第357回/言葉にできない想いを、形に - メモリア - memory of day -(LEO) - 恋愛
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第357回/言葉にできない想いを、形に - メモリア - memory of day -(LEO)

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メモリア - memory of day -

メモリア - memory of day -準推薦
■制作者/LEO(ダウンロード
■容量/250MB

赤坂天馬はこの春から高校2年生。気の合う友人と代わり映えのしない毎日。ところが、しゃべれない少女神山愛と一緒に学級委員長をやる事になってしまった。春の大イベント春亀祭で各クラスで劇をやるのだが、2人は上手くクラスをまとめられるのか。長編青春恋愛ノベル。

ここが○

  • ヒロインの愛が可愛らしい。
  • ほとんど校内で進行する物語なのに、テンポとバランスが良くてだれない。
  • キャラクターがよく立っていて物語を引っ張る。

ここが×

  • 愛の設定が、イマイチ生きているとは言い難い上、描写にちょっとリアリティがない。
  • ラストの着地点が、どうにも腑に落ちない。
  • ちょっと長過ぎるような気がする。

■言葉にできない想いを、形に

短い作品の次は長い作品。しかし「メモリーズ」の次が「メモリア」というのも、紛らわしいです(笑)。しかも過去に「memoRia」という同名の作品があって、よけいややこしい事に(汗)。更に「memorieZ」まで入って来ると大混乱状態(笑)。ま、こういう単語はタイトルには取り上げやすいと見えて、「なんたらメモリー」とか「メモリーオブどうのこの」という、類似のタイトルの作品はわんさかあります。

この作品は、主人公がクラスメイトと共にクラス委員長になり、春亀祭(文化祭)へ向けてクラスをまとめていく、というもの。ここだけ聞くと、実は「左前の彼女」とまったく同じ出だしと言えなくもありません。ただあちらはヒロインが頼りない主人公を引っ張って、その結果主人公が成長するという物語でしたから、読んだ時の印象は意外に違います。

メモリア - memory of day -しかしこの作品が変わっているのは、ヒロインの設定。ヒロインはしゃべる事ができず、いつもスケッチブックによる筆談で会話をするのです。こういう設定の作品は珍しいですね。ヒロインに限らず、友人の戸塚竜二や幼馴染みの華山明日香、それに立ち絵が出て来ない脇キャラクターも、かなりしっかりキャラクターが立っています。

この作品は、前半で張った伏線が後半で解決するというタイプの物語ではありません。物語作りに「伏線主導型」と「展開主導型」があるとすれば、この作品は100%展開主題で、伏線など全く登場しないと言っても過言ではありません。が、そのシナリオ構成に、ちょっとエッジの効いた個性的なキャラクターが上手くはまっており、かなり長い物語なのにも関わらず、途中でだれたりしないのは、さすがだなと感じさせられます。

が、ヒロインである愛の「しゃべれない」という設定が、シナリオ上で上手く生かされているとはちょっと言い難い面があります。もちろん、個々のイベントでは生かされている箇所もあるんですが、枝葉ではなく幹の部分で愛のその設定が生きているかというと……。これほど強烈な設定なのですから、そこらを上手く生かした物語が読んでみたかった気がします。ついでに言うと、愛の筆談はかぎかっこではなく普通のかっこで描写されますが、普通の会話文と全く同じなんですよね。筆談の人は「うーん」とか「えへへ」なんて書かないと思います(汗)。描写から、彼女のハンディキャップが感じられなかったのは、ちょっと気になるところでした。

さて、この作品は春の文化祭で各クラスがやる劇を、天馬と愛の2人がクラスをまとめつつ、段々クラスがまとまって行くという描写を柱に、恋愛を交えた物語です。なので私は中盤、あるイベントを見た時に「確か演劇のシナリオの展開はこうなっていたから、4人の恋愛模様を上手くまとめ、綺麗にオチを付けるなら、演劇のシナリオを上手く利用してああしてこうすればいいのではなかろうか」と、勝手に展開を予想していました。

が、ラストは私の予想の斜め上を行く展開になって、目が点になりました(汗)。あれはあれで、まあ一応ハッピーエンドにはなっているんですが、それまでの長い長い展開が、あってもなくても構わないものになってしまった感が強い気がします。せめて、物語が動くきっかけとなった劇の部分だけは、ちゃんと描写して欲しかったような気がするんですが。展開主導型物語の「着地点の難しさ」というものを感じさせられました。これがそれほどの長さでないなら気にならなかったかも知れませんが、かなり気合いを入れないと読めない長編ですからね……。

それでも、キャラクターのやり取りが面白く、ほとんど学校の中だけで展開する物語なのに、長さを感じさせずに読ませるのは、作者さんの力量だと思います。イベントも程よく盛り込まれていて、中だるみしません。個人的には、シナリオの分量を半分にしても、明日香も攻略させて欲しい気がしたんですが(笑)。

ツールはNScripter。NScrなのにちゃんとテキスト表示速度が変えられます!(本来特筆するような事じゃないはずだけど(笑))。選択肢はありますが、1本道です。プレイ時間は7~8時間くらいでしょう。キャラクターのやり取りが生き生きとしていますし、何せ難しい伏線など一切ありませんから、気軽に読めますよ。
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