、正直希薄です。なので、せっかく知智ルートでは良いラストの展開を持って来ているのに、キャラクタードラマが希薄なためそれが十分生きていないのが惜しまれます。

とは言え、テンポ良くどんどん進むので、ストレスなく楽しめるでしょう。一部トリックに無理がある気もしますが、気にせずに(笑)。ツールはNScripterで、プレイ時間は7時間くらいだと思います。選択肢は多いですが、難易度は全然高くありません。むしろ一番難しいのは、実は途中の論理パズルかも知れません(笑)。世界観がごてごてせずに、キャラクターでストレートに楽しむ作品をお好みの方に、お勧めです。
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