第384回/トマトの魔法で元気になあれ - マイ・スイート・トマト(KITTENS) - ファンタジー
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第384回/トマトの魔法で元気になあれ - マイ・スイート・トマト(KITTENS)

ファンタジー
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マイ・スイート・トマト

マイ・スイート・トマト準推薦
■制作者/KITTENS(ダウンロード
■容量/115MB

トマトちゃんは、魔法の力を持った不思議な女の子。親友のキャロットちゃんや、意地悪なパセリくん、マッドサイエンティストのりんごさんを巻き込んで送る日々……というのは、実はエミちゃんが小6の時に考えた物語の世界。全編1枚絵、動いてしゃべって賑やかなほのぼのノベル。

ここが○

  • 可愛いイラスト。
  • 1枚絵や動きを上手く利用した演出。
  • ユーモアを織り込んでほのぼのさせてくれる物語。

ここが×

  • あと少し先まで読んでみたかったような。
  • タイトル画面がなく、いきなり始まる。
  • 個性的な野菜キャラに比べ、人間キャラがちょっと薄い

■トマトの魔法で元気になあれ

ノベルゲームの主役はあくまで文章ではありますが、たまにアニメとかマンガ、絵本の手法を取り入れた作品に出会う事があります。そしてこれが、例外なくよく出来ているんですよね。古くは「星の降る丘」のマンガコマ割り風のイベント1枚絵や、全編1枚絵で展開する絵本のような「桜月夜に舞い降りたピンク」という作品もありました。

これは私の勝手な感想ですが、ノベルゲームを作る人には大きく分けて「文章畑の人」と「マンガ畑の人」と「ゲーム畑の人」があるように思います。それぞれ作品にパターンがあるのですが、テンポのいい展開、1枚絵の構図の上手さ、動きを取り入れた上手い演出という事になると、やはりマンガ畑の人が一歩抜きん出ているように思います。この作者さんは、おそらくマンガ畑の方なのではないかと思います。そう感じさせてくれる数々の演出が、実に見事です。

マイ・スイート・トマト冒頭いきなり魔法少女風のキャラクター紹介で始まって、何事かと思わせてくれます。しかも、単に立ち絵を並べるだけじゃなく、全ての展開に1枚絵を使っています。この辺りは「桜月夜に舞い降りたピンク」と同じですが、あちらが絵本だったのに対しこちらはマンガ(またはアニメ)。また、時折動きをも取り入れた演出も実に効いています。

物語としては、そこまで凝った作りではありません。冒頭のファンタジー風展開は、実は中1の主人公エミちゃんという少女が、小6の時に考えた物語なのです。トマトをモチーフにしたヒロインの設定を考えたものの、エミちゃんはなぜかトマトが大嫌い。一体なぜ……と読者に思わせ、架空の物語のキャラ紹介を織り交ぜつつ、ストーリーは進行していきます。

シナリオの作りはシンプルでストレート。別に伏線がラストで物を言うとか、驚くような展開がある訳ではありませんが、可愛らしいキャラクターとも相まって、終始ほのぼのとした気持ちにさせてくれます。終わり方もとても綺麗で、読後感も爽やかです。ただ、あと少しだけ先まで読んでみたかったような……。トマトちゃんは十分「活躍」するんですが、ラストでもう1つ彼女を生かせれば面白かったのではないかと思いました。

あと、トマトちゃん以外は結局想像中のキャラクターにしか過ぎないので、彼らにも少し活躍の場があればな、とも思いました。見た目も性格も、個性派揃いですから、より面白い展開になったのではないか、と。ただ今作の、立ち絵ではなく「全て1枚絵」という作りからして、そういう事をすると手間も2倍3倍でしょうし、それは難しかったかも知れませんね。あとは、個性的なトマトワールド(?)のキャラに比べ、人間キャラが少し薄いので、少し印象に残りにくいきらいもあります。たとえば、トマトワールドのキャラと現実世界のキャラをリンクさせても、面白かったかも知れません。

なおこの作品、タイトル画面がなくていきなり本編が始まります。それはそれで別段不都合はありませんが、せっかく可愛いキャラがたくさん登場するのですから、キャラ総登場のタイトル絵が見てみたかった気もします。ちょっとぜいたくですかね?(笑) そして今作には声がついています。ノベルゲームでは、声がつくのが必ずしもプラスに働くとは限らない事も多いんですが、マンガ的演出主体の今作では、見事に演出効果を高めていますね。

ツールは吉里吉里。プレイ時間は声をしっかり聞けば1時間、飛ばして読めば30分ちょっとというところ。選択肢はありません。可愛く個性的で読後感も良い、味の良い短編作です。トマト嫌いの方は、読めばもしかしたらトマトが好きになれるかも?(笑)
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