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第363回/ゲアッセンブルクは僕の船 - 君に捧げる化学のソラゴト~周期表語呂合わせ編~(CONTINUE?)

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君に捧げる化学のソラゴト~周期表語呂合わせ編~

君に捧げる化学のソラゴト~周期表語呂合わせ編~■制作者/CONTINUE?(ダウンロード
■容量/42.2MB

千昌は、友人である和の妹早苗に心を寄せていた。そのため、早苗が苦手な化学の勉強のため、元素記号周期表を元に物語を作り、周期表を覚えてもらおうと考えた。中学校時代の文芸部の仲間たちや早苗の友人も集まり、みんなのツッコミの中謎の物語が書き始められる。斬新な元素周期表暗記ノベル。

ここが○

  • バラエティに富んだショートストーリー3本×2の詰め合わせ。
  • 物語を書くという設定が、意外と作品に奥行きをつけている。
  • プレイしたら元素周期表を覚えられるかも知れない(笑)。

ここが×

  • 文章が長く、読みやすいとは言えない。
  • 前置きが長過ぎるような気がする。
  • 吉里吉里なのにシステム面で難あり。

■ゲアッセンブルクは僕の船

フリーのノベルゲームって、時折誰も思いつかなかったような斬新な作品が出て来たりしますが、これは強烈。誰もが高校の頃、元素記号の周期表を「水兵リーベ僕の船」という語呂合わせで覚えたと思いますが、事もあろうにその語呂合わせを元に物語にしてしまったというトンデモぶりです(笑)。

「水兵リーベ僕の船」辺りまではまだしも、「生あるシップスクラー閣下スコッチ暴露マン」なんて、全く日本語としての体をなしていないのに、どうやって物語にするんだろうと思っていたら、意外とちゃんとした物語になっていて驚きました。しかも周期表を元にしたそんなショートストーリーが3本詰め合わせ。作中ではファストフード店でさくさく書いている千昌ですが、これは作者さんも苦労して考えた事でしょう。という訳で、水兵のリーベ君が僕の船でどうのこうのする物語です(笑)。

君に捧げる化学のソラゴト~周期表語呂合わせ編~しかもこの作品は、妙に設定が凝っています。主人公は中学校時代元文芸部で、文芸部時代の友人である和の妹の早苗に恋をしており、化学が苦手な早苗のために、こういう事を考えたという。一言で言えば変人ですが(笑)、こういう設定を絡ませた事により、単純に3本の話だけを読ませるより、1本の作品としてはるかにまとまりが出ていて、上手い作りです。

で、文芸部仲間の和、麻里と、和の双子の妹で千昌の想い人である早苗の同級生の怜(ややこしい!)の3人で、千昌の書く物語にツッコミを入れながら、物語が書き上がって行きます。「生あるシップス」の部分の「生」を3人がそれぞれ「生ビール」「生野菜」「生首」と解釈し、千昌が3人の解釈に応じて3種類の物語を書くという流れです。

さらにそれぞれの物語のラストに選択肢があり、オチが変わります。それでシナリオが分岐したりはせず、そのショートストーリーの終わり方が変わるだけですが、ハッピーエンドに出来たりキャラの性別がいつの間にか変わっていたり、単なる「オチがちょっと変わりました」程度の分岐ではないので、分岐ノベルとしても意外とよく書けているなあという印象です。

ただ、文章については読みやすいとは言えません。上手い事は上手いんですが、一文が長くてゲーム向きとは言えません。直前にレビューした「Fizz」の項で、「漫画畑の人と文章畑の人では、描写や展開の仕方に違いがあるような気がする」と書きましたが、この作品は典型的な文章畑の方の文章と言えます。改行が少なくて見やすいとは言えませんし。文章力自体は高いのですから、少し「限られたウィンドウの中で読む」事に対する配慮があれば、と思いました。

それと、システムは吉里吉里を使っているのですが、吉里吉里のバージョンが古いのか何なのか、やけにプレイしにくいです。「テキスト表示速度を変えられない」「既読テキストの表示速度も変えられない」「それでいてテキスト表示速度は遅い」「にも関わらずウィンドウ内に出て来るテキスト量が多い」というのが四重苦となって、ちょっとプレイしやすいとは言い難いです。また、本文に入るまでが妙に長いような。冒頭のやり取りはもっと簡略化しても良かったんじゃないでしょうか。

しかし、とにかく独特のテーマが面白く、バラエティ豊かなショートストーリーも楽しめます。個人的には「生野菜」のハッピーエンドが一番物語としてよく出来ているように思いました。もっと加筆すれば、単体で物語になるのではないか、と思ったくらい(笑)。物語シーン以外では登場人物の立ち絵もありますが、色鉛筆で描いてそのままスキャンしたような色使いが、いい味わいを出しています。

プレイ時間は、30分ちょっとでしょう。3本のショートストーリーにそれぞれ選択肢があって、合計6種類。この作者さんは、この作品の続編的な元素記号クイズノベルとか、刑法をテーマにして同じ登場人物が出て来る作品もありますから(こちらはまだ体験版の段階ですが)、この作品が楽しめたならそちらも合わせてどうぞ。
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