第315回/僕だけの君と出会う道 - ユウレイのいた道(フォーチュンベル) - 不思議系
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第315回/僕だけの君と出会う道 - ユウレイのいた道(フォーチュンベル)

不思議系
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ユウレイのいた道

ユウレイのいた道準推薦
■制作者/フォーチュンベル(ダウンロード
■容量/35.8MB

瀬戸典明は水泳部所属の高校生。彼には、幽霊を見る事が出来るという特別な能力があった。ある日通学路の橋の近くで、典明は女の子の幽霊に出会う。その女の子、環は「自分を殺した犯人を探して欲しい」と頼んで来たのだが。一見ありがちだが捻りが利いた短編ノベル。

ここが○

  • 適度に突飛な設定と事件で、上手につかむ序盤。
  • 主人公がテンポ良く事件を解決していく中盤。
  • 派手ではないが、上質の余韻を残す終盤。

ここが×

  • 序盤の主人公にはちょっとやきもきさせられる。
  • 中盤の主人公にはちょっとはらはらさせられる。
  • 終盤で明かされる事実についての伏線がもう少しあれば。

■僕だけの君と出会う道

ノベルゲームでよく取り上げられる題材の1つとして「幽霊もの」があります。古くは「Moonlight Blue」「ゆうとっぷ」がそうですし、「Yuki」もそうです。また最初から幽霊ものである事を明言していなくても、「実は幽霊でした」という作品も多いですね。そしてこの作品は、最初から幽霊である事を明言しています。

一般にそういう作品は、恋愛方面に振って「報われない恋」のような色づけをされる事がほとんどなのですが、この作品は変わっています。小学生の女の子の幽霊が「自分を殺した犯人を探して欲しい」と主人公に依頼する、というのですから、序盤で「お?」と思わされます。主人公には「幽霊を見る事ができる」という特殊能力があって、序盤の展開がまずいと、その主人公の突飛感だけが際立ったりするものですが、この作品の掴み方は上手いと思います。

ユウレイのいた道序盤の主人公は妙にはっきりしない奴で、ちょっとやきもきさせられてしまうんですが、途中で覚醒した主人公は、いきなりもの凄い行動力を見せます。ちょっとやり過ぎじゃないか、と思えるほどです(笑)。しかし、主人公の行動はあくまで「幽霊を見る事ができる」という、他人には話せない特殊能力に基づいたものですから、そう考えれば主人公の無鉄砲すぎる行動も、ある程度説得力を持っています。

終盤では、ちょっと驚くような事実が明かされるのですが、それについての伏線がそれまでに十分張られているとは言い難いので、若干唐突感を感じてしまうのが、ちょっと惜しまれるところです。短編作品とは思えないほど、色々な要素を盛り込んで、ある意味この尺でよく消化できたなあと感心するほどなんですが、倍とは言わないまでも、せめて1.5倍くらいの尺があれば、もっとすっきり展開できたのではないかと感じました。

しかしこの長さで、主人公と準主人公の環、ヒロインの郁奈、更に途中で出会うサブキャラなど、上手に織り込んでシナリオを繰り広げており、そのバランス感覚は見事だと思います。加えて、起承転結がきちんとバランス良く盛り込まれていますし、起承転結それぞれにちゃんと見せ場があります。読後感も爽やかで、短編作品はこう作れ、というお手本のような作品です。

この手の「幽霊もの」だと、ほとんど例外なく最後には幽霊との別れが来るのですが、この作品は、その部分については妙にあっさりしています。そこにもう少し筆を裂いても良かったのではないか、と思わなくもないのですが、逆にそこをさらっと流した事で、この作品をよくある「幽霊と出会って別れる」物語とは一線を画する作品にしているのかな、という気もするので、これはこのままでもいいのかな、とも思いました。

何より、終わり方がいいですね。ある意味とても悲しい物語なのですが、主人公が、環との思い出に後ろ向きに浸るのではなく、彼女との思い出を現実世界で共有しようとする。過不足なく語って、一番いいところで綺麗に終わっているため、大変良い余韻を感じさせてくれます。この手の作品って、別れた幽霊との思い出に浸りすぎるような終わり方だと、余韻は余韻でも、妙にネガティブな余韻になってしまうので(笑)。

ツールは珍しいADVRUN。デフォルトのままだとエフェクトが遅くてちょっといらいらするので、設定で最速にしてしまいましょう。選択肢はなく、プレイ時間は1時間弱。こういう、シナリオの作りが良い作品をプレイすると、ほっとさせられますね。
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