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第367回/私は耳で覚えてる - 第七号車(水野的四叶草)

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第七号車

第七号車■制作者/水野的四叶草(ダウンロード
■容量/54.6MB

終点の絶景が噂の、一方通行の観光列車「第七号車」。切符の料金が高い事でも知られているが、乗客は絶えなかった。その第七号車に、一人の少女が乗り込んで来た。少女に興味を持った男は、少女に声をかける。やがて少女は自分の事を話し始めた。なんと中国発の短編ノベルゲーム。

ここが○

  • 水彩画風の絵がすごく綺麗。
  • 単一シーンの物語だが、退屈を感じさせない。
  • 雰囲気が良く、読後の感銘が持続する。

ここが×

  • システム面ではちょっと難あり。
  • 言語の違いにより、多分原作の100%のニュアンスは伝わって来ない。
  • 普通の会話システムでも良かったような気が。

■私は耳で覚えてる

最近は、英語のノベルゲームなんてのも結構あるようです。それはそれで別世界を見るような面白さはあるのですが、やはり日本の感覚からすると「感覚の違い」を感じさせる作品が多いようです。そしてこの作品はなんとお隣中国発の作品。元々中国語の作品を、中国人の方が日本語に翻訳されたそうで、そのパワーには恐れ入ってしまいます。

アメリカの作品ですと、色々な意味で日本との感性の違いを痛感させられるのですが、この作品は日本人がいきなりプレイしてもほとんど違和感はないと思います。少しばかり翻訳が怪しいかなと思わない箇所がなくもありませんが、十分問題なく鑑賞できるレベルですし、会話文もほとんど不自然さを感じません。こういうところを見ると、なんだかんだでアジアの国だなあと思わされます。

第七号車さて、この作品は走り続ける列車の中で、男が旅行中の1人の少女と会話する、というもの。雰囲気的には「それじゃあ、またね」がまさに似たような感じ。あの作品と今作の違いについて考察してしまうと、派手なネタバレになってしまうのでそれは書けませんが(笑)、あの作品が気に入った人なら、間違いなくこの作品も楽しめると思います。

さて、この作品はぱっと見のグラフィックスの綺麗さも印象的なんですが、独特のシステムが特徴です。会話の合間合間に、少女の文章からキーワードをクリックして、質問ワードをぶつけるという、「これは推理ものなのか?」と思えそうな、ちょっと文章では説明困難なシステムを搭載しています(説明は難しいですが、実際にプレイしてみればすぐに理解できます)。正直なところ、ごく普通の選択肢によるシステムでも良かったのではないか、と思ったりもするんですが(汗)、新しい質問項目が現れたり、単調になりがちな物語に意外と変化をつけてくれています。

シナリオの作りとしては、それほど目新しい訳でも、すごく意外という訳でもありません。しかし、列車の旅というシチュエーションと、少女との会話のテンポの良さ、その両者があいまって醸し出すバランスの良さで、心地よくラストまでプレイできると思います。ラストは、それまでまるで語られなかった少年側からの視点で延々語られるので、もう少、すっきり流すか、それまでの展開で何か描写しておいた方が良かったようにも思えます。

ただ、これは作者さんには全然責任はないのですが、日本語と中国語という言語の違いにより、中国語を母国語とされる方が原作を読んだ時のニュアンスの100%は、多分日本人には伝わって来ないでしょう。というのも、中国語で「見」というと、それはもちろん「見る」意味もありますが、「会う」という意味もあるのです(中国語の「さようなら」は「再見」ですよね)。なので読みながら「あー、ここは中国人の方ならきちんと意図が伝わるんだろうな」と思わされるシーンがありました。プレイされた方なら、どのシーンを指すかはお分かりでしょうが。

登場人物は全員名前が出て来ないのですが、描写に節度があって、どのキャラクターも魅力的だと思います。先読みしようと思ってプレイすれば、容易に先読みをすることも可能ですが、それは無粋というものでしょう。列車という閉鎖空間の物語ですが、水彩画風の淡い色彩のCGもあいまって、ちょっとした映画を見るような気分を味わわせてくれます。中国ノベル、なかなか侮り難し、ですね。

システム面では、読み返しが出来なかったり、テキスト表示速度が変更できなかったり、セーブが特定箇所でしかできなかったり、マウスが使用できなかったり、ちょっと親切とは言い難いのですが、短編作品ですしそこまでストレスは感じないかも知れません。読み返しくらいはあれば、印象に残ったシーンを改めて味わえたのにな、と思いますけど。

ツールは不明。最初に中国語のアラートウィンドウが出ますが、問題なくプレイできますので慌てないでください(笑)。プレイ時間は45分くらいで、一本道ですがラストにちょこっとだけ分岐します。「凄く面白い!」というような瞬間のインパクトはないんですが、「長く感銘が持続する」物語です。
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