第376回/あなたと一緒、それだけが願い - falling(にんじゃむ) - シリアス・感動系
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第376回/あなたと一緒、それだけが願い - falling(にんじゃむ)

シリアス・感動系
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falling

falling準推薦
■制作者/にんじゃむ(ダウンロード
■容量/872MB

両親を亡くした青年マクビー。莫大な遺産に物を言わせて、酒に溺れる毎日だった。そんな彼が、ある日目を覚ますとシャロンと名乗る少女が。シャロンは「マクビーが私を誘拐した」と言うが、身に覚えがない。少女の正体は? ハートウォーミング洋風ノベル。

ここが○

  • 個性豊かでしっかり描かれたキャラクター。
  • 全てが綺麗に解決した、読後感最高の美しいラスト。
  • そのラストの余韻を更に高めるスタッフロールのイラスト。

ここが×

  • シリアスとコメディの融合が上手く行っていない。
  • とても子供とは思えないシャロンの独白。
  • 開始前の演出がスキップできない。

■あなたと一緒、それだけが願い

最近あまり長い作品をプレイしていませんでしたが、久々に読み応えのある長さの作品を読みました。この作品は、いわゆる「ボーイミーツガール同居型」なのですが、主人公であるマクビーと同居人であるシャロンは、別に恋愛関係にはなりません。シャロンはどう見ても小学生低学年だし(マクビーもまだ高校生くらいの年齢のようだから将来は分かりませんが)。その意味では、「りんごが見た夕焼け」に雰囲気が近い作品です。

いきなり苦言ですが、起動してすぐの演出がクリックで飛ばせないため、そこでまずストレスがたまります。一気に読んでしまえばいいのかも知れませんが、一気に読めませんでしたので。巨大な容量を考えれば、恐らく元はDVDで配布していたのでしょうが、「Now Loading」の画面くらいは何とかならなかったものでしょうか(汗)。それと何度でも書きますが、やはりノベルゲームにワイド画面は向きません。立ち絵がことごとくバストアップばかりになってしまって、どうにも……。

fallingさてこの作品は、長髪イケメンで親の遺産をわんさか持っているという、いけ好かない男が主人公です。毎日のように飲み歩いているんですが、ある日いつもの店で飲んだ後酔っぱらって帰宅して、目覚めたら見知らぬ少女がいた、という出だし。そこからなし崩し的に2人は一緒に暮らす事になります。

この主人公は、この手の作品によくある「人嫌い」タイプです。その割りに実はいい奴というのもお約束です(笑)。特に前半は、シリアスとコメディが上手く融合していないところが気になりました。「いやそこでふざけちゃ駄目だろ」なところで、変に主人公がおちゃらけた感じの対応をしてしまうんですよね。そういうおちゃらけが似合うキャラなら気にならないですが、この作品の場合はちょっと鼻についてしまいました(特に探偵マロンとのやり取りは、やり過ぎ感あり。これを面白いと感じる人もあるのだろうけども)。

なので前半は少々辛抱を要求されますが、シャロンの秘密がちらつき始める後半からは、物語は俄然面白くなってきます。「スーパーマンのおじさん」も、最初は「何じゃこいつは?」なんですが、彼もいい味を出していました。マロン、シドなどの脇役も要所で見せ場を作ってくれています。女性キャラであるアリシア(女Aとか呼ばれてたけど)に、もうちょっとスポットを当てた方がバランスがいい気もしましたが……。

何より今作で最大に私が素晴らしいと感じたのは、全ての要素が綺麗に解決する美しいラストです。これほど読後感がいい作品には、滅多に出会えないでしょう。シャロンの問題の解決だけでなく、自堕落な毎日を過ごすだけだった主人公マクビーの変化まで描かれ、その変化が「スーパーマンのおじさん」の件にまできっちり繋がっているという隙のなさ。「ラストは投げっぱなし」みたいな作品も多い中(それも別に否定はしませんが)、これは特筆すべき美点です。

物語は基本マクビーの一人称で進むのですが、ところどころに別キャラの一人称による過去のエピソードなどが入ります。で、シャロンのエピソードもあるんですが、この時のシャロンの独白が、とても子供とは思えません(汗)。言葉の選び方なども、最低でも高校生くらいという感じで(シャロンって、教育受けてないんじゃなかったっけ……)。ここはちょっと気になる点でした。

ちなみに、ラスト近くに1つだけ選択肢があります。意外とこの選択肢がひっかけなんですが(笑)、どっちも見ておくのがいいでしょうね。トゥルーエンドとフォーリングエンド(勝手に名付けた)です。フォーリングエンドがタイトルの意味っぽく感じましたが、トゥルーエンドのスタッフロールが素晴らしい。マクビーとシャロンとシド、この3人には末永く幸せに暮らして欲しいものです。

ツールは吉里吉里。プレイ時間は4~5時間くらいでしょうか。ちょっと操作性に難があるところもあるんですが(右クリックで開いたメニューから右クリックで戻れない、とか)、読後感が爽やかでずっと余韻に浸っていたくなる作品です。序盤で見放さず(?)、是非最後まで読んでみてください。
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