第383回/晴れ時々雨、一時晴れ - たとえ明日が晴れなくても。(皐月 -Satsuki-) - シリアス・感動系
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第383回/晴れ時々雨、一時晴れ - たとえ明日が晴れなくても。(皐月 -Satsuki-)

シリアス・感動系
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たとえ明日が晴れなくても。

たとえ明日が晴れなくても。■制作者/皐月 -Satsuki-(ダウンロード
■容量/111MB

高校生の羽向一輝は、別の高校に通う恋人の明日晴に会いに行く途中、黒ずくめの妙な少女から「あなたは凶悪犯罪を犯す運命だから、死になさい」と宣告される。運命に抗おうともがく一輝は、果たして運命から逃れられるのか。短いながら、ずしりと心に響く物語。

ここが○

  • 短いながら起伏に富んだ展開。
  • 丁寧な文章。
  • 読後に感じる強いメッセージ性。

ここが×

  • 文章や用字が雰囲気に合わないような箇所も。
  • 唐突な感がある中盤。
  • ラストも少々唐突かも。

■晴れ時々雨、一時晴れ

最近はなかなか長い作品を読めないので、短編作をプレイしてみました。タイトルからして、少し鬱展開っぽい内容なのではないかと想像できますが、本当にそういう内容。作品紹介の文章だけで、十分「これは重い展開なんだろうな」と思わせてくれます。

過去に、主人公が残り何日の命だと宣告されるような作品はありました(私もそういうシナリオを書いたな、そう言えば(笑))。たとえば「Dear ∽ Life」なんかがそうですね。しかしこの作品は一味違います。死神(っぽい存在)であるティアナは、「あなたは凶悪犯罪を犯す運命だから、人に迷惑をかけないために自主的に死になさい」と宣告するのです。これはなかなかインパクトのある出だしです。

たとえ明日が晴れなくても。「あなたはいついつまでに死にますよ」という宣告ならば、まあそれも運命だしかたないと諦めもつくでしょうが、「あなたは凶悪犯罪を犯しますよ」という宣告に、「ああそうですか」と従う人もいないでしょう。そんな訳で、主人公の一輝は、最初ティアナの言葉を信じません。

そして、中盤にいきなりとんでもない展開となります。あまりのとんでもなさに、「短編みたいだから、そこまで意表をつく展開はしないだろう」と思っていた私は、完全に裏をかかれて一瞬茫然としてしまいました。意表を突くと言えば、短編でこれほど意表を突く展開をした作品も、あまりないと思います。序盤の掴みの強さに続いて、非常に続きを読まずにはおれなくなる、というツボを刺激してくれる中盤です。

ただ、意表を突く反面、若干唐突な感は否めません。この中盤の事件が、ティアナの宣告に繋がって行く……はずなのですが、ラストのその辺りはかなりさらっと流されていて、一輝は実にあっさりと運命に勝ってしまいます。中盤があれだけ衝撃的な展開で、その展開が言ってみれば物語の主眼に繋がって行くのですから、ラストの描写にも、もう一つ突っ込んだところがあれば、なお良かったのではないでしょうか。

それと、文章が少々気になります。文章自体は整っていて上手いと思うのですが、高校生の一人称であるという事を考えると、少し固すぎるとも言えます。一例を挙げれば、「出鱈目」(でたらめ)なども、そういう雰囲気の作品ならともかく、普通の高校生が一人称で語る物語ならば平仮名表記の方が合っている気がします。パソコンで書く物語ですと、変換一発で漢字にできてしまいますが、意外と「漢字で書くか仮名で書くか」は重要なんじゃないかと感じました。

とまあ、終盤があっさり終わり過ぎている感はあるものの、読後感はかなりしっかりした作品です。エンドロールくらいは欲しかった気もしますが、物語を読んだという充実感はかなりのものだと思います。一輝と明日晴のリア充爆発の描写も微笑ましいです(笑)。ここらの心情描写もしっかりしていて、中盤のある意味唐突な展開にも、嘘くささがないのは上手い点ですね。

見た通りワイド画面ではありますが、立ち絵が大きすぎるか小さすぎるかの両極端で、やはりワイドより4:3の通常のサイズの方が、ノベルゲームには合っているのではないかと、毎回感じさせられます。毎度しつこくてすみません(汗)。

ツールは謎です。オリジナルなのかも知れません。ただそのせいなのか、読み返しがなかったり、テキストスキップがなかったりするのが、少し不便ではあります(一本道なので、スキップはそれほど困りませんが……)。選択肢はなく、プレイ時間は45分くらいでしょう。短い作品ですが、序盤から読み手を掴んで離さない魅力があります。短編ながら重厚で読み応えのある作品のお求めの方は、是非どうぞ。
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