第364回/霞む記憶は虹の七色 - chaos pastel orange(studioえんじゅ) - 学園・青春
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第364回/霞む記憶は虹の七色 - chaos pastel orange(studioえんじゅ)

学園・青春
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chaos pastel orange

chaos pastel orange■制作者/studioえんじゅ(ダウンロード
■容量/272MB

主人公高西和樹は高校2年生。幼い頃の事故で両親を失い、叔父と叔母の元で暮らしている。事故の後遺症で記憶喪失と、人の顔が似顔絵に見えてしまうという奇妙な症状がある和樹。ある日下校しようと下駄箱を開けた和樹は、下駄箱の中に謎のメモを発見した。立ち絵が斬新すぎて夢に出そうな学園サイコ恋愛長編ノベル。

ここが○

  • 実はシナリオの根幹とも深く絡んでいる斬新な設定。
  • 凝ったシステム、綺麗なCG。
  • 中盤まで謎やイベントの連続で飽きさせない。

ここが×

  • 要素を盛り込み過ぎて消化不良。
  • しかも、後半は描写は冗長、展開は唐突。
  • なので、後半はかなりぐだぐだ。

■霞む記憶は虹の七色

フリーのノベルゲームで、スクリーンショットを見て人目をひくというのは、かなり重要な要素です。それだけでダウンロード数が左右される場合もあるでしょう。ま、私みたいにあえて地味な見た目の作品を探す人もおりますが(笑)、スクリーンショットのインパクトという点では、この作品にかなう作品は他にないでしょう。実際私は最初に画面写真を見た時、「何だこれは。ふざけてるのか!?」と思いましたから(笑)。

この作品は2chVIP発みたいです。「僕と君の夏休み」とか「い~びる☆あいっ!」に見た感じが似ています(BGMの曲名が右上に出て来るところとか)。一部スタッフが共通なのかも知れませんね。で、この作品の主人公、高西和樹は幼い頃に事故で両親をなくし、その精神的ショックで記憶喪失と「人の顔が似顔絵に見える」という後遺症を持っています。そう言えば「人の顔が数字に見える」なんて作品もありましたが、この作品は立ち絵の顔が実際に全部似顔絵ですから、破壊力が違います。特に、葵の立ち絵が初めて出たときは、「ぎゃあ!」という感じでした(笑)。

chaos pastel orange作りはいわゆるカレンダー消化型で、学園祭前後の10月の1月という、かなりな長丁場です。出だしで、和樹の下駄箱に謎のメモが入っているんですが、今作では序盤から謎やイベントが立て続けに出て来て、ぐいぐい読み手を引っ張ってくれます。この手の長編作品ですと、「中盤までが非常にだるい」「中盤までは単なる日常描写」なんて事も多いんですが(上述の「僕と君の夏休み」「い~びる☆あいっ!」がまさにそうである)、この作品は中盤まではイベントと謎の提示のバランスが良く、「次はどうなるのだろう」とわくわくさせてくれます。

また、冒頭で主人公がヒロインである橙ヶ崎色葉(苗字が非常に分かりにくいキャラが多いが、全員色の名前なので、何とか覚えられるかと)に告白して断られる、というシーンから入っているのも新鮮です。この手の「なかなかくっつかない幼馴染みもの」にありがちな、読み手すらも「お前等さっさとくっついちまえよ」といういらいら感を、かなり解消させていますね。もちろん色葉が和樹の告白を断った理由は、本編を読んでいればちゃんと分かります。

と、中盤までは非常にいい感じなのですが、この作品は逆に後半がちょっと……。というのもあまりに色々な要素を盛り込み過ぎ、各キャラに色々な役目を背負わせすぎた結果、かなりぐだぐだ感が漂う展開に……(汗)。後半のメインイベントの肝試しも、「確かに意外な展開って言えば意外な展開ですけど、はあああ!?」という感じです。謎をこれでもかこれでもかと盛り込んだ上、反則気味なところまで伏線に使ってしまっているので、唐突感がぬぐい切れません。

これほど尺が長い作品でなければその手法もありかも知れませんが、かなり長い作品で、前半から存分に謎を提示しておいた上で、さらに「実はまだ秘密の事実があって、○○は○○でしたー」と言われても、ちょっと説得力が……。ラスト近くに明かされるあの事実をメインにシナリオを組み立てるなら、もうちょっと前半から色々やりようがあったような気がします。

また、ラスト近くの病院でのシーンで、延々と状況説明が続くんですが、紺野がいちいち話を混ぜっ返す上、話が重要なポイントにさしかかるたびに「ちょっと休憩を」となるので、「お前らもうちょっと要領よくできないのか」と、画面に向かってツッコミを入れそうになりました(笑)。

とまあ、後半は描写の冗長さや展開の唐突さ、盛り込み過ぎによる消化不良感は否定しきれませんが、中盤までは緊張感もあり、エンターテインメント性も高く、大変楽しく読む事ができます(普通逆の作品が多いので、珍しいのですが)。学園祭の後のキャンプファイヤーのところは名シーンです。色葉の素顔が一瞬見えるシーンは「おお!」となりました。確かにキャラ数が多いし、どのキャラも助演というより主演クラスの主張ぶりで、そこがまとまりのなさとも言えるんですが、キャラ自体は非常によく立っています。

ツールは吉里吉里。システムは凝っていてストレスは皆無です。選択肢は、途中和樹の記憶を確かめるような「記憶クイズ」みたいなものがありますので、クイックセーブも活用しましょう。その他は1本道です。プレイ時間は6~7時間くらい。テーマ的には後味が悪くなりそうなところもあるんですが、終わり方自体はとても綺麗です。一味変わった学園ものをお探しの方、奇抜な見た目にひかれたなら、楽しめると思います。
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