第371回/胸の高鳴りは止まらない - ほすぴたっ!(同人サークルむぅ) - 病院・闘病
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第371回/胸の高鳴りは止まらない - ほすぴたっ!(同人サークルむぅ)

病院・闘病
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ほすぴたっ!

ほすぴたっ!準推薦
■制作者/同人サークルむぅ(ダウンロード
■容量/108MB

交通事故で入院する事になった高校生の修平。見舞いに来る親友の計や、その姉で看護師の杏もいて、賑やかな入院生活だった。そんなある日、菜々瀬という少女と出会う。彼女は修平と同じゲームに冒頭しており、2人はすぐに意気投合した。古くて新しい病院恋愛ノベル。

ここが○

  • 綺麗なグラフィックス。
  • よく立ったキャラクター達。
  • ありがちなシナリオながら、作りと演出で盛り上がる。

ここが×

  • ありがちと言えばありがちなシナリオ。
  • あまりに突然終わる感があるラスト。
  • 一部キャラの言動が、少々過激な気が。

■胸の高鳴りは止まらない

「病院もの」はノベルゲームでは一ジャンルを築いていますが、この作品は最初から最後まで病院が舞台です。病院が舞台の恋愛ものというと「悲願花」が思い出されます。割と新しい作品だと「おみコン!」でしょうか(あれは病院ものとは言い難い内容ですが)。私はレビューしていませんが「俺が記憶喪失の間…一体何が?!」という作品もありました。

主人公は高校生の修平。交通事故による骨折で入院して来たら、そこで難病を患って入院している菜々瀬という少女と出会います。出会いのシーンは普通なんですが、その後のちょっとした展開が面白いですね。序盤にこういうちょっとした展開的な演出があると、単調になりがちな序盤に変化がついて、大変効果的だと思います。

ほすぴたっ!で、この手の作品のお約束通りに菜々瀬は難病を患っています。ですから「病弱もの」あるいは「不治の病もの」なのですが、舞台が病院内であり、親友の計の姉である看護師の杏や、医師の織田など、病院内のキャラクターがとても上手く使われています。特に杏は、親友の姉というポジションも相まって、とても上手い立ち位置のキャラクターでした。

反面、主人公が少々アレな気がしなくもないんですが(汗)。まあこの手の「最初は友達感覚で、徐々に恋に覚醒していく主人公」というのは扱いが難しいところもあるんですけど、「お前は男だと思ってる」というのはさすがにどうかと(笑)。あまりに「お前は仲間だ」というのを強調するのではなく、もうちょっと恋と友情の間で揺れ動く、みたいな描写をしてみた方が、面白かったような気がします。

それと、織田や杏の言動がちょっと極端な場面があるような気も。特に、織田が「今回の発作もお前が原因だろ」と言うシーンとか、杏がナースコールを押した修平を「邪魔!」と言って突き飛ばすシーンとか、「お前ら、医療人としてそれは駄目だろう」という感じがしてしまいます(汗)。まあそこを除けば、サブキャラまでよく作り込まれたキャラクター達です。親友の計も、よくある主人公の悪友キャラとは一味違う言動で、渋く場面を支える良いキャラクターですね。

シナリオ自体は、「病弱もの」「不治の病もの」としては、正攻法と言うか王道というか、よくある作り、よくある展開です。が、台詞回しが上手く、「展開ではなくシーンで生かす」という作りで、しっかりとした読み応えがります。ヒロインである菜々瀬の苦悩を、過剰に前面に押し出していないのは正解だと思います。お陰で、軽すぎもせず重すぎもしない、ちょうどいい読み心地です。

ただ、終わり方があまりにも突然すぎて、一瞬「えっ」と固まりました。「さすがにここで終わるのは突然すぎだから、スタッフロールの後にきっとエピローグがあるんだろう」と思ったら、そのままタイトル画面に戻りました(汗)。あそこまで行って終わりって、それはちょっとあんまりな、と言わざるを得ません。ハッピーエンドにせよアンハッピーエンドにせよ、もう少し先まで描写してすっきりさせて欲しかったですね。あの終わり方では気になって夜も眠れません(笑)。

グラフィックスは大変綺麗で、立ち絵もとてもよく出来ています。BGMはTAM Music Factoryの曲が多く使われています。最近はTAMの曲が以前ほど使われなくなってきたので、「ああ、フリーのノベルゲームを読んでいるんだなあ」という、ほどよい安心感があります(笑)。そして作中に出て来るゲームが、何だかバーチャロンっぽくてちょっと遊んでみたくなりました。

ツールは吉里吉里。選択肢はなく、プレイ時間は1時間半くらい。終わり方だけはちょっと残念なんですが、個性的でしっかり作られたキャラクターの掛け合いや、粋な台詞回しで楽しむ事のできる作品です。変に捻って何が何だか分からなくなった物語より、キャラのやり取りの積み重ねで心を動かしてくれる物語が好きという方に、お勧めです。
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